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第五章:第二十話

 その後、コモモに訪れた用件を聞いてみたが特に無いようで、絢火達がよろしくと言っていたぐらいだった。

 という訳で、コモモも含め雑談をしているとコモモが気になることを言い出した。


「そうリ。絢火達は今、『シオン』でバイトしてるリ。モグモグ」


 ――スッ。


「『シオン』ってあそこだよな。初めて絢火達とあった飲食店だったか喫茶店だったか、コーヒーを飲んだ、ちょっとおしゃれ空間のとこだよな」


 ――スッ。


「絢火達ならバイトなんかしなくてもいいだろう? なんでバイトなんかしてるんだ?」

 と、ビスクの言葉にクーアも言葉を繋げた。


「リー? なんか頼まれから断れないって言ってたリ」


 ――スッ。


 コモモは、ディレットからもらったグレープジュースを右手にドライフルーツのレーズンを一粒左手に持ち、飲み食いしながらビスクとクーアの質問に答えていた。


 ディレットは、話にはあまり関心なく、参加しないでコモモがレーズンを『もぎゅもぎゅ』と食べる姿を『じっ』と見ている。

 コモモがレーズンを食べ終わると左手に『スッ』とレーズンを一粒、再び持たすということを繰り返しながら。


 身体が『パンパン』になるまで焼き肉を食べて、しかも数日でもとに身体が戻るってどういうことなんだよ。と、またどこにそんなに入るんだよ。という一種の興味と不思議さに食べ続けさせていたのだった。


 コモモの健康? ディレットは冷徹なのだ。そんなものは関係ない! だって実験だから、実験だからしかたがないでしょ! もし……もしもコモモが肥満になっても受け入れる……受け入れるしかないんだ!

 ~ 以上、脚色した表現でお伝えしました。 ~


 コモモは、無限に現れる左手のレーズンのことなど気にせず『もぎゅもぎゅ』と食べ続けている。

 グレープジュースに関しては小皿に入れているので勝手に汲んで飲んでいた。


 しばし時は流れて――


「じゃあ、決まりだな!」


「ああ、そうだな!」


 ――ススッ。


 ビスクとクーアのあいだで何かが決まったみたいだが、ディレットはコモモの生体解明に一生懸命だった。


「じゃあ、そろそろ帰りますリ。また遊びに来ますリ……モグモグ、リっぷ」


 それを聞いてディレットもコモモの左手から目線を離し、レーズン『スッ』作業はやめて、コモモを机の下へ移動させてやると、窓の方へと歩いていった。


 そして、コモモは風を感じると、飛ぶためか勢いよく(?)走り出し――


 ベランダを『とうっ!』と飛び出すと――――



 ――落ちていった。



「「コモモーーーーーー!!!」」

 ビスクとクーアは慌ててベランダに駆け寄り下を見た後、混乱かなにか『アワアワ』といった感じのことを言いながら、右往左往といった感じになってしまう。


 ディレットは額から冷や汗のようなものをかき、『やっちゃたなー』と思い。

 すぐさま、そのままの姿で、コモモが飛び出していった三階にある自室のベランダから飛び降りていき、庭へと着地した。


 視界にコモモを捕らえると地面に倒れており、その周りの地面の土は何か液体を吸ったように黒くなっていて、レーズンの残骸も飛び散っているのが見て取れた。


「コモモ!?」

 ディレットは急ぎコモモがうつ伏せで倒れている側まで駆け寄ると、そっと身体を抱きかかえるようにして、仰向けに体勢を変えた。


「リーーー」

 と、両目を閉じているコモモの口から声が漏れる。


「おいっ!」

 いざとなったら肉体、臓器の再生、負傷などを瞬時に癒せることができる、秘蔵の『黄金ポーション』もやむなしとディレットは思っていたが、そんな思いとは裏腹にコモモは――


「はぁーーー。びっくりしたリーーー。リー、お腹がおされてほとんど出ちゃったリ」

 目を『パチッ』と開くと、ディレット達の心配などよそに『ケロッ』とした表情で、元気な声を発した。


「……大丈夫なのか?」


「途中、頑張って勢いを弱めたから平気リ。でもお腹から着地したから食べた物がほとんど出ちゃったリ……」

 同じようなことを二回言ったが、コモモにとって大事なことなので仕方がない。


「そうか……痛めたところがあるなら薬をやるぞ? すこし休んでから行くか?」


「たまにあることだからだいじょうぶリ。体も軽くなったリ」

 と、言って何事もなかったように壁によじ登った後――


「ばいばいリー」

 と、言って飛んで去っていくのであった。


「…………」


「「…………」」


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