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蜿悟ュ舌お繝ォ繝輔螂エ髫キ逕滓エサ--SYSTEM ERROR:[双子エルフの奴隷生活]


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 【髫?縺励す繝翫Μ繧ェが解放されました】


 『髫?縺励す繝翫Μ繧ェ【蜿悟ュ舌お繝ォ繝輔?螂エ髫キ逕滓エサ】』を閲覧しますか?


 ◇ はい

   いいえ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


◇◇◇


 戦いは魔族側の勝利に終わった。


 町は焦げ臭いニオイが充満し、戦闘の苛烈さを物語っていた。おそらくこの血生臭い気配は、たとえ町が復興し元通り修復されたとしても、永遠に残りつづけるだろう。


 キラービーの死骸と王宮兵たちの死体がそこらに転がっている。あまりに凄惨な光景だ。その場を生きて歩いている者は、きっと戦いに勝利した者だけであろう。


 そこに不思議な集団がいた。


 社会にうまく溶け込めずスラムに押し込められた浮浪者と呼ばれる人間たちが、百人以上も集まって集団で行進していた。先頭には、着ているドレスが戦いで破れ、汚れ、血まみれになったにもかかわらず、絢爛さを露ほども損なわずに闊歩する女王蜂グレイフル。まるで女王陛下に付き従う兵士さながらの勇壮さがあった。


「よくってよ! よくってよ! わらわに支配される悦びを存分に味わうがいいですわ! をーっほっほっほっ!」


 女王蜂は明らかに上機嫌だった。何だかんだ文句を垂れていたが、戦いに勝利したことは素直に嬉しいらしい。戦利品も手に入ったことだし。今ならきっと些細な異物に気づくことはないだろう。


 浮浪者の集団の中に、あの双子エルフのエウネとハウリがいた。


 グレイフルに吹っ飛ばされた後、戦いが終わるまで死んだフリをしてやり過ごし、戦いが終わったら今度は逃げ出すタイミングを逸し、死んだフリでは余計に目立つと判断して、――だったら大胆不敵にも従者の中に紛れて逃げ切ってやろうと考えた。


 グレイフルもまさかこの中に双子が紛れて込んでいるとは夢にも思うまい。


(さすがはハウリ。冴えている)

(褒めるな、褒めるな。でも、今はまだ敵陣の中。十分気をつけろ。いい?)


(わかっている。町を出るまでの辛抱だ)

(そのとおり。町を出るまでが勝負だ)


 アイコンタクトだけで意思を伝え合う。


 ひとまず町を抜け出したら隙を衝いて逃げるつもりでいた。双子は黙ったまま人間たちと歩調をあわせた。


 ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、――――


 乱れることのない行進。歩調も一定で、リズムも一律。芸術的なまでの集団行動。


(はわわわわ!?)

(はわわわわ!?)


 逃げ出す隙が全然ない。むしろ集団と別行動を取った瞬間に、グレイフルに直ちに見つかってしまう恐れがあった。双子は「どうする!?」「どうする!?」と忙しなく目線だけで相談しまくった。


 そこへ、運が悪いことに、他の幹部までもが合流してきた。


「――グレイフル。あなた、その人間たちをどうする気なの?」


「わらわの物ですわ。当然、城へ連れて帰りますわ」


「はあ。呆れた。人間なんて持ち帰ってどうするのよ……」


「くけけけけ! だったらさあ、うちにくれよ。人間使って実験したかったんよなあ」


「あげませんわよ。わらわの物だと言ったはずですわ。欲しくば力ずくで奪うことね、ナナベール」


「あっそ。なら、後でパイゼルに奪ってこさせよ。文句ねえだろ?」


「ええ、もちろん。奪えるものなら奪ってみなさいな」


「……そういえば最近、お花の養分に困っていたのを思い出したわ。人食い植物はキレイな花を咲かせるのよ」


「リーザも来る? 構いませんわよ。まとめて返り討ちにしてやりますわ!」


 三人の幹部が睨み合い、ゴゴゴゴゴ、と大気を震わせた。


「……貴公ら。そもそも魔王様の許可は得ているのか?」


 三人は同時に「事後承諾!(ですわ!)」と口を揃えた。仲がいいのか悪いのか、鬼武者は無表情の中に疲れの色を滲ませた。


 それ以上に顔面蒼白だったのはエウネとハウリである。


(逃げられない!?)

(逃げられない!?)


