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第一章:第一話

 『ジィーラ皇国』という国がある。


 パルトア大陸の中央より西南側に位置する場所にあり、国土の広さは人類が占める大陸内では四本の指に入る国といわれる。

 人間種族が中心の国で、この国の政治と軍事は実質、『三豪族』と『中央院』が取り仕切り行われている。

 だが、その国の長である『皇』とされるものは人間種族ではない。

 その種族は不明だが人間種族を超越した戦闘力を持つ『アシュラ皇』と呼ばれるものがなっていた。

 

 アシュラ皇は、政治などに対しては、ほぼ関与はしない。

 だが、大敵が現れる時と、その準備にはその力は振るわれ大敵からの脅威から皇国を守るものとされる。

 このことから、ジィーラ皇国の国民であるものは、アシュラ皇を崇拝し中心として考えているものが多い。


 ジィーラ皇国は、他国と比べて国内に『モンスター多発転送地帯』が数多く存在している。

 『モンスター多発転送地帯』というのは、

 まずモンスターは、『キーテムポール』の結界内にない場合、それぞれの世界から理由は不明だが転送されパルトア大陸に渡ってくる。

 そんなモンスターが通常転送される場所よりも転送頻度が高い場所をいう。


 結界は、そういう危険な場所に対して真っ先に張るべきではないかと思われる。過去の人物達もそう思い『モンスター多発転送地帯』に結界を張った。

 しかし、意味がなかった。

 『モンスター多発転送地帯』が予想出来ない結界外に、ただ移動してしまったからである。

 そのため、ヘタに移動させると大惨事を引き起こしてしまう可能性が出てきてしまうのだ。

 他にも、大きな範囲で『モンスター多発転送地帯』に結界を張ろうとした場合、大きな力が働き結界を壊そうともされた。

 これらのことにより、現状それら一帯に関してはあまり積極的に動こうとはしていない。


 しかし、積極的でないのは『モンスター多発転送地帯』に対しての結界のことで、モンスター討伐に関することにはジィーラ皇国は大きな力を割いていた。

 モンスターに関しては、悪いことばかりではない。討伐によって得た素材の売買でかなりの収益を上げることができるからだ。

 それにより、ジィーラ皇国は他国と比べて裕福でもあった。



 ◇



 ジィーラ皇国にある首都として結界内にある領地、『ラバサパ』。

 その領地内に複数存在する街の一つ、『ニニギ』。

 現在のニニギ街は、ラバサパ都領の最北に位置している。


 ニニギ街から東北に行くとモンスターランクが下位の『モンスター多発転送地帯』がある。

 この地帯には、『ラステム』のランクが低い者が集う場所、『始まりの地』でもあった。



 モンスターとの戦いで収入を得るには、主な組織として二つ挙げられる。

 『冒険者組合』と『討伐者組合』である。


 『冒険者組合』というものは、

 街や村付近で住民などからのモンスター目撃情報を受けると、冒険者組合が冒険者達に討伐依頼を出す。

 そして、冒険者達は、自分の力量に合わせて依頼を受ける。

 と、いう短期広範囲活動を目的にしている。


 『討伐者組合』というものは、

 討伐者達にむけて期間内に規定討伐数を達成すること。

 と、いう依頼が常に出されており。

 討伐者は、その依頼を受けて『モンスター多発転送地域』へと向かう。

 そして、その場に留まってモンスターが群れ、はぐれとなす前に少数の内に数を減らす。

 と、いう駐屯討伐活動を目的にしていた。



 そして、ここニニギ街に十四歳の年を迎え己が目的のために討伐者として登録をしにきた者がいた。

 テパレス種族の男で、名前をディレット・パレットという。


 ジィーラ皇国では、十四歳を迎える年で成人として独り立ちをする。

 歴は、一年が十四ヶ月、一ヶ月が二十八日、一週が七日である。



 ディレットは、討伐者組合館内へと入っていった。


 館内は広く、入って左側に個室が並ぶ部屋と受付待ち用のイスが並んでいた。

