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カルミナント~魔法世界は銃社会~  作者: 不和焙
序章 ようこそ愛しき共犯者
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エピローグ 闇社会

 ――とある談話室――


 灯りのともっていない薄暗い談話室。

 壁の一面には巨大な水槽があり、

 大小様々な水棲魔獣たちが泳いでいる。

 その水槽から漏れる光のみが、

 わずかに部屋を照らしている。


 部屋の中には男女が二人。

 壁に掛けたスクリーンで映像を眺めている。

 画面いっぱいに女が映る。朝霧だ。

 男の方が口を開く。


「んーっ! 滑稽!

 正義だ何だと(のたま)いながら、やっているのはただの殺人。

 これを喜劇と言わずして何と言いましょうや?

 ワタクシことサマエル。非常に気に入りましたぞ!」


 山羊のような頭に、足下まで垂れる

 真っ黒なローブを羽織った男は語る。


 隣には女、サラサラとした長い金髪。

 とても美しい顔立ちであるが、

 その両手足は機械仕掛けで出来ていた。


「ちょっとサマエルってばマジ悪魔ー!

 ワビサビって奴ぅ? それが全然たんなーい。」


「おや? ではフロル嬢。

 アンドロイドたる貴女が弾きだした感想は?」


「ウチのCPUの演算結果は『マジ、アガる』!

 っぱ人間ってこうじゃなきゃ!

 ウチら人外との違いは、成長性ってやつっしょ!」


 したり顔のアンドロイドの言葉に悪魔は笑った。


「んーっ! 納得!

 即ち彼女の本番はまだまだこれから、という事ですな!」


 悪魔は立ち上がり、

 リモコンで画面をコロコロと変えだした。


「しからば! しからば我ら!

 この先朝霧桃香を襲うであろう災難、苦難。

 その一切を此処より見届けましょうや!」


 直後、目的の映像を移し画面を止める。

 悪魔はスクリーン一杯に表示された朝霧を指差した。


「――果たして彼女はどんな『成長』を見せ、

 どんな『答え』にたどり着くのか!?」


 人外たちは嗤う。巨大な水棲魔獣が餌を頬張る。



 ――――


 魔王執政補佐官第九席ボガート死亡。


 この一大ニュースは朝霧桃香の名と共に

 魔法世界中に轟いた。

 それは表に生きる者だけでは無く、

 影に生きる者たち、即ち闇社会までにも。


 そして当然、闇社会の王『特異点』たちにも――



 ――とある貧民街――


「おい! 聞いたか!? ≪暴食の魔王≫の所の

 ボガートがくたばりやがった!」


「マジかよ、殺ったのは何処のどいつだ?」


「封魔局の新入りの朝霧って奴らしい!」



 ――とある酒場――


「頭領、頭領! ≪暴食≫の戦力が削げたよ!

 今なら何か盗れるんじゃないの?」


「バァーカ!

 その程度で傾くほど暴食の魔王は甘くねぇよ。」


「頭領だってその『特異点』じゃん!」


「今やっても大したモンは盗れねぇって話だ。

 やるならデッカく、()()()、だ。」



 ――とある都市――


「魔王様ー! 事実確認出来ましたぁ!

 どうやらボガート様は本当にッ!」


「……あぁそうか、まぁ()()()()もんなぁ。」


「え?」


「九人いる執政補佐官。その第九席。

 これがハナから全部を物語ってた。

 あいつも焦ってたんだろうな……」


「は、はぁ……」


「……ところで、封魔局員の情報は割れたか?」


「は、はい!

 先日『向こうの世界』から移住した女性。

 名は朝霧桃香です。」


「朝霧……? なるほど?

 よりによって()()()()()かよ。」



 ――東京・とあるビルの屋上――


 異質な骸骨頭が夜景を眺めたたずんでいた。

 特異点の一角。≪黒幕≫だ。


『はぁー、失敗した。まさか封魔局員になったかぁ。

 敵じゃん。完全な敵じゃん。何やってんだろ、俺は……』


 黒幕が棒状のスイッチを押すと

 背後に裂け目が生まれる。


『まぁ気を取り直そう。今回の収穫はデカかった。

 こっちも期待の大型新人だ。』


 その裂け目の中に、黒幕は消え失せた。


作者です。ここまでのご視聴、誠にありがとうございます。


ひとまず序章はここで終了です。作品の感想、ブックマーク、評価は大変励みになりました。ありがとうございます。


今後とも応援よろしくお願いします。

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