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第五章:第五話

 数日後。


 ディレット達は、大人が隠れても余裕ある太い幹となるまで育った『羅生木』が、幾つも立っている場所を探索していた。

 木同士の間隔は広く、視界に映るものは、とうぶん代わり映えはしそうにない。

 また、どこか規則性があるその配置は無闇に歩いていたら自分がどこにいるのかわからなくなってしましそう。

 そして、そんな場所をしばらく歩いていると、それは現れた――


【ダムダムタイガー】

 虎型モンスター。モンスターランクは下位[A-]。

 この低位『モンスター多発転送地帯』内において、モンスターランクの高さだけではなくトップクラスの戦闘力をもつとされる。

 討伐者組合が戦いを推奨しているランク差は二ランク上まで、ディレット達が有しているラステムランク最高値は現在三で、モンスターランクに直すと『B』となる。

 二ランク上となると『B』、『B+』、『A-』となり推奨ギリギリのランク。


 少数の群れ、または単独で行動することが多く、肉食で攻撃性も高いがむやみに攻撃をしかけるようなことはしない。

 相手が攻撃範囲に届くまで待ち伏せたり、攻撃が届く距離までジリジリと静かに近づいていったりと自制をもつ戦い方をしてくる。

 攻撃方法は主に爪と牙だがスキルも有する。


 一般の者がこの名を聞いて思い浮かべるのはレザーアマーの主な素材としても使われているその皮だろう。

 分厚いゴム質のような皮膚で多少切りつける程度ではまったく問題がない。

 それゆえに相手する討伐者などは苦労し、低ランクの者にとっては恐ろしい存在でもある。


 なにぶん、成体の標準全長は、4メートル以上、標準体重は、五百キロ近い巨躯が高い防御力をもって爪と牙を振るい向かってくるのだから。




【ステータス『気配』、『感知』】

 ステータス項目の一つに相手に察知され難くする『気配』というものがある。

 数値が低い程、相手に察知され難くなるというもの。

 この『気配』を察知するために関係してくるステータスが『感知』である。

 『感知』は、ステータス値を高めてアビリティスキル(感知[Ⅰ])得た段階で有効となる。


 ディレットの現在パーティ内で、『感知』値が一番高いのはヨーンズであるが、アビリティスキル発生にまで値は達してはいない。


 ◇


 何気無しにといった感じで太い幹から『スッ』と進行を防ぐようにダムダムタイガーは現れると、後方、左右の少し離れた場所からもそれぞれ一体ずつ現れた。そして、獲物を逃さないようにか、静かにゆっくりとした歩で近づいてくる。


 最初に現れたのは、リーダーなのか他のものと比べると体が一回り大きく、どこか他三体は、それに従っているように感じさせる。


 そして、ゆっくりと近づいてきた左右と後方のダムダムタイガーが指定の位置についたのか立ち止まった。その距離およそ六から七メートル。

 

「グルルルルルルゥゥゥ……」

 鋭い二本の牙をむいてディレット達に向かって威嚇する。


 距離があるにもかかわらず、吐いた息が風にただよい肌まで寄ってくるとまだ熱があるように感じ、獣臭が鼻に突いた。


 そして、前方にいたリーダーらしきダムダムタイガーが配置を完了したとみたのか一歩、近付こうとした――



 ◇



 ~ 時間は少し戻る。 ~


 ディレットは、前方にダムダムタイガーが現れた瞬間、「モンスターだ!」と警戒を皆に呼びかける。と、同時に収納空間(ロッカー)を出現させ、パルティザッシュを手にした。


 左右を確認して、敵の存在を確認すると、後ろから「後ろにも一体いるぞ!」とヨーンズの声が聞こえる。

 ディレットは瞬時に囲まれていると感づいて、配置を指示する――


「前は俺が、後はヨーンズ、左はヒャラルラ、右はクーア。

 他は中央でアシストに専念しろ! アディルト、後の細かいことはまかした!」


 皆、これまでの戦いで各々自分の役割を認識していて行動は素早かった。

 そして、これまで連戦で大きな怪我もなく勝利を収めてきたが、ダムダムタイガーに対して油断はない。

 むしろ自分達に察知されず、ここまで距離を詰める相手だと、少し緊張した面持ちでダムダムタイガーの出方を窺い構えていた。


 そして、アディルトが「私から仕掛けます」と言い準備を始める――



 ◇



 ~ そして、時間は元へと戻る。 ~


 ダムダムタイガーが一歩近づいた時、前後左右に《ブラストボム[Ⅰ]》がディレット達から宙を飛んでいった。

 片手に収まるその玉は、ある程度の時間内なら作り置きができる。その時間を有効に使いアディルトは四つの玉を作り出して、ビスクとゼフに一つずつ持たせた。

 そして、左右にアディルトが、ビスク、ゼフが前後を担当してダムダムタイガーへと向かって投げつけたのだ。


「爆発を見ないように!」

 と、放つと同時にアディルトは言った。


 ディレット達は、各々武器や腕などで顔付近を覆い爆発の火花や爆風でやられるのを防ぐ。


 それが戦いの合図となり、ディレット、ヨーンズ、ヒャラルラ、クーアは前後左右に散って己が敵へと向かっていく。


 その途中、ディレットは「俺は一人でいい。他から片付けろ!」と言い。


 それを聞いたアディルトは、ビスクはクーアを、ゼフはヒャラルラを支援するように言うと、アディルト自身は、ヨーンズの支援へと向かった――

 


