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SHs大戦  作者: トリケラプラス
第二話「オタクランドサガ」
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2-10 SHピラニア 

いくつかのフォロワーさんにSHs大戦のジャンルはSFだという指摘をいただきましたのでSHs大戦は3話目投稿開始からジャンルの枠を ファンタジー ローファンタジー から SF 空想科学 に変更します。


2話中幾度か同様の告知を乗せますがご容赦ください。



 ランカと名乗った女性に続いて次々と屋上に十字軍がなだれ込んでくる。彼らの数は数十からすぐに百を優に超し。屋上に溢れ返った。

 信者たちを背に蒼緑の教主は凶暴な歯並びを見せ。笑う。


「おぬしの逃げ惑う様はマジザマァで飯が美味かったでござるよ……良い見世物になってくれたでござる。それでいつから気付いてた?」


「気付いたのは放送の時。でも違和感を覚えたのはモールで会った時だ。アタシはおめーに──」


 言葉の途中でアークは体を跳ねさせ、空からチェーンソードを引き抜くとエンジンをかけ斬りかかる。


「名乗ってねえんだよ」 


 どうみてもインドア派なランカの身は斬り裂かれ……。

 なかった。

 指を反り上げ両の掌で刃を受け止めている。それを為した当人は滝のような汗を流し。


「ふひっ……白刃取り成功……アニメや特撮で死ぬほど見ていてよかったでござる……!おやぁ?不意をついたというのに止められてしまって意気消沈でござるかぁ?」


「テメーそのオープンフィンガー。組織製の超防刃仕様か……指まで覆ってたほうがいいんじゃねえのか?」


 ランカは最もな指摘を鼻で笑い。


「こっちの方がカッコイイでござる。そんなこともわからないとはこれだからトーシロは」


「いや……わかるぜ。活かすぜアンタのセンス。けど……ぶっ飛ばす!」


 チェーンソードを消失させそのままの体勢で殴りかかるアーク。それを白刃取りの体勢から間一髪で躱すとランカは引き攣った笑みを見せた。


「SHピラニア参戦でござる」


 その言葉を合図にピラニアは一瞬で人ごみに紛れる代わりに今まで平静を保っていた十字軍たちが再び熱意に目覚めアークを布教せんと襲い来る。


「布教~~!!」


「メメモリを是非!」


「乗馬もいいわよ!」


「ええい鬱陶しい!好きなものは自分で決めるわ!」


 襲い来る人々を手加減した徒手空拳で次々と撃退するものの数が多く倒しても倒しても次の出待ちが現れキリがない。更に。


「隙だらけぇ!でござるぅ!」


「ぐっ!?この」


 人ごみの隙間から伸びて来たランカの拳がアークの脇腹を撃つ。アークも直ぐに応戦するがその時にはランカの気配はなく代わりに布教の波が襲い来る。

 そして波を乗り越えている最中にその間伐を縫ってランカの一撃が来る。


「ごっ……!こいつ……!!」


「オタクはぁ!人ごみをかきわけ目当ての島に辿り着くのは慣れっこでござるぅ!そしてぇ!ピラニアはぁ!群れで狩りをし自身より大きな獲物を仕留めるでござるぅ!喰らいつくしてやるでござるよぉ?オサメさーん?」

 ピラニアは泳ぐ。人が作り出した信仰のため池を。誰より自由に泳ぎ、喰らう。


「仲間が沢山いるときだけイキリ倒しやがってよぉ!引き摺りだしてやる……!アークネード超小規模展開!」


 宣言と共にアークの瞳に閃光が走り。アークの直下にて小学生程のサイズの極小竜巻が展開。アークを浮かせ。彼女はソレに乗る。


「アークスピンってなぁ!」


 竜巻は彼女を仰向けに寝かせるように浮かせると同時に高速で回転させ。また、移動させた。アークは竜巻の回転に合わせて周囲を取り囲む十字軍たちに殴る蹴るを余すところなく叩きこむ。そして竜巻の移動によってその場からの離脱を可能にした。

 竜巻にのってサメがピラニアを追う。


「ってやってみたはいいものの。アイツどこにいるのか全然わかんねえな。これ、めっちゃ疲れるし。持たねえぞ……」


 アークが回転しながら愚痴を吐いていると上から助けの声がかかる。


「アークー!SHならメリーゴーランドの方にいったのだー!」


 声を掛けたのは観覧車に乗って身を守っているメアだった。隣にはリクもいる。


「オメーらバッチリ乗ってんじゃねーか!さっきの反発はどうした!」


「いや……思ったより多かったので……」


 「まーいーよそっちの方がやりやすいし……見つけたぜ」


 アークは狙いを定め一直線にピラニアの元に向っていく。狙われていることを理解した彼女は人ごみという池から上がり馬がそれぞれ浮遊している独立浮遊式メリーゴーランドに乗る。アークもまた陸に上がり追走した。


「のろまに捕まってたまるかよぉでござるぅ!」


 ピラニアはジャケットのポケットから引き抜いたスイッチをぽちりと人差し指で押してやる。すると何ということだろう。独立浮遊式メリーゴーランドの回転移動が拷問用に改造されたランニングマシーンのように常軌を逸した速度へと変わった。

 SHの全力併走であっても直ぐには距離を詰められない……!


「あ、回って来るんだから止まってりゃ……」


「布教ー!」


「止まれねー!!」


 高速回転メリーゴーランドに乗るランカ、それを追うアーク、そしてそれにわらわらと現れて布教をしかける十字軍の奇妙な周回追走が始まった。


「止まれー!いい年してメリーゴーランドに一人で乗って恥ずかしくねーのか!」


「人は幾つになってもアニメ観ていいし一人メリーゴーランドしてもいいのでござるぅ!それが自由!人の趣味にケチをつけるなど恥を知らんのでござるか?」


「キーっ!!くそー……こいつらマジで人間の限界超えてやがる……!情熱ってもんはこんなに人間を強くすんのか!?」


 アークは煽られつつも前から横から絶え間なく行われる布教を受け流しつつ、徐々にランカとの距離を詰めていった。そして後僅かで手が届くという時にアークはソレを目にする。目にしてしまう。

 遠方。浮遊式キャラクターカートに括りつけられた風船。そこに貼られているモノは。


「金ーーー!!」


 紙幣だった。一瞬にして瞳がドルマークに変ったアークはそれまでの行動を一切忘れてメリーゴーランドの外。十字軍を蹴散らしながらキャラクターカートのコーナーへと一直線に駆けていく。


「金!金!金だ!アタシのもんだ!」


 そしてキャラクターカートの元へとたどり着いたアークは風船を掴み紙幣を剥がそうとすると違和感に気付く。


「何か……違くね?てかこれ。リクじゃね?」


 紙幣に印刷されていた人物それがアークの知る偉人ではなく。代わりに嵯峨のアイドルリクちゃんが印刷されていた。そしてアークが置いてきたメリーゴーランドのほうからポチっという音が響いた直後。持っていた風船が紙幣ごと爆発した。


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