第三章:第五話
翌日、ディレット達は六体のゴブリンと戦ったが、あっという間に勝負が着いた。
クーアのバスタードはゴブリンを一撃で仕留め、ゼフも軽いステップを踏むようにゴブリンの攻撃を避けサーベルで斬りつける。
ヒャラルラは両手に手斧のライトアックスを持ち突撃するようにゴブリンに向かい仕留めた。
変わってディレット達の戦い方は、
アディルトを周囲の警戒と危険があった場合の要員として置き、他三人が各々葬っていった。
ビスクもだいぶ落ち着いて戦闘を行えるようになってきた。
ゴブリン一体と対面しても攻撃の命中率も上がり、問題なくゴブリンを葬る。
「ゴブリン六体ぐらいじゃ、この人数だとあっけなさすぎるな。
クーア達は後何体で依頼を達成するんだ?」
ディレットは、ゴブリンから取り出した『スカーレットハート』を仕舞いながらクーア達に話かける。
「えっと……、今回を入れれば、あと九体だったよな? ゼフ」
「ああ、そうだよ。ディレット達は?」
「あと、六体だな。クーア達に合わせるから一緒に街へ帰ろう。
それで今後どうするか食事でもしながら話そうか。
アディルト、ヨーンズ、ビスクもパーティに残るか考えておいてくれ」
「ええ、わかりました」
「そうだな」
「俺はもう暫く、ディレットといるよ。そんな寂しいこと言うなよ。
ヨーンズもそんなこと言ってるけど残る気満々なんだろ?」
「ぐっ。俺にも色々と考えていることがあるんだ……」
「かわいい女の子のツンデレとかは好きだけど、
ヨーンズの場合、アルデレだから萌えるものなんてなにもないよ……」
「お前の言うアルデレっていうのが何を言っているのかイマイチわからんが、
俺を馬鹿にしてるのはわかった……
とりあえず殴ってやるからこっちにこい」
「ギャー、冗談だって、ディレット助けてくれー」
ヨーンズが指をバキバキとならしながらビスクに詰めよるとビスクは走って逃げ出し、皆の笑いを誘ってこの日を終えた。
◇
それから数日が経って依頼達成数まで『スカーレットハート』を集めることができ、ニニギ街まで戻ってきた。
日はもう沈んでいるが、『スカーレットハート』を納品するため、討伐者組合館へと向かう。
討伐者組合は、朝の部と夜の部のローテーションが組まれているらしく夜二十時までは開いている。
討伐者の村から一緒に帰ってきた者も多くいるのか、施設内は少し混雑していたが、わりと直ぐに窓口職員と話が出来た。
この担当者は、ディレットがギルド登録をする時に世話になった男の担当者だった。
ワインレッドをモチーフにした制服を見事に着こなすスタイルと顔立ちで一度、軽い笑みを浮かべてから丁寧に対応を始める。
依頼完了の旨を話すと暫く待つように言われ、長椅子に座り待つ、暫くして呼ばれると受付の横に複数ある個室へと案内されて受付担当と共に入った。
「では、『スカーレットハート』をお見せいただいてもよろしいですか」
と言われ、ディレットは袋に入れていた『スカーレットハート』を出し鑑定が始まる。
鑑定作業は、担当者一人ではなく他二名の職員を含めて鑑定が行われた。
職員の鑑定の速さはとても早く一個一秒もかからずに全てを鑑定を終える。要した時間は数十秒ほどだった。
そして、ここではある程度のモンスター素材も買い取ってくれるとのことなので、エリュマントスの牙と毛皮も買い取ってもらうことにする。
暫くしてモンスター素材の査定も終わり、担当者が戻ってくる。
「……はい、全て問題ありませんでした。
こちらが納品兼依頼達成証となります。
そして完了報酬の銀貨三百五十枚と
エリュマントスの牙と毛皮の素材買い取り料金の銀貨七十枚です。
どうぞ、ご確認ください」
そう言った後、担当者は大人の頭二つ分はありそうな箱を取り出して机に置きディレット達に見せ言葉を続ける。
「それと『スカーレットハート納品箱』のご使用はどうでしょうか?
