第五章:第二十一話
休み四日目。
ディレットは、アマラ館施設内にある食堂で朝食を終えると、そのまま同じく施設内にある五階建ての建造物で一棟全てが図書館として機能している建物へと入っていった。
この図書館を利用するのは始めてではなく、宿泊当初から時間が空いた時などはよく利用していたりしていた。
ジィーラ皇国、討伐者組合では、討伐者に対しても、ただ強ければいいという考えだけではなく、知識も必要として力を入れているところである。
印刷技術もそれなり発達していて、ただの紙媒体の本は、それほど高価な物ではなく、同じ本を複数用意していたりと蔵書されている本も多い。
基本、アマラ館利用者の関係者以外、利用を許されていないが、お金を払うなどして利用が許されたりもする。
図書館内は、清掃が行き届いていて清潔さが保たれ、読書スペースが各階にそれぞれ用意されている。
司書などの図書館で働く者も常時数人雇っているなどして読みたい本を探す手助けをしてくれたり、本も分類ごとに整理され綺麗に並べられていて、利用者たちは有意義に利用することができていた。
蔵書されている本の内容は、その領地、街に沿っていることが多く、今いる『ニニギの街』では『下位』のモンスター討伐関係を専門とする本や次を視野に入れた『中位』に関する本が多かったりとした。
余談(?)であるが、情報を知る媒体は本、紙だけではなく、ラタトスク種族が所有する技術で作成されるもの、『カの領域』で見ることが出来る『新聞の実』などがある。
その技術には動く映像を記憶することもでき(『新聞の実』にも映像などを記憶することもできる)、映像や音声を記憶することを目的とした『動画の実』と呼ぶものもある。
こういった、ラタトスク種族が作成した情報を記憶した『実』を総称して、これを『ラタトスクの実』と呼ぶ。
ただ、やはり紙と比べると『ラタトスクの実』は値段が高くなるので、秘密性が無いものや利便、保存が必要ないもの、ちょっとしたことが書かれる目的のものは紙媒体が主流となっている。
また、このラタトスクの映像技術情報を利用して人間種族は、エッチな画像、映像のものが世に流出しているということは、言わずもがな周知の事実だろう。
ラタトスク種族である、シバグリの品性を守る為に一応、言っておくが彼はエッチ系の仕事はしていない。
まあ、なんにしても、こういったエッチ系のものを作るのは、だいたい人間種族が一番で中心と相場が決まっている。
補足(?)として印刷に関して説明を加えると、
魔属性『光』には、所持者が見て記憶したものや自分がイメージするものを他者に映像として映し出し見せることが出来る『陣魔法』が存在する。
また、それを紙などに印刷するものも存在する。
ここまで言えば、流れからどのようなことに応用されるか、なにが言いたいかは察しがついてくるだろう――エロ本関係だね。
当時、『テラ』界と呼ばれる別世界から、この『シューレムア』界に渡ってきた『渡界人』が印刷技術に関する知識に対して『シューレムア』界の人間種族より高くあり、印刷技術に革命を起こしたのは確かだが、当時の『渡界人』である彼らは、この印刷系『陣魔法』に大変な衝撃を受けた。
だって脳内でイメージするものがすぐに紙に印刷できるんだもの(MPなどの条件がそろえば)。――あれ? 印刷技術なんていらなくね? などと戸惑いがあったことが目に浮かぶ……
ただ、当時扱われていた印刷系の『陣魔法』は、紙をただ焦がすようにして見せる粗いものなので、あまり精密な線などを表現するには難しかった。
ので印刷技術なども、その『陣魔法』を扱える者の数、MP観点から決して無駄なものでは無いので並行して研究は行われてもいった。
そうして月日は流れていったのだが、
個人の欲求で作り上げたエロを皆で楽しむ、または欲求を満たすように作っていくことは当時できなかった。
このことに関しては国、宗教、種族などと深く関わってもくるもので、戦い、戦争も起きたのだが、今は割愛しよう……
『渡界人』のエロにかける情熱、エロパワーはすごかった。と、だけは伝えておく。
そういった、いろいろなこともあり、人生を賭して挑んだ者も何人もいて印刷系『陣魔法』は飛躍的に進化をしていき、研究は今だ行われてもいる。よりよいエロのために……
そして、現在――アマノハシ連邦国が発祥の地とされ、今だ先端を走ってもいて、先駆者たる制作者も多く、ジィーラ皇国でも商人などが個別に輸入したりと普及されようとしていた。
とまあ、図書館の話に戻る。
本の貸出に関しては、本によってまた変わるのだが、大体の一般本に関しては図書カードの作成(費用銀貨一枚)と保証金の銀判貨一枚を預けれることで一週間の間、貸出も可能となっていて、期間がきてもなかなか返そうとしない人たちには、アマラマザーズのお姉さん達が直接回収しにやってきてくれて、延滞料金とか無料で『星』を見せてくれるなどサプライズをしてくれる時もあるという――やったね!
という訳で、多くの者は貸出サービスを利用しているし、ディレットも今回、本を返すのが立ち寄った理由であった。