 前面には複数の受付カウンターと職員が居たので、空いている受付へと向かうことにした。


 受付の後ろは、吹け抜けていて事務処理をしている職員を多数いることを覗かせる。

 ディレットは、受付担当職員へと目を向ける。


 職員は、討伐者組合専用のワインレッドをモチーフにした制服と黒のクロスタイを付けた装いでいた。

 そして、二十代後半位の男性がカウンター越しに

「本日は、どのようなご用件でしょうか」

 と、丁寧に対応を始めた。


「討伐者として登録をしたいのですが……」


「――承知しました。

 では、新規登録の前に諸注意などをお伝えしますので、

 少々お時間をいただくことを、ご了承ください」

 と、職員がいって説明を始めた。


 ……数分が経過して説明を聞き終えた。


 ディレットとして気に留めたものは、

 『討伐ノルマポイント』と『特殊依頼ポイント』というノルマがあるものだった。


 『討伐ノルマポイント』は、

 下位、中位、上位といったようなモンスター階位でポイント数は変化して、フリーとパーティでも必要ポイントは違うというもの。

 だが、『討伐ノルマポイント』は、特に意識しなくても高いものではないので、普通に活動していれば問題ないと思い。あまり気にしなかった。


 気にかけるなら次の『特殊依頼ポイント』であろう。

 討伐者としてパーティ登録をした場合、討伐者組合からの『特殊依頼』を受ける義務が生じて『特殊依頼ポイント』が発生するようになる。

 新規登録時に一ポイント、一年に一度、年始めに一ポイント増え、一定数に達すると討伐依頼を受けることができなくなる。

 特殊依頼を達成することで、このポイントは減る。

 依頼達成による減算ポイントは、パーティ登録者同士(最大二十五名まで)で共有できる。

 と、いうものだった。



 ――その後、職員の登録手順に従い、ようやく作業を終えると職員は、

「新規登録費として銀貨二枚頂戴いたします」

 と、いいディレットは支払った。

 

「では、こちらの討伐者としての『証明タグ』をお持ちください。

 今後、何かあればこのタグを出してもらえば、こちらに記述して頂いた、

 テパレス種族のディレット・パレット様として処理させていただきます。

 ……他に御用は御座いますか?」


「パーティメンバー募集をお願いします」


「こちらでも募集はお受けできますが、

 アマラ館でも募集をする事ができることは、ご存知でしょうか?」


「――アマラ館?」


「はい、ご存知無いようなので、ご説明させていただきます。

 当方が運営しているアマラ館は、討伐者様方の専用宿舎でございます。

 討伐者様は冒険者様と違い、

 一つの街で生活の拠点を持つことを考え討伐活動をすることが多いので、

 生活拠点を持つことで持ち歩かない荷物を置いておくなども出来ます。

 もし、討伐依頼中に宿泊契約が切れた場合など起きても考慮もいたします。

 また、多くの方が泊まれるような構造なのでパーティメンバーと泊まれば距離を近くにできる。

 などの利点があります。

 なにより討伐者組合はジィーラ皇国から補助金が多く出ていますので高いサービスを安く提供をしてもいます。

 そして、新規の討伐者様が長期的なメンバーを求める場合、

 食事所や休憩所など、館内で軽くでも交流などをとってからパーティを結成した方がトラブルが少ないようです。

 ですので、短期を目的とした場合こちらで、長期を目的とした場合は、

 アマラ館でメンバーを求めるように推奨しており、

 その関係からメンバー募集を確認する人がアマラ館で多いのも現状です」


 説明を聞き終えたディレットは、アマラ館に行くことに決め、アマラ館を場所を教えてもらう。


 その後、幾つか質問をして、礼を言ってからディレットは外へ出ることにした。


「それでは、またのご来店、お待ちしております――」


 

 次は、防具を買いに店へと移動を開始する。


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