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SHs大戦  作者: トリケラプラス
第二話「オタクランドサガ」
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2-7 あるオタクとの再会

 黒い四方の壁に囲まれた暗い空間にアークとリクはいた。

 彼女らはそれぞれ赤と青の銃を持ち隣に並んでいる。

 彼女たちの前にはホログラムでゾンビが襲い来る映像が流れ中心にはGAME STARTの文字が浮かんでいる。


「ゾンビ射撃ゲームなあ。今の状況考えると妙にしっくりくんなおい」


「臨場感あるでしょう?先程は後れを取りましたがこちらでは負けませんよ」


「は!やる気まんまんじゃねえか。いいぜ。ゲームを始めようか」


 アークがGAME STARTの文字を撃ち抜き。そしてゲームが始まる。

 アークとリクは共に腐乱した動死体。ゾンビに占拠されたショッピングモールを駆け回る。迫りくるゾンビたちをハンドガンで撃ち抜き。ポイントを得ていく。

 第一ステージを終えてポイントはアーク3400 リク3000。協力ゲームなので競う必要はないのだが二人とも相手よりワンポイントでも多く獲得しようと必死である。

 装備を切り替えて次のステージに進む。すると開幕でゾンビの顔が間近にあった。


「ちょ!初見殺しですか!?」


 驚いたリクが飛弾。アークは動じず淡々と処理をしてポイント差をつけていく。


「へへ、ラッキー。じゃあな~リクー!」


「そうはいきませんよ!」


 リクも追いすがるが一度ついた差はなかなか埋まらない。その状況に変化が現れたのが中継地点を過ぎたところだ。

 広い階段を上る最中突如として場に似合わないゴロゴロとした音が伝わって来る。意を決して突っ込むアークたちだったがそれがミスだった。

 巨大な物体が彼女たちを押しつぶすように上の階から階段を下って来たのだ。その素材はゾンビ。

 ゾンビたちが車輪のように繋がり転がってくる。それも一度で終わりではなく複数だ。


「あ、アホかー!!」


 ゾンビ車輪の回避に専念するアーク。ポイントは稼げないが確実に躱していく。一方でリクのとった戦術は違った。彼女は最小限の動きで車輪を躱し通り過ぎざまにゾンビたちを狙撃ちにしていく。それを繰り返す。

 時折の被弾もあるが大きく点数を伸ばし。やがてアークの点数を越していく。


「ふふーんどんなもんです」


「嘘だろ畜生!しゃーねえ。次いくぞ次!」


 階段を登り切った先はゾンビの大群が待ち構えていた。ラッシュである。

 これまでの比ではない密度で襲い来る。アークたちは応戦するも次第に追い込まれ。


「弾切れ!?このタイミングでですか!」


 攻撃の手を緩めたリクの元にゾンビが殺到する。だが、その群れはリクに辿り着く前に撃ち抜かれていく。


「これで追いついたな」


 アークだ。片方の銃で牽制しながら相棒の危機を救った彼女は銃尻を肩に置き挑発するように笑う。そんな彼女に膨れツラのリクは銃口をかざし。トリガーを引く。

 するとアークの背後に迫っていたゾンビたちが膝をついていく。


「そう簡単に抜かせませんて」


 二人は顔を見合わせて笑い。闘いに戻っていく。背中合わせの競闘は続く。


 黒の大きな筐体から二つの影が姿を現す。

 アークとリクである。二人はぎゃいぎゃいと言い争いを続け。やがて肩を落とし。


「まさか同点のままゲームオーバーになるなんて」


「弾撃ち尽くした後にラスボスが合体しだすとか聞いてねえって。無理ゲーだろあんなもん……ところでメアはどこいった?」


 言葉通り筐体前で待っているように言ったメアの姿はなかった最悪の光景を想像し捜しまわる二人だった。

 幸いメアはクレーンゲーム前で直ぐに見つかったがそこにはアークの予想していなかったものがいた。


 「ふ、ふひ……お……お嬢さん。良ければ。その手に持たれる、リクちゃんぬいぐるみシャンデリアアイドルバージョンをこのやらんかに触れさせてはもらえぬでござろうか……?な、何。お礼ならたっぷりと……ブフォ!?」


 メアに近づく不審者をその手が届く前に。駆けだしたリクが殴り飛ばした。

 リクは殴り倒した勢いそのままにメアの手を取る。


「メアさん大丈夫でしたか!?何か変なことをされませんでしたか!?」


「もーまんたいなのだ」


 そして殴り飛ばされた不審者を睨み付けると。


「何やってるんですか!この……変態が!」


「ひ、ひぃ~~やらんかはもう瀕死でござる~!拳を収めてくだされ~!もう目の前が真っ暗になるところ……はて?むむむむあなた様は」


「は?……なんです?」


「リクちゃん様ではないでござるか~!こんな時に御本尊が拝めるなど正に神の……リクちゃん神の思し召しでござるよ……!やらんか感涙。サインをシャツに頂いても?」


「え?いやですよ……気持ち悪い」


 豹変した不審者に心底冷たい見下した視線を向けるリク。そこにアークが歩いてやってくると不審者は反応を示し。


「おお、アーク殿!」


「お、クラシックスタイルのねーちゃんじゃねえか。無事だったのか。よかったぜ」


「え、知り合いだったんですか?」


 親し気な二人に困惑するリクだったがメアが冷めた目で答えてやる。


「ここに来るまでにアークがナンパしてたのだ」


「ええ……」


 アークはクラシックスタイルの女性の背中代わりにバッグをぽんぽんと叩き。


「そういやいってた用事は済んだのか?」


「すむわけないでござるよ~。やらんかいくつか諦めてサッとここまで逃げ込んできたでざる……トホホ」


「そっか。なあ。アタシらこれからここのリクの金でメシ食うんだけどアンタもどうよ。消化不良になってたフィンサガトークもしてーしさ」


「おお!推しとお食事にフィンサガトーク!!これはなんとも魅力的な誘い……でござるが」


 喜色とは裏腹に申し訳なさそうに両の掌をくっつけると。


「申し訳ござらぬ。やらんかは参加できぬでござるよ……推しの前であの歯並びを晒すのもそうでござるが……何よりやらんか果たさなければならぬ使命があるでござる」


「そっか残念。ところで使命ってどんなだ?」


「やらんかこの後見張り番なのでござるよ匿ってもらってる分は働かねば!」


「そりゃ一大事だな!じゃ、アタシらいくわ。また会おうぜ~!」


「ふひひリクちゃん様もまた後程~でござるー!」


「ですから私は人違いだと……」


「パフェパフェなのだ~」


 こうして一行はクラシックスタイルの女性と再び別れカフェへと向かう。そこが最後の安息だと知りもせずに。


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