姉妹の実力①
ジェムとルッチが動き出した。
二人の二頭身キャラがフィールド中央に向かってやってくる。
王宮兵は残り二体。勇者がいつ動き出すか見たくてじわじわ殺していたんだけど、これでもう用済み。魔王とアーク・マオニー①のターンで残りの王宮兵を速攻でぶっ潰す。
これであとはおまえらだけだ。ジェム。ルッチ。
ジェムとルッチの手番が回ってきた。やはり回ってくるのが早い。その速度は魔王とどっこい。アーク・マオニーたちを一ターン動かす間に二回行動できるくらいの速さだ。
魔王に接近してからの直接攻撃――と思いきや、二人は魔王を素通りして一番外側にいたアーク・マオニー④とアーク・マオニー⑤にそれぞれ攻撃を仕掛けた。
姉妹でポジションを交換し、駆け抜けていったのだ。
もちろん、魔王の射程範囲からも抜け出している。
「チッ! 相変わらず面倒くさい奴らっちなあ!」
舌打ちついでにルッチの語尾が移っちゃったよ。
『ジェムの攻撃!
アーク・マオニー④にダメージを与えた!』
『63』
――――――――――――――――――――――
アーク・マオニー④ LⅤ.10
HP 36/99
MP 99/99
ATK 66
MTK 88
――――――――――――――――――――――
『ルッチの攻撃!
アーク・マオニー⑤にダメージを与えた!』
『74』
――――――――――――――――――――――
アーク・マオニー⑤ LⅤ.10
HP 25/99
MP 99/99
ATK 66
MTK 88
――――――――――――――――――――――
「痛ったいなあ! もうっ!」
けど、ワンパンでやられなかったのがせめてもの救いだね。
いくら現時点でのアーク・マオニーがザコいからって、一撃でやられるようなら戦闘時の魔王の部下に釣り合わない。次の戦いでは別の部下との入れ替えも考えなくちゃならなかった。
……ま、杞憂だったけどね。アーク・マオニーを育てることが最強への近道なのは私が一番よく知っている。遠回りする必要がないとわかって安心したよ。
今回、アーク・マオニー④⑤には捨て駒になってもらおう。
アーク・マオニー④の手番。
ジェムに接近して攻撃だ!
『アーク・マオニー④の攻撃!
ジェムにダメージを与えた!』
『48』
―――――――――――――――――
ジェム LV.9
HP 532/580
MP 30/30
ATK 72
―――――――――――――――――
――当たる! ダメージもそんなに小さくない!
じゃあ、今度はルッチに攻撃だ!
手番が回ってきたアーク・マオニー⑤がルッチに仕掛ける!
『アーク・マオニー⑤の攻撃!
ルッチにダメージを与えた!』
『43』
―――――――――――――――――
ルッチ LV.8
HP 507/550
MP 44/44
ATK 67
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ルッチにも攻撃が当たった。想定の範囲内のダメージを与えられたし、反撃もこなかった。
普通だ。こいつらの強さは一周目プレイ時とあまり変わらない。
これまで戦ってきた勇者たちの傾向からして、ジェムとルッチも正規版より強くなっていることが予想された。
でも、能力が強化されてたり、使える魔法が増えてたり、そんなことにはなってなかった。お兄ちゃんの入れ知恵でおかしな行動を取ることもない。今のところかつて戦ったときと同様の行動しかしてこない。
未知の勇者スキルを会得している可能性も捨てきれないけれど、そういった気配は感じられない。きっとこいつらの勇者スキルも前回と同じはず。
いいね。ますます理想的なステージだ。
ジェムとルッチの手番がもう回ってきた。
お返しとばかりにそれぞれアーク・マオニー④とアーク・マオニー⑤に攻撃し、二体を撃破した。
アーク・マオニー④がやられました!
アーク・マオニー⑤がやられました!
「別にいいけどね! 調子に乗ってられんのも今のうちってね!」




