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第五章:第三話

 キャンプ地へ戻った絢火達は、就寝の準備を各々始める。


 キャンプ地の周りには『竜の粉香』と侵入を知らせるトラップを仕掛けているが、夜番の見張りを一人交代でおきながらの就寝となる。


 各々準備を終えると自然と焚き火の周りに集まりだして談笑の声が上がりだした。


「今日のごはんおいしかったねー」


「トマトが良かった。これなら一ヶ月は問題ないな」


「まだ、今日のランクを維持できるかわからないわよ」

 和恵と一華が今日の料理の味を思い出しながら話をしだして、その話に加わる紗奈。


「それはあるかもねー。ディレット達、今日休んでたって言ってたし」

 と、和恵が今日の事を少し振り返って答えた。


「私は道中で食べた食事でも十分だと思うけどね」

 と、絢火が言う。


「そうなのかー。今日の味が維持出来ないのは残念だな。でも、トマトは切るだけだから大丈夫だろ?」


「一華は、そんなにトマトが気に入ったの? 街で食べてもそんなこと言ったことなかったじゃない」

 と、紗奈が言う。


「なんか美味しかったなー」


「あはは。私も美味しく感じた。まあ、トマトに関しては味の心配はいらないんじゃない。収納空間能力があるんだし、ただどれだけの量を仕舞っているかだね。毎日は出ないんじゃないかなー」

 と、和恵が言う。


「そうか。それは残念だなー」

 と、一華は肩を落としながら言う。


「そんなに? まだ、そうとは言えないからそんな風に肩を落とさないでよ。明日聞いてみる?」


「うん……聞いてみる」


「……それにしても。

 今日の食事だけで釣られたわけじゃないけど、思っている以上にいい人達なんじゃないかな?

 絢火も見る目があるよね。最初はどうしようかと思ったけど」

 少し空気を変えるために和恵は、両手で『パンッ』と軽く手を叩いてから明るい感じで言う。


「ふふん。

 と、まあ私もどうなるのかは想像してなかったんだけどね。

 初めて彼を見た時に気になったのは一時の間で、すぐ忘れると思ったんだけど。

 自分でもよくわからないぐらい気になっちゃって……

 気づいたらシバグリにも相談しちゃって……

 と、まあそんなこんなで今に至るんだけどね。

 今だから言うけど皆もよく賛成してくれたよね」


「私は、そろそろ絢火も少し男を知るためにいい機会だと思って賛成したの」


「一華と二人、男勝りのところは、いい加減卒業してほしかったから……

 いきなりは無理だと思うからね。彼らには悪いと思ったけど何事にも犠牲はつきものだからね」


「絢火がそういうならいいかなって。気に入らなかったらぶっ飛ばせばいいかなって」


「…………」


「あら? どうして黙ってるの? 恋する力かしら?」


「そうやってお淑やかになっていってくれると私も嬉しいな。これからは一華と一緒に殴り掛かるんじゃなく、なだめられるようになっていこうね」


「うおぉい! どういうことだ。なんで私がなだめられなきゃならないんだ! ただ気持ちわるく寄ってくる奴らを殴ってなにが悪い! なー絢火!」

 急に立ち上がる一華。


「ちょっと、一華は黙ってて。今私の話をするから、一華の話を混ぜ込むと変になるから」

 隣に座っている絢火は、一華の手を引きながら言う。


「えっ!? どーゆーこと?」


「後で話を聞くからまってて」


「…………」

 なだめられて、無言で座り直す一華。


「二人にはちゃんと言っておくけど、これは恋とかじゃないわ…多分。

 これはそう……『ちょっと』より『大きく』気になるだけなの。勘違いしないで」


「うんうん。わかった」


「……。

 絢火がそういうならそれでいいけど。まあ、そういったことも含めて少しずつ知っていったらいいと思うわ」


「でも男に気を許しちゃだめだぜ。アイツらはすぐオオカミになるって、かあちゃんがよく言ってた。

 気を許したところできっと喉元を狙ってきやがるんだ」


「……それはまた違った意味だと思うけど。一華にはまだ早いかもねー。

 彼らとは、まだ数回しか話をしていないけど、ディレットを中心にうまく回っているみたい。

 一応彼ら全員まともそうだし、女関係じゃなにかあってもディレットとかアディルトがなんとかしてくれそう。

 だから、そういったことに関しては面倒は、なさそうでいいわよね」


「ダークエルフは、性欲に関して人間とはまた違うって聞いたことがある。

 ディレットは……彼は人間種族なのかしら? 今度聞いてみましょう」


「えっ!? 和恵どういうこと? 彼、人間種族じゃないの?」


「うーん。見た目はそうなんだけど、雰囲気が何か違うような気がするんだよねー。水もよく飲んでたし。水性系種族とか」

 絢火の反応に少しいたずらっぽく笑みを浮かべながら和恵は答える。


「あれはカレーが辛かったじゃないのか? なんでカレーにしたんだろうな? おいしかったからいいけど」

 と、一華が言う。


「そうねー。種族に関しては聞いてみれば、すぐ教えてくれるんじゃないかしら」

 と、紗奈が言う。


「そんな、もし人間種族じゃなかったどうしよう?」


「どうしようって絢火は、どうしたいのよ? 気になるだけなんでしょ?

 それに、これまで様子を見てたけど、彼、絢火には特別に興味はもってないと思うの……」


「そうなの…かなー」

 心にあるロウソクの火が段々と消えいくように言う絢火。


「んんっ! でも、まだお互い会ったばかりだから興味もなにもないんじゃないかな? これからお互いを知っていけばいいじゃない。ねっ! 絢火」

 和恵は、軽く咳払いをして紗奈に注意するような視線を送った後、絢火に言う。


「そう…だよねー」

 ロウソクの火が再び明るさを取り戻さんと段々と大きくなっていく。


「そういうんじゃないと思うんだよね。

 なんていうか……男とか女とかで見てないっていうか……無機質というか……

 まあ、魅力的だと私も思うし、遠くから眺めてるだけで満足していくほうがいい気がするわ。

 だからそんなに本気にならないようにね」


「ゔ~~~。もとからそのつもりだけどーーー。でもちょっとは気にしてくれても……いいかなーと」

 ロウソクの火に息が吹きかけられる。火は『ボボボッ』と音鳴らしながら大きく揺れるがなんとか消えずに耐えた。


「紗奈は、そうやって絢火をいじめないで。明日からの討伐に影響がでたらどうするのよ」


「ごめん、ごめん。いじめてるつもりじゃなくて。

 ただ、今の感じだと気にかけるとかもまったくない(・・・・・・)と思うから早めに諦めを諭すようにした方が傷も浅くすむかなって。

 私なりの優しさなんだけどなー」


「わーん!」

 ロウソクの火は濡れ一気に消えた。


「もーーーっ!」


一華:「Zzzzzz…」


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