 ◇



 ディレットは、相対したダムダムタイガーを一撃で葬るのは難しいと予想すると、次に軽く横に振るうような一撃を放った。

 ダムダムタイガーは、それを難なく後ろへと軽く跳躍して回避する。

 それを見て大体の強さを感じ取った後に、こう思う。

「MPは節約したかったんだが、しかたがない……」


 ディレットは《プロテクションゲル[Ⅰ]》を発動させ、次に、自身の前方に《ライトニング[Ⅰ]》の陣を描き発動する――

 

【ライトニングと魔法関係ステータス】

 各陣魔法には、それぞれ『魔陣値』というものが設定されている。

 この値は、陣を描き完成させるまで時間に関係する。数値が高いと時間は長く、低いと短くなるといったように。

 発動する陣魔法のランクを高くすると、この値も基本高くなっていき陣を描き完成するまでの時間が長くなるということになるが、これでは戦闘には使えなくなってくる。

 そこで、関係してくるステータスが『展開短縮』である。

 この値は『魔陣値』を相殺することができるので、この値を高めることで陣の完成時間を短縮できる。


 ディレットは、『ウォーメイジ』のランクを2から3にしてからは『展開短縮』値が上がり、《ライトニング[Ⅰ]》の描画時間を現在、ほぼゼロタイムで完成させることができるようになった。


 《ライトニング[Ⅰ]》は、銃の弾丸のように弾が放出され終わるものではなく、火炎放射の炎のように放出が短い時間だが続くものである。

 射程距離は«ファイヤーボール[Ⅰ]»より短いが、放出中に陣を動かすことで薙ぐように放出しながら軌道を変えることができる。

 そして、この陣の動かすという行為は、ステータス『展開維持』に関係する。

 陣を描きだして、『展開維持』が許す限り、陣を移動させることができる。


 例えば、

 『展開維持』値がゼロの場合、その場に留まって完成するまで陣を描かなくてはいけない。


 『展開維持』値がある場合、その値が許す秒数、展開途中でも陣を移動させながら歩くことができる。


 また、陣描画途中で描画を止めて再度描画を試みれたり、完成させた陣を動かせたり、維持してとどめて置けるといったもの。


 ちなみに、

 自身を中心に描画する距離に関係した『展開距離』というステータス項目と、個人が持つ魔法領域内で他者が陣、魔法を発動させようとした場合、それに対して抵抗を試みると、相手は発動を成功させるためにMPの負荷を高くしなければいけないというものに関係した『PMA』というステータス項目がある。

 

 ◇


 ――蒼い陣が現れると瞬時に放たれた《ライトニング[Ⅰ]》だったがダムダムタイガーは、横へと跳躍して避けた。


「その動きは想定内だな……」

 と、ディレットがそう思い、瞬時に放射が続く陣を避けた方へと向ける。(いかずち)は、そのまま横へとずれていきダムダムタイガーへと直撃した。


 《ライトニング》を受けたダムダムタイガーは、雷属性に耐性があり、たいしてダメージを負わなかったが、動きを数秒止めることに成功する。


 ディレットは、その隙を見逃すことはなく、詰め寄りダムダムタイガーの首めがけてパルティザッシュを振り下ろした。

 が、その攻撃は首を大きくそらされて回避されてしまう。

 しかし、それで攻撃は終わらない。

 振るった一撃が地面を叩くまえに刃を返し再度、下顎の首めがけ攻撃を放つ。

 その攻撃は見事、首を捉えた。

 が、勢いが足りなかったのか、厚い皮の防御力の前に肉を断つ前に刃は途中で止まってしまった。


 攻撃を受けたダムダムタイガーは、健在で鋭い牙をディレットの頭へと向けようと動く。


 ディレットは、刃が止まった段階でパルティザッシュから左手を離すとその手を大きく振りかぶり、ダムダムタイガーの喉元近くに刺さっているパルティザッシュの柄近くをおもいっきり左手で殴りつける。


「――らぁあ゛ぁっ!」


 その一撃は、刃を食い込ませた。だが、まだ肉へとは届いていない。しかし衝撃でダムダムタイガーの牙を空へと向かせた。


 攻撃は続く――体を少し引くと、軽く丸く屈み込み左肩から体当たりをするように再度、柄に激しくぶつかる。


「――グフッ!」


 刃は首へとさらに食い込む。そして柄を両手に持ち、深く抉るように、体を右横へと回るようにしてパルティザッシュと共に滑り斬りつけていき、最後、後方へと素早く下がった。

 途中、軽く体を半回転させて、足を地に擦り、片膝をついた状態で止まるとその状態で構え直し相手を見据える。


 ダムダムタイガーは、喉から血を勢いよく吹き出していた。

 そして、一瞬の静寂が過ぎ去った後、口から『ツーーーッ』と、血を垂れると地面へ崩れていく――


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