氷の魔法使い
一気に決める。
グレイフルはオプロン・トニカの心臓に狙いを定めた。
届かずとも、届くつもりで気合を込める。
(しかし、なぜこうもわらわの相手には卑劣な輩が多いのかしら……)
そういう星の下に生まれたと思えばすでに諦めもついているが、そもそもこの世に生み出された初っ端からケンカ相手に恵まれてこなかった。
オプロン・トニカがいつまでも目を閉ざしているのはわざとか、盲か。
その姿もあの忌々しい蝶々を彷彿とさせてイラつかせる。
「よくってよ。わらわに殺される運命にあるということですわ」
ここでグレイフルに殺されるために配置された駒。
恨むなら、自身のそのふざけた特徴を恨むがいい。
「行きますわよ。――――ハァア!」
九度目の突進。頭上で槍を回転させながら突くその瞬間を惑わせる。
ここ、というタイミングで放った一突きがバリアを貫通した。
刺突の圧が弾丸となって飛んでいき、射程距離の遥か遠くにいるオプロン・トニカの肩口を抉り抜けた。
「ッ――――」
痛みは一瞬。
かすり傷に過ぎない。
音楽を止めるには弱すぎる。
だが、オプロン・トニカの手許がわずかに狂った。
一音外した。
「ふっ――。よろしい。この変調はお嬢さんのための葬送曲と致しましょう。しかと、ご堪能いただきますよう!」
音楽がさらに激しさを増し、ある小節が聞く者の耳には詠唱となって認識された。
==聞け! 氷の精霊よ! 我を隔絶する者よ!==
==永遠に祈りつづけ、我が道を閉ざせ!==
==不死でありながら呼吸を止め、境界を映せ!==
==ローセル、アングル、シュール、ラングラン、コギュ、ラ、マルタ==
==紡げ――《ヘイルストーム》!==
空中に展開されたバリアから何かが飛散した。
ダダダダダ――ッッッ!
「――ッ!?」
それは雨あられの如く射出された氷の弾丸。
氷の魔法使い――オプロン・トニカの本領発揮であった。
「チィイイイ!」
槍を振り回して弾丸をはじく。
後退を余儀なくされたグレイフルだったが、いつの間にか地面に張られた氷が意志をもったように氷柱を伸ばしてグレイフルの足を捕捉した。
両足を凍らされて身動きが取れない!
氷魔法 《フローズンバインド》!
「次から次へと鬱陶しいですわ!」
槍で氷柱を粉砕し、すかさず飛び退いて氷弾の嵐を回避する。
東門からさらに遠退いてしまった。
「ほっほっほ。戦いなどという野蛮なことはやめにして、わたくしの演奏に身を委ねられては如何ですかな。音楽でなら種族を超えてわかりあえるはずです」
オプロン・トニカの軽口を、グレイフルは憤然と突っぱねた。
「寝言は寝て言え、ですわ!」
膠着状態はつづく。
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オプロン・トニカ LV.20
HP 817/820
MP 185/200
MTK 85
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王宮兵(5) LV.13
HP 220/220
MP 0/0
ATK 55
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魔導兵(2) LV.10
HP 84/84
MP 60/60
MTK 46
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バリア(7) HP50/50
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グレイフル LV.14
HP 517/575
MP 81/81
ATK 124
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働き蜂(5) LV.2
HP 60/60
MP 3/3
MAT 22
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