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最初の兄妹喧嘩


 ハルスたちの様子を観察していたアニとレミィ。


「――いいぞ。面白くなってきた。モブキャラに個性が出てきたな」


 行商人を通じて【魔法の指輪】を大量に仕入れたのだ。


 値は張ったが、おかげで面白いコトが起こっている。


「【魔法の指輪】自体はゲーム中にも出てくるマジックアイテムだ――が、プレイヤー側は戦利品として手に入れる以外に入手方法はない。金で買えるのは人間側にしかないアドバンテージだぜ」


「魔法具は装備品。ステータスには反映されませんわ。妹ちゃんはハルスたちが魔法を使えるだなんて夢にも思いませんわね」


「そういうことだ。このゲームは進化している。序盤からここまで変化したんだ。シナリオはとうに破綻している」


「でしたら、ここからがお兄様の【魔王降臨】ということになりますわね」


「いや、――俺たちのだ!」


 そうだろう? クソ妹よ。


 さあ、戦ろうぜ!


 待たせたな!


 第一章の幕開けだ!


――――――――――――――――――

 第一章 東域アンバルハル侵略戦③

――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――

 第一ステージ『アンバルハル・草原――羊飼いバジフィールド』


 勝利条件【バジフィールドの撃破】

―――――――――――――――――――――――――――――――


 俺の脳内に浮かび上がるテロップ。


 そうだ。これはあくまでもゲーム。俺にとって現実でも、妹にとっては二次元だ。


 そして、世界は妹の視点に立っている。


 勝利条件も魔王軍にとっての……になる。


「ぶーっ、ですわ! お兄様の勝利条件も伝えてほしいですわ!」


「バカ。俺の勝利条件は一つだけだ」


 わざわざ言わなくたっていい。


 いつだって俺の目的は変わらない。


 魔王を――チビクソ妹をぶち殺すこと。それだけだ。


「さて。このステージは出撃ユニットを組める。たしか、ユニット枠は四つだったはずだ」


 いま魔王軍側にいる手駒は【鬼武者ゴドレッド】と【殺戮蝶リーザ・モア】。


 現段階で追加できる幹部は【女王蜂グレイフル】と【魔忍クニキリ】……妹がよっぽどバカじゃなければこの二キャラは確実に押さえているだろう。


 それと、幹部獲得イベントの難易度は上がるが【赤魔女ナナベール】。


【反英雄ドクロック】……は、まだ仲間にしていないだろうな。難易度が高いこともあるが、妹の好みじゃないので序盤のうちに危険を冒してまで獲得しようとはしないはずだ。


 というワケで、いま現在揃えているであろう幹部は四人、ないし五人。


 それに魔王を加えたメンバーの中からこの戦いに投入する戦士を選ぶわけだが……。


「ゴドレッド、リーザ・モア、グレイフル、クニキリの四人で決まりだな。さらにこの四人のうちの誰か一人の部下を加えた、計九体の敵がこれからここにやってくる」


 俺ならクニキリの部下の【下忍】を選択する。俊敏性があって場を引っ掻きまわせるからな。囮には最適だ。


「こちら側の戦力はどうなってますの?」


「正規版ではバジフィールドと羊が十頭だった。羊はほぼ障害物だ。……ま、第一章第一ステージ初戦の中ボスだし、難易度は低く設定してある」


「一対四だなんて卑怯ですわ! 絶対に勝てませんの!」


「そりゃそうだ。これはプレイヤーのためのゲームなんだからよ。プレイヤーが勝てなきゃ意味がない。俺もこのステージでやつらを全滅させられるとは思ってねえよ」


 バジフィールドはここで死ぬ。それは既定路線だ。


 そのシナリオを変更させるつもりは俺にもない。


「わざわざ死にに行くんですのね」


「まあな。――だが、やられっぱなしで終わらせるつもりはねえ。俺は俺でイロイロ試してみるさ」


 そら、かかってこいよ。



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