 合流した4幹部に四方を囲まれて、一行は魔王軍の拠点とされている【魔軍要塞・ハザーク砦】へと向かった。


◇◇◇


 あれから数日が経った。


 元浮浪者たちはグレイフルの趣味にあわせ身形をキレイに整えて、働き蜂たちの奴隷にされていた。


 しかし、所詮人間の力では魔族の手伝いをするにしてもやれることは限られる。身の回りの世話か、おやつの餌になるくらいだ。しかし、人間とはいえすでにグレイフルの所有物。勝手につまみ食いできないので、働き蜂たちは仕方なく役立たずの人間を使ってやることにした。


 それは実験でもあった。人間を使役する時代がやってきたとき一体何の役に立つのか、今のうちに見極める必要があった。


 グレイフルは働き蜂に指示を出す。


「人間は器用な作業が得意でしてよ。何か物を作らせてみなさいな」


 元人間(正確にはホムンクルスだが)の赤魔女のように、非力を手先と頭脳でカバーできるのが人間だ。魔界の物を与えて何を生み出すのか興味もあった。


「所有物を磨いて魅力を育てることもまた所有者の務めですわ。人間をうまく使ってやりますわ」


 女王蜂は自分の所有物には寛容だった。三食与え、十分な睡眠を取らせた。奴隷たちはゼッペに居た頃よりももしかしたら幸福なのかもしれない。


 そして、あの双子はというと――


「グレイフル様! お履物をピカピカにお磨きする! します!」

「グレイフル様! 肩揉んであげる! 気持ちいい? いい?」


「あら。ふたりともよく働きますのね。感心、感心。そうやってわらわに媚びを売りつづけるなら殺さずにいて差し上げますわ」


「ありがとうございます!」

「ありがとうございます!」


 めちゃくちゃゴマを刷っていた。死にたくないのだ。


 だがしかし、これはグレイフルの目を欺く仮の姿でもあった! 隙あらば寝首をかこうと密かに目論んでいた。得物であるナイフと弓矢は取り上げられてしまったが、なんの、双子は体術にも覚えがあるのだ。完全に脱力した状態のグレイフルであれば命を奪うことも難しくない。


 ここ数日間の奉仕でグレイフルに取り入ることには成功している。双子はその手応えを感じて不敵に頷きあうのだった。


 ――そう。殺すことならいつでもできるのだ。


 夜中、見張りの目を盗んで奴隷部屋を出る。完全に気配を消して誰にも見つからずに出入りするのは双子にしかできない芸当だ。これまでにも何度か部屋から抜け出していた。


 ここは魔王がいる敵側の拠点。捕まった経緯はともかく、そこにうまく忍び込めている状況だ。魔王軍の内部事情を探れる絶好のチャンスであった。


 ……それに今なら魔王を暗殺できるのでは?


 いや、さすがにそれは高望みがすぎるだろう。でも、砦内部を探索すれば少しは敵の弱点を見つけだすことができるのではないか。この積み重ねが人類を勝利へと導く鍵になるかもしれなかった。双子は奮起した。人類のために戦おうと決意した。


 音も無く城内を走り回る。目的地にはすぐ着いた。その部屋は初日の探索時にはもう発見していた。それからは毎晩のように通い詰めている。当初の目的こそ砦の探索であったが、二日目からはこの部屋に来ることが目的になっていたようにも思う。が、双子はまったく気にしない。


 そこは食料の貯蔵庫だった。


 働き蜂たちがせっせとこしらえた甘い甘いハチミツ。それを固めてお菓子にした物が壷一杯に詰まっていた。壷も一つや二つではない。貯蔵庫の果てまで無数に並べてあった。一つや二つくらい無くなっても気づかれやしないだろう。


 双子は一心不乱にお菓子を頬張った。


「お、美味しい! こんなに美味しいお菓子がこの世にあるなんて驚きだ!」

「ポロントのトコで食べたどのお菓子よりも美味しいな! 食べ飽きないな!」


「ここから逃げたら二度と食べられないなんて拷問だ!」

「わかる! 一生ここにいてもいいかもしれないな!」


「さすがにそれはないけどな!」

「さすがにな!」


「でも、グレイフルはいつでも殺せるし、それまでは堪能しような!」

「それもそうだな! あいつはいつでも殺せるし! 簡単だな!」


「「ハッハッハッハッハッ!!!」」





「誰をいつでも殺せますの?」


 死ぬほど驚いた。


 しかし双子は予め想定していたかのような滑らかな動作で並んで膝をつき、深々と頭を地面にこすり付けた。古の究極魔法『DOGEZA』である。


「エウネはそんなこと言っていない。でもごめんなさい」

「ハウリもそんなこと言っていない。殺さないで。いい?」


「……」


 沈黙が恐い。


 そして、ご主人様は無言のままゆっくりと二人の上に馬乗りになり、左右の拳で交互に殴りつけてきた。双子を一度に股に挟んで右に左に滅多打ちにする。殺されなかったのは完全にグレイフルの気まぐれだが、拳の連打を浴びて顔を腫らしただけで済んでいる双子も相当に頑丈である。


◇◇◇


 翌日、ハザーク砦に勇者が攻めてきた。


 グレイフルはすぐさま戦の準備に取り掛かる。


 可愛い配下に言葉を掛けていき、奴隷たちにも情けを掛ける。


「人間たちよ、わらわの勇姿をとくと目に焼き付けるがいいですわ! わらわに仕える幸福をわらわに感謝なさいな!」


 奴隷たちは泣いて感謝を口にした。


 双子が眠たそうに目を擦っていると、


「エウネとハウリもようく見ておくことですわ」


「名指し!?」

「名指し!?」


 ていうか、名前を覚えられていたとは。


 なんだかんだと気に入られている双子であった。


「今度は骨のある勇者だといいですわね。わらわを楽しませなさいな、人間」


(髫?縺励す繝翫Μ繧ェ 了)


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