決着!大岩猿
戦闘開始!
ゴドレッドもゴブリンも前回からレベルが上がっている。
対策も練ってきた。この前のようにはいかないから!
ゴブリン①~⑤を動かして大岩猿を囲む。
ゴドレッドは少し離れた位置で待機。
ゴブリン①~⑤で四方から攻撃。
ズバ、ザク、グサ、ズババ!
それぞれ大岩猿に与えたダメージポイントは――、
『8』
『9』
『11』
『8』
『8』
トータルで『44』のダメージを与えた!
『……』
大岩猿は動かない。動くとしたら3ターン目だ。正面四マスへの範囲攻撃。そして、移動の際の着地の衝撃でも全方位ダメージを食らう。
ゴブリンのターン。攻撃されないように大岩猿の射程範囲の外へ一歩距離を取る。
大岩猿の背後に二体、左と右と前にそれぞれ一体ずつ。
大岩猿は一度に二回移動し、移動した先で攻撃するため、1ターンに(移動衝撃も含めると)四回攻撃ができる。
少なくとも1ターンにつき二体のゴブリンが死ぬ計算だ。
でもいいのだ。それは覚悟の上――。
動いた。
左のゴブリン③に跳躍接近。――ドスン。着地の衝撃で『29』のダメージ。そして、大きな腕で前方を薙ぎ払い、ゴブリン③に『60』のダメージを与えた。
ゴブリン③がやられました!
「次っ!」
再び元の位置に帰ってくる大岩猿。
そこで嬉しい誤算が生じた。
大岩猿がゴブリンに隣接するコマまで移動してこなかったのだ。当然、着地の衝撃を誰も食らわなかったし、射程範囲の外にいたので攻撃もされない。
やられたのは一体だけだ。
「うっしゃ! こっちのターン! 総攻撃じゃあ!」
再びゴブリン四体を接近させて波状攻撃。
『7』
『6』
『8』
『9』
トータルで『30』のダメージを与えた!
「まだまだぁ――!」
次のターンでも攻撃を続行!
『8』
『7』
『8』
『7』
トータルで『30』のダメージを与えた!
「逃げろぉーっ!」
大岩猿は3ターンに一度だけ移動・攻撃してくる。経験則だから確かなことは言えないけれど、逃げに徹するのは1ターンだけでいい。
大岩猿の移動。背後に逃げた二体を追う。
着地――ドスン!
『26』
『24』
それぞれダメージを食らった。
さらに大岩猿の攻撃!
ゴブリン①②にダメージを与えた!
『52』
『58』
ゴブリン①がやられました!
ゴブリン②がやられました!
「くう――! 運が悪い! って、うわわわわ!?」
大岩猿、二回目の移動。右側に逃げたゴブリン⑤の許へひとっ飛び!
10マス近く移動してきやがった!
行動範囲広すぎでしょッ!?
ドスン!
ゴブリン⑤にダメージを与えた!
『26』
大岩猿の攻撃!
ゴブリン⑤にダメージを与えた!
『68』
ゴブリン⑤がやられました!
「くっそ! 残るゴブリンはあと一体ッ!」
ゴブリン④が最後の盾だ。ターンを終えた大岩猿に単身立ち向かう。
ゴブリン④の攻撃!
大岩猿にダメージを与えた!
『10』
次のターンでもう一度。
大岩猿にダメージを与えた!
『9』
運命の3ターン目。
大岩猿が動きだす。
それでもあえて引かず、三回目の攻撃!
大岩猿にダメージを与えた!
『9』
これで……大岩猿に与えたトータルダメージは『132』!
よく削った。ゴブリンよ、あとはあんたたちの総大将に任せなさい。
大岩猿の攻撃!
ゴブリン④にダメージを与えた!
『70』
ゴブリン④がやられました!
あんたらの死は無駄にはしない。
おかげで待機させていたゴドレッドの気力ゲージはMAX状態に。攻撃力・防御力ともに20%上昇! さらにゴドレッドの固有スキル《鬼轟円戟斧》をぶっ放せる!
「くそ猿ぅ! おねんねの時間だよ!」
よくも前回ゴドレッドを追い込んでくれたな。
いま見せてやる。
彼の本当の恐ろしさを。
大岩猿のターン。
跳躍。――ひとっ飛びにゴドレッドの目の前に。
ドスン!
ゴドレッドにダメージを与えた!
『13』
ゴドレッドは身を守っている!
大岩猿の攻撃!
ゴドレッドにダメージを与えた!
『46』
大岩猿のターンが終了した。
『……オ、オ、オォオオオオオ』
咆哮がきこえた。
ゴドレッドの気迫がコントローラーを伝ってビリビリと全身を駆け抜ける。
「ッ!?」
なに……これ……っ!? このゲームに振動機能なんてあったっけ!?
