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レベル上げにはもってこい


 何度目かの〝トドメ〟を差して、ひとまず目標のレベルに到達した。


『魔王の攻撃!

 ジェムにダメージを与えた!』

『109』


『ジェムをやっつけた!』


『魔王のレベルが上がりました!』



―――――――――――――――――――――

 魔王    LV.20

       HP  1000/1000

       MP   281/281

       ATK  151

       MAT  167

―――――――――――――――――――――



 レベルがついに『20』の大台に乗った!


 このくらいまで成長すると次のレベルの経験値まで長くって、なかなかレベルが上がらないんだ。だから、経験値を溜める機会があればできるだけ粘って経験値を溜めまくりたい。それができるのがこのステージだ。


 二人一組の勇者。一方を殺しても、もう一方が生きていたら復活する。何度殺しても復活する。片方を生かしておくかぎり無限に経験値がもらえる。


 つまり、レベル上げにはもってこいってわけ。


 瀕死のルッチをアーク・マオニーで囲んで死なない程度に動きを封じておく。


 獲得経験値が比較的高いジェムを復活するたびに殺してレベルアップに勤しむ。


 これが、私が考えたこのステージの正しい攻略法。


 第一章第五ステージ最終決戦前の下準備。


 ま、ぶっちゃけ運がよかったよね。


 私がこのゲームを理解したことで初めて成り立つ作戦なんだもん。


 だって、普通に戦ったらジェムとルッチってめっちゃ強いんだ。片方倒すのだけでもしんどいのに、もう一方も一巡しないうちに倒さないといけないから。


 この姉妹を倒す方法はただ一つ、一巡する間に両方のHPをゼロにすること。


 同時に殺すってことね。そうすれば〈聖約の指輪〉の呪いを打ち破ることができる。


 それがどんなに至難の業かって話だよね。例えるなら、前の戦い――『西門』ステージで言うところの神父とシスターを同時に殺すみたいなもんだね。


 いや、たぶんそれより難しいかもしれない。なんたってジェムもルッチもすばしっこいから。逃げに回られたら追いつけない。まあ、そうなったらこっちもやられる心配はないんだけど。


 片方だけを殺し続けるなんていうレベル上げの仕方は、勇者と圧倒的な戦力差がなければまず成り立たないよね。どっちも瀕死に留めておけるほどの力だよ。今の魔王にそんな力はないし、勝つのだけでも精一杯。


 可能にしたのはまたしても私の天才的発想! ……ていうか、一周目をクリアした経験を活かしたことによる。〈聖約の指輪〉のことも、姉妹の戦闘スタイルも、すべて覚えていたからできたこと。


 そして、《闇衣/ヤムイ》――このスキルがあってこその作戦だった。


 本来ならストーリーの終盤で会得するはずの連携スキル。


 それを私は設定を無視して前借りした。


 ナナベールが《エンド》を使ったときと同様に、劇中の魔王とアーク・マオニーがまだ思い出していない〝呪文〟をモニターに向かって詠唱した。


==其の名を呼べ 命を乞え==

==其れがいなければ 神もいない==

==神が与えれば 其れが奪う==

==手には剣を 外套には其れを==

==ローセル、アングル、シュール、ラングラン、コギュ、ラ、マルタ==

==紡げ――《闇衣》==


 強制的にアーク・マオニーを具足化し、魔王が〝其れ〟を装備する。


 合体スキル《闇衣》。


 魔王とアーク・マオニーが織りなす最高の最終形態。


 ぶっちゃけ《エンド》と同じか、ううん、たぶんそれ以上のチート技。


 こんな序盤で使えていいスキルじゃない。そりゃアンバルハルの勇者程度ならアークを一体装備しただけでも圧倒できる。三体くっついたら敵にすらならない。


 反則技を使ったペナルティってあるのかな、とちょっとだけ身構えたけど、今のところ何もなさそう。作戦は上手いこと当てはまって成功した。


『待機』をコマンドし、フィールド上にいるすべてのキャラのターンを消化する。一巡が過ぎてルッチが無事なら次のターンでジェムが蘇る仕様だ。


『勇者ジェムが蘇った!』


 ほらね。蘇生した。


 HPが『50』だけ回復し、ルッチがポーションで回復した分を分け与える。こうしてジェムは、毎度『100』前後のHPで復帰してくる。


 殺されるために。


 魔王に経験値を献上するために。


「不憫な敵役だよね、ほーんと。でも私、言ったよね? 一切手加減しないって」


『ジェムの攻撃!

 魔王にダメージを与えた!』

『60』



―――――――――――――――――――――

 魔王    LV.20

       HP   940/1000

       MP   281/281

       ATK  151

       MAT  167

―――――――――――――――――――――



 今の魔王は生身の状態。《闇衣》はおろか《エンチャントダーク/闇化》で強化すらしていない。勇者の攻撃は当たるし反撃もあまりしてくれなかった。


 だが、この戦いの中で2レベル上がっただけで見違えるほど強くなった。魔王は全キャラ中、最もバランスよく成長し、『攻』『防』『魔』すべてにおいて最強の能力値に至る。一切強化していなくてももうすでにジェムとの戦力差には大きな開きがある。


 NPCなんていうのは弱体化させると決まった行動しか取らないもの。ジェムは目の前の魔王に襲い掛かり、ルッチは回復役に努める。ただそれだけ。この状況に持ち込んだ時点で私の『南門』ステージは終わったも同然だった。


 魔王の手番。コマンド入力。


『魔王の攻撃!

 ジェムにダメージを与えた!』

『149』


『ジェムをやっつけた!』


 ターンエンド。


 アーク・マオニーを使って殺さない程度にルッチをいたぶる。


 いくらこっちが優勢だからって、勇者の攻撃は毎ターン確実に魔王とアーク・マオニーのHPを削ってくる。


 特にアーク・マオニーのほうは油断しているとルッチのクリティカルヒットで即死する恐れがある。一ターン内でジェムとルッチを同時に殺すには最低でもアーク・マオニーを一体残しておかないといけない。アーク・マオニーを死なせない程度に待機させておかなくちゃならなかった。


 一巡し、再び回ってきた手番でジェムは復活した。


『勇者ジェムが蘇った!』


 ジェムが魔王を攻撃し、魔王の手番でジェムを一撃粉砕する。


『ジェムをやっつけた!』


 この繰り返し。


 このループが終わるときっていつだろう。


 予想では、こっちの回復アイテムが切れるか、ルッチの回復アイテムが切れるかの二つに一つなんだけど――


 ルッチの手番が回ってきた。


 ルッチはポーションで回復することなくアーク・マオニー②に攻撃してきた。


『ルッチの攻撃!

 アーク・マオニー②にダメージを与えた!』

『77』



――――――――――――――――――――――

 アーク・マオニー②  LV.10

            HP  22/99

            MP  99/99

            ATK 66

            MTK 88

――――――――――――――――――――――



 ルッチはジェムに近づこうとして移動し、そのまま待機。


 復活したジェムのHPが回復することはもうない。


 ルッチのポーションが底をついたのだ。


「……あっそ」


 ボーナスタイムの終わりが見えた。



―――――――――――――――――

 ジェム LV.9

     HP   50/580

     MP    0/30

     ATK  72

―――――――――――――――――


―――――――――――――――――

 ルッチ LV.8

     HP   32/550

     MP   12/44

     ATK  67

―――――――――――――――――



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