第一章:第四話
翌日。
ディレットは、もろもろ準備を終えるとアマラ館内の散策を開始する。
そして、一通り散策を終えたディレットは宿泊棟の中央にある小さな庭でベンチに座って休むことにした。
ここである程度、時間を潰したら受付ロビーに向かいパーティメンバーの募集状況を確認しようと思っている。
そうして、時間が経っていくと空を見ながら休んでいたディレットに男女の声が耳に入ってきた。
「アディルトー、お願いだから私達のパーティに入ってよー。
ねっ。私達、女の子だけのパーティじゃ心配なのー」
「――申し訳ないが、今はいろいろなパーティを見てまわりたいのです。
短期でならまた誘って下さい……」
「えー、じゃあ、今度の討伐依頼一緒に行こうよー」
「貴方達とは、つい最近仕事したばかりではないですか……
また、期間を置いたらお願いしますね」
「――もうっ、強情なんだから。
わかったよー、あんまりしつこいと嫌われちゃうからまた今度誘うね。
バイバーイ」
ディレットは、そんな会話を盗み聞き、いや勝手に聞こえてくる声を聞いていると、アディルトと呼ばれた男がこちらに気がつき、何を思ってかやってくる。
「こんにちは。よい天気ですね」
挨拶をされたのでアディルトと呼ばれる男へ目を向けると、その男は『ダークエルフ』と呼ばれる種族であった。
【ダークエルフ種族】
外見は人間種族とあまり変わりないが耳が長く尖って、褐色肌である特徴をもつ。
ステータスは、人間種族と比べると、『力』など肉体的なものが低い傾向にあるが『速さ』、『軽業』は高く。魔力系も高い。
MPは人間種族と比べると多いがテパレス種族と比べると少ない。
陣魔法の発動関係に対するものも微々たるものだが補正加算されている。
◇
「ああ、こんにちは」
「私はここに、一年はいませんがそれなりに長く住んでましてね。
新しく見る顔でしたので声をかけさせてもらいました。
失礼ですが、新しくここへ宿泊された方ですか?」
「――昨日から世話になっている、ディレットだ。よろしく」
「これは紹介が遅れました。私は、アディルトと言います。
見てわかるかと思いますがダークエルフ種族なんですよ。
ディレットは、その……気に障るかもしれませんが人間種族では、ないように見えますが?」
「――すごいな、見ただけでわかるのか。この通りテパレス種族だ」
と、いってディレットは、服を軽くめくりヘソ部分の光沢の皮膚を見せた。
「……いえ、何の種族かは、わからなかったのですが、
雰囲気が他のかたと違いましたので……
珍しいですね、初めて会いました。
人間種族社会だと同じ種族でもあまり会いませんからね」
「そうだな。まあ、俺は親ともう一人以外、同種を知らないが」
「……そうなんですか。
昨日からということは、パーティメンバーも募集しているのですか?」
「ああ、募集をかけている最中だ。よかったら掲示板を覗いてみてくれ」
「そうですか。ぜひ覗かせてもらいますよ。では、またお会いしましょう」
「ああ、待っているよ……」
ディレットは、あまり期待をせずにその男の背中を見送った。