ご存知と思いますが『スカーレットハート』は、例外でない限りモンスターの大きさに関係なくサイズは一定です。
これはその『スカーレットハート』の納品品質を鑑定する魔具で、
このように『スカーレットハート』を入れ問題がないようなら淡く光りますが、損壊の具合が大きい物や偽物の場合などの時は、光りません。
ここにある『鑑定玉』を変えることによって下位、中位、上位といったようにそれぞれ各位を鑑定出来るものでもあります。
縦横十マスのくぼみに『スカーレットハート』を入れ、三段構造になっていおりますので、合計三百個の『スカーレットハート』をすっきり収納も出来る物です。
今なら下位の『鑑定玉』も付いて、銀貨五枚で販売いたしております。
……この機会にいかがでしょうか?」
「――なるほど、もし完了したと思って納品しようとしても鑑定で弾かれたら又直ぐに討伐にいかなければならいからな。 よし! 買おう」
ディレットは、そう言って料金を払い、『スカーレットハート納品箱』を手に入れた。
「すみません。納品に関しては全て他の方に頼っていたため頭から抜けていましたね」
「……なんか頭の中で『通販番組』という言葉がよぎってディレット『チョロいな』って思ったけど必要な物だよな」
「また、お前はそんなこと言って、今度はディレットに殴られるぞ」
「俺の場合は、電撃がプラスするからな、それなりに覚悟しろよ」
「げっ! マジかよ。冗談だよ……」
「それより職員さん、金の分配をしたいので十分程度、この場所を借りたいのですが、いいですか?」
「わかりました、それでは用事が済みましたら、お声を掛けてください。
では、今後も討伐者様のご活躍をお祈り申し上げます」
そう担当者は言い、個室から出ていった。
「……じゃあ、分配だが食費が全部で銀貨約二十六枚。
これは『輩の牙』、『スカーレットハート納品箱』とかは入っていない食費だけの値段。
これを今回の報酬から引いて一人頭は約銀貨九十九枚だ。
それと残った食材は収納の利用料金として俺がもらうがいいな?
まだ大量に余っているエリュマントスの肉とかは俺とパーティを続けるなら飯時に提供する予定ではいる」
「むしろ、利用料金がそんなものでいいのかと思ってしまいますが、私は構いませんよ」
――アディルトは、こういうが実のところ肉の値段は馬鹿にできない、ことエリュマントスの肉は特に一体から得られる肉の値段は金貨六枚に及ぶ。
ディレットもアディルト達も初めから自分達で食べるように考えているため、貨幣の価値は考えずに話していた。
特に皆は、収納空間が無いので、肉は通常、腐らせて持って帰れない物、捨てる物と頭にあった。
「いいよ。すげー助かったし」
「俺も構わない」
アディルト、ビスク、ヨーンズの返答を受け、報酬を分け討伐者組合館を出ることにした。
外へ出るとクーア達の方が手続きを終えるのが早かったのか外で待っていてくれていた。
「おーい。どうだった、問題なかったか?」
クーアがディレット達に気が付き手を振って声を掛ける。
「無事依頼完了だ、そっちも問題なさそうだな」
「ああ、特になにもなかったな」
「そうか、じゃあ。一度アマラ館へ帰るか」
ディレットが言い一同、アマラ館にある自室へと一度、帰ることにする。
自室に帰り準備を整えてから依頼完了の打ち上げを皆でするためだ。
クーア達もディレット達とは棟は違うがアマラ館に宿泊していた。
アマラ館へ戻り、それぞれシャワーや着替えなどを準備をして、
一同は再度ロビーで落ち合い飲み屋へと向かうことにする。
「早く店に行こーぜ! 久しぶりに手の込んだ料理が食えると思うと腹がなりまくってる」
「店は、クーア達に任していいのか?」
「ああ! 入ったことないけどな。
美味そうな香りがして今回の討伐が終わったらゼフとヒャラルラで来ようって話してた所なんだ。
……じゃあ、行こうぜ!」




