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第五章:第十八話

 休み三日目。


 黄色く色付いている花が花瓶に幾つか挿され、備え付けられた机の上に何気なく置かれていた。


 今まで飾り気の無かった、生活感など感じることのない部屋に飾られた花には、それだけで生活感を感じれるような、どこか別の場所に感じさせてくれる。


 窓から差し込むやわらかい風と共に、その花の甘い香りを鼻へと微かにでも届けてくれると――


 押し売りされた思い出とか、それほど広くない部屋に男三人が居ても華やいだ空間にさせてくれる気が……しないでもない。


 花を売っていたカナという少女からは、実際には籠に入っていた花を全部は買うことはなかったのだが、花瓶は買わされ、「定期的に買ってくださいね」とも言われて、拒否することは口に出来なかった。

 余計高くついたような気がするディレットであったが、ちゃんと依頼をこなして報酬を得ているんだから花ぐらい買える。

 「花なんて野道に咲いているのでいいんじゃないか?」と思うし、「花なのになんで、こんなちょっと高いんだ?」と思ったりもするけども!

 加えて、節約志向で少しでも武器、防具のために貯めておいたほうがいいのではと思うところもある。

 それに、定期的と言われても中位の依頼を請けるようになれば、この『ニニギの街』を離れ、別の街へ行くことになるので、それまでの辛抱とも言える。

 ので、このことに関してはあまり深くは考えていなく、特に何にもない部屋を眺めるよりか花を見ているほうが幾分いいかといった思いもあり、『まあ、別にいいか』という感じで落ち着いた。


 今、部屋に居るのは、ディレット他に、ビスク、クーアの二人。

 二人は、前回のヨーンズが武器が折れるのを見てから考えるようになり、危機意識を持ったようで、予備武器を買いに出かけて戻ってくると、それをディレットの収納空間に預かってもらおうと部屋へと訪れたのだった。


 そもそも、彼らが予備武器を持っていないのは、荷物になるところが大きい。加えて金の面もあるが、それは金が入ったので取り払われた。


 ビスクは、複合棍(ふくごうこん)[鉄]をディレットに渡した。

 これは今まで使っていたもので、今後は新しく買った複合棍[鋼]を使うようにする。

 使っている棍棒、『複合棍』の形式は、木材に対して補強が入れられたものを柄として扱い、その両端に複数の『ボコボコ』とした突起のある金属を付けたもので、剣や刀と違い、そう壊れるものでもないし、クーアの持つバスタード(長剣)もそこそこ耐久性は高い。


 今、ここには来ていないヨーンズは、依頼を受ける前日くらいに預けに来る予想はするが、ヒャラルラは来ないだろう。もともと二本持って戦っているので、一つ壊れても、もう一つで戦えばいいという考えで、二ついっぺんには壊れることは少ないと思われるからだ。

 ゼフもまた、予備武器を預けにはこない気がする。彼はどこか自分のが持てる容量以上のものは持ちたがらない傾向があるからだ。

 主軸としている『ラステム』の一つ『エアリア』から武器の恩恵を受けるものは、軽量剣や短剣。そして普通の剣も入る。ついでに言うとヒャラルラが主軸としている『ラステム』の『ベルセルク』も斧の他に剣や大剣も扱える。 

 ゼフが今扱っているサーベルは軽量剣に分類される。そして、軽量として引き換えにされるのは耐久性だろう。にもかかわらず、ゼフは予備武器を持つ意識は引くい。


 反対に耐久性が高い武器を持つビスクが予備武器を預けにくるのは、それは暗に不安を表しているのかも知れない。

 いつも、おちゃらけているように見えるが深いところでは不安があり、それを拭えてはいないのだろう。


 ディレットは、先の依頼から鑑みても無用と思える予備武器を受け取る必要はないと思われる。

 今の収納空間にもそう余裕があるわけではないからだ。余っていたらそれは何か高そうな素材などを手に入れた時のために空けといていたほうが良いと考えるのは必然だろう。


 しかし、黙って受け取った。


 不安というのは自分からどうにか折り合いをつけていかなけばいけないところでもある。

 そういったものは、それぞれが克服する仕方があるだろう。

 なので具体的に何をすればというのは、なかなか他人にはわからないもの、もしかすると自分でもわからなかったりするものでもある。

 必要以上に何かするつもりはないが、その不安を和らげるように、リーダーとしてしてやれることはしてやろうという気持ちは有り、預かることにしたのだ。


 ゼフは、こういった不安が無いとはいわないが、低いのかも知れない。

 それは、ビスクとは違い、幼少のころよりいる、クーアとヒャラルラという信頼する存在が大きく影響しているのかもと予想される。

 そのことから予備武器を預けないのかもしれないし、また剣も扱えるので、いざとなればディレットのバゼラードを借りたりも出来るので、そういった打算、ちゃっかりした考えからきているのかもしれなかった。


 クーアは、ロングソード[鋼]を渡した。大剣、長剣の部類ではないただの剣。

 なるべく今使っている長剣部類のバスタードを使うようにするが、長剣よりも小回りが効くような戦いを今後視野に入れたことによるものだと雑談の中で話していた。

 だが、これはクーアは特に何も言っていなかったが、ゼフの予備武器のことを少なからず考えているかも知れないとディレットはふとそんなことを思った。


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