地響きがする。
土煙と鉄の匂いが鼻腔をくすぐる。
感覚がゲーム世界とリンクする。
コントローラーでコマンド入力するまでもなく、ゴドレッドは私の思うとおりに行動開始。――攻撃態勢へ。
その刹那。
『魔王様、我が戦斧の威力とくとご照覧あれ』
「う、うん……。そんなやつやっつけちゃえ、ゴドレッド!」
『御意!』
会話が成立する。
このとき、ゴドレッドはまさしく私の配下であった。
◇◇◇
『……オ、オ、オォオオオオオ』
畏れ多くも魔王様との念話により、かつてないほどの膂力の昂ぶりを感じる。
斧を握り締める拳が熱くて痛い。
熱を帯びた箇所の内側から炎のような赤い光を灯し揺らめき、明滅を繰り返す。
やがて赤光は周囲に眩く照らし出され、大岩猿の視界を覆いつぶし、にわかに困惑させた。
魔物といえども一帯を支配する山のヌシ。より強大な力を前にすれば知能はなくとも畏怖をする。己よりも遥かに小さき敵影を、凝縮した力の密度を捉え巨大な影として幻視する。
まさしく小さき巨人。
誇り高きオーガの末裔。
ゴドレッドの燃え盛る眼光は天をも貫く噴火の猛りを思わせた。
大岩猿が恐慌に陥る。しかし、攻撃に全力を傾けた体はすぐに反応できなかった。実時間でいえば十秒にも満たないだろう。すでにして構えに入ったゴドレッドの戦斧が閃くには十分すぎる隙である。
引き絞った矢が放たれるが如く――。
『ヅァアアァアァアアアアアアアアアアッッッ!!!!!』
地面を抉りぬく勢いで、斧が下方から真上に振り抜かれる。
そのとき、稲妻が空へと逆走した。
ガガガガガォオオオオオオンッ!
轟轟たる雷鳴と共に閃いた斧の軌跡が、ゴドレッドの体躯では物理的に決して届かぬ大岩猿の股に、ぱきん、とひびを入れる。そのひびは蛇のうねりのように、いや、龍の天昇を思わせる軌道で大岩猿の巨体を真っ二つに裁断していく。
固有スキル《大割殺》
大岩猿に大ダメージを与えた!
『155』
『ガ……ガ、……ッガゴゴ……オオォ……』
大岩猿は動けない!
まだ止まらない!
ゴドレッドの攻撃!
『フンヌゥッ!』
中空に高々と跳躍し、大岩猿の胸部に一撃を見舞う。気力を使い果たした今、通常攻撃しか使えない。
だが、ゴドレッドの瞳には凄愴なる残光が滲んでいる。
消えかけの気合をかき集め、気力ゲージやステータスの数値に左右されない、偶発的な火事場の馬鹿力を発揮した。
すなわち、会心の一撃――クリティカルヒットを叩き込む!
ドゴンッ! と、大砲を打ち込んだかのような大穴が胸部に開く!
大岩猿に大ダメージを与えた!
『160』
【大岩猿】を撃破した!
戦闘終了――。
◇◇◇
崩れゆく大岩猿の巨岩を前にして、ゴドレッドの全身からはいまだ闘気が湯気のように立ち昇っている。臨戦態勢を解除せず、興奮状態が続いていた。
私は画面の中、立ち尽くすゴドレッドに自然と言葉を投げ掛けていた。
「だ、大丈夫?」
『魔王様――。心配なさるな、我が主よ。ご覧のとおり敵を仕留めること叶いました。これも魔王様の差配があってのこと。見事な策にて完勝慶び申し上げる』
「え? えへへへ。そっかなあー。あ、心配したのはゴドレッドの傷のほうなんだけど?」
『掠り傷を少々負いましたが何ら支障はありませぬ』
「そっかー。よかったー」
『ですが……我は右腕たる従僕を失いました。我の盾となり時間を稼いでくれた。此度の勝利は彼らの犠牲なくしては得られなかったでしょう』
「うんうん。そっかそっか。でも、よくやってくれたよ! ゴドレッドがチョー強かったおかげで楽勝だったね!」
『もったいなきお言葉。僭越ながら、戦勝の勲功であれば我にではなく我が従僕にこそお与えいただきたい』
「え? あ、うん。――あ、でもでも、心配しなくても部下は別に減ったりしないからね。次の戦いのときにはちゃんと五体いるから!」
『……魔王様?』
「それに、ゴブリンはそろそろ戦力的に役に立ちそうにないから換え時かなって思ってたんだ! 次からはゴドレッドのレベルにあった強い部下を用意するからね! 楽しみにしてて!」
『……。御意』
「ほんじゃま、ひとまずお疲れさん! ゴドレッド!」
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戦闘『大封リュウホウ――魔物討伐』終了
勝利 魔族(鬼武者ゴドレッド)
敗北 魔物(大岩猿)
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ドロップアイテム【大岩猿の遺体】を手に入れた!
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計画どおり。ほしい物が手に入った!
そして、予想外のこととして、ゲームキャラと意思疎通ができてしまった!
なにそれ、めちゃくちゃ奇跡じゃん!
システムとか関係なくゲームキャラと会話ができるなんて、全オタクの夢じゃね!?
「くう……、こうなるって知っていたならっ! アディユスが死んだことが今となっては悔やまれる……っ!」
どうしたら会話ができるようになるのかまだわからないけれど、イベント発生の条件を探るみたいで楽しみが増えた。これからは他のキャラにもいろんな場面で積極的に話しかけてみよっと。
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