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特殊ステージ『西邦ダカルマイル辺境――封印されし者』

【引見】でシナリオを読み終わったタイミングで、アーク・マオニーが画面上に現れた。


『魔王様! 【鬼武者ゴドレッド】が【偵知】から帰ってきました♪』

『魔王様! 【殺戮蝶リーザ・モア】が【偵知】から帰ってきました♪』


 これで世界地図上の二箇所の光点に地名が表記された。


【軍議】の【指令】項目にも【NEW】と表記が付いたミッションが二つ追加された。


 ようし。そんじゃ早速、『西邦ダカルマイル辺境――封印されし者』ミッションスタート!


◇◇◇


【西邦ダカルマイル】は、【東域アンバルハル】とは対になる文化を形成している。


 現実世界で言えば、アンバルハルがヨーロッパ系で、ダカルマイルがアジア系って感じ。アジアの中でも中央アジアっぽいかな。乾燥地帯で、砂漠が広がっているイメージ。


 それで、行商人の一団はラクダみたいな生き物に乗って、皆ターバンを頭に巻いている。彫りの深い顔立ちで、眉毛とかヒゲが黒くて濃い、みたいな? わかりやすく説明するとそういう人種が住んでる地域ね。


 今回は【侵攻】ではないから、この国の人たちと戦うことはない。


 あくまでも目的は、この国の辺境にある洞窟に封じられた幹部を救出することだ。


――――――――――――――――――――――――――――

 特殊ステージ『西邦ダカルマイル辺境――封印されし者』

――――――――――――――――――――――――――――


 ステージタイトルが表示され、砂漠を背景にゴドレッドの立ち絵が現れる。


『人間どもによってこのような場所に百年余りも……。さぞ屈辱であったろう』


 封印されし同胞の無念に思いを致す。


 恐い顔をしているが誰よりも仲間思いのゴドレッド。


『待っていろ。我がすぐに助けてやるぞ』


 場面が替わり、『洞窟ステージ』のフィールドが展開される。


 二頭身にデフォルメされたゴドレッドが五匹のゴブリンを率いて洞窟内を歩いていく。


 そこに番人である【神の使い】が立ちはだかった。


【神の使い】の立ち絵が現れる。見た目は金髪ロン毛のチャラ男風の若者だが、白い法衣に白い翼、黄金の輪っかが頭上に浮いているので、かろうじて天使だとわかる。


 にたにたと小馬鹿にするように笑いながら、


『貴様っ! もしや魔族かっ!? 魔王が復活したという噂は本当であったか!』


 うっわ。声までむかつく。


『であえ! であえ! 魔族は一匹たりとも生かして帰すな!』


 二頭身の天使キャラがぞろぞろとフィールド上に現れる。


 ザコってわかっているけど、私も腕まくり。


 ゴドレッドが静かに言う。


『神の下僕どもよ。貴公らに恨みはないが、邪魔立てするなら退けるのみ』


 赤い眼を光らせて、叫んだ。


『推して参るッ!』


――――――――――――――

 勝利条件【敵勢力の殲滅】

――――――――――――――


 フィールドマップ上にキャラクターを配置するのだが、私はデフォルトのまま戦闘開始ボタンを押した。


 このステージの敵を倒すのはそれほど難しくない。


 ゴドレッドの移動距離は短いけれども、相手から向かってきてくれるので待っていれば勝手に射程距離に入ってきてくれるのだ。戦略なんて考えるのも無駄。


 戦闘開始。


 翼を持った天使の方がやはり素早さは上で、ターンが回ってくるのも早い。ゴドレッドより三割り増しといったところかな。必然、ゴドレッドが近づくよりも早く、天使たちが接近してきた。


 隣のマスに隣接した天使がゴドレッドに攻撃を仕掛ける。


 杖のようなもので物理攻撃。ボカリッ、という打撃音が鳴る。


 ダメージポイントが二頭身キャラに被さるように表示された。


『2』


「弱っ! やっぱクソザコじゃん、こいつら!」


 ていうか、これが普通なんだよね。ゲームの難易度的には。アコン村の【農耕兵】が規格外だったんだ。


 あと、補足すると、天使たちは決して弱くないのだ。ただ、戦い方を間違っているだけ。


 天使は魔法の使い手だ。こうして接近戦を仕掛けてきた時点で戦略ミス。


 といっても、接近戦にならざるをえないんだけど。


 カーソルを天使に合わせる。【天使①】のステータスが表示された。


―――――――――――――――

 天使① LV.  1

     HP  13/13

     MP   0/55

     ATK  3

―――――――――――――――


 ほらね。


 最大MPはめっちゃあるんだけど枯渇してるから魔法が使えないってわけ。


 このステージは序盤に攻略されるように作られているから敵のレベルもこの程度なのだ。


 もしもMPが全回復していたらとんでもない強敵だったろうけどね。


 ゴドレッドの番がきた。


 斧を振り被り、バッゴーン! と【天使①】を攻撃。


【天使①】にダメージを与えた!


『23』


『【天使①】を撃破した!』


「っしゃ! 一撃!」


 これよこれ! この爽快感! ゲームってのはこうでなくっちゃ!


 この後もゴドレッドに向かってくる天使どもを一刀両断していく。


 部下のゴブリンたちは好き勝手動いて残りの天使を倒していった。……早くレベルを上げてカリスマ値を上昇させたいな。命令させないと部下はいつまで経ってもおバカちゃんのままだから。


 戦いはこちら側の圧勝で幕を閉じた。


――――――――――――――――――――――――――――――

 特殊ステージ『西邦ダカルマイル辺境――封印されし者』終了

――――――――――――――――――――――――――――――


 残存数

 魔族 6

 天使 0


 勝利 魔族(鬼武者ゴドレッド)

 敗北 神の使い(天使)


◇◇◇


 洞窟の奥。聖なる光の壁に覆われた扉があった。ゴドレッドの戦斧が光の壁を砕く。


 扉を開けると、中には鎖で繋がれた男がいた。


『久しいな。――【魔忍クニキリ】』


 ゴドレッドが呼びかけると、忍者のような格好をした蓬髪の青年の立ち絵が現れた。


 三白眼をぎょろりと向ける。


『……なんだ。わざわざ起こしにきたのかよ。もうちょい寝ていたかったのに』


 若い、中世的な声。


 アディユスほどではないけれど、男キャラの中ではまあまあ女性人気が高いキャラだ。


『魔王様がお呼びだ。仕える気はあるか?』


『……主を戴き忠節に生きることこそ忍の本懐。――拙者を何だと思っている。そのようなこと訊くまでもねえだろ!』


 そうして、三白眼は怪しく笑い、自ら鎖を解いて自由を手に入れた。


―――――――――――――――――――――

【魔忍クニキリ】が魔王軍の幹部になった!

―――――――――――――――――――――


 ふふん。これぞ約束された勝利の神ゲー……いや、魔王ゲー【魔王降臨】よね!


 ゲームバランスがおかしいのは総じてクソゲーなんだよ、クソゲー!


 お兄ちゃんが頭いいのは認めるけど、所詮クソゲーしか作れない残念脳なのだ。


 お兄ちゃんがまだ手を加えてないシナリオってやっぱり面白い!


お読みいただきありがとうございます!

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