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第二章:第三話

 ディレット達一行が乗った旅車は、途中二度の休憩を挟んで討伐者の村へと着いた。


 討伐者の村にある壁は、石造りの高い壁で村全体をぐるりと囲んでいる。

 これほどの壁をモンスターがいる中、広範囲に作り上げるに功をそうじているのは『地』魔属性の魔法の力だろう。


 壁だけではなく、道や家などの作りにもこの力は使われている。

 石の強度や精巧さは、マナ量、ステータスの『器用』や陣魔法のランクなどで決まるが、精巧さなどは個人の経験や芸術性にも関係してくる。


 村内の門近くには、建物の数は少なく、中央の区域に建物が集まっている作りとなっている。

 門、建物がある辺りをざっと見てみると、ところどころに木、雑草なども生えているのも見えるが、平地に整えられて人工的に芝なども植えられていたりと整備がされている。

 あたりを警備する者も少ないながらいて、これらからならず者が集まる場所、討伐者達を使い捨てるような場所とは違い、ある程度の秩序があるように見て取れた。



 ◇



 この村を村として維持しているものが中央に設定されている柱、『キーテムピラー』であろう。

 これは領地を覆うものとは規模も大きさもとても小さいものだが、一本で半径一キロ程に結界を張る。


 領地を覆っているものは、四方それぞれ四箇所に『キーテムピラー』を設置したもので、その周辺と四方内に結界を張る。

 現在、ラパサパ首都領は五層の結界で囲まれていて『キーテムピラー』などの準備が出来た時に六層、七層と領地が広くなっていく。


 結界を張る規模により必要とする材料が多くなったり高い品質の物が必要になったりする。

 この『キーテムピラー』は、一般の者は買うことが出来ない。

 また、買おうとしてもとても高額なため、一般人などでは、とても買えるものでもない。

 国からの許可を得た者だけが買え所持できるものである。


 パルトア大陸で国を興そうとする場合、まずこの『キーテムピラー』を所持すること、または結界に代わる力が一つの条件となる。

 モンスターは、この世界で生まれるものと他世界から転送されてくるものがいる。

 結界の範囲内にないところでは、頻度の差はあれモンスターが突如として転送してやってくる。

 だが、モンスターの転送は、人、生物などの一定の空間内には転送されない。

 また、その数が集まるとその力も強くなり効果範囲も多少広くなるので人が多い場所などでは、転送率も低くなる。

 ならば集団地では『キーテムピラー』は無くてもいいかと思うが、人は動くので必ず隙間が生まれ惨事が起こる可能性が出る。

 小さな討伐者の村だとしても、この『キーテムピラー』を設置されているかの有無で、討伐者を大事にしている(・・・・)していない(・・・・・)かが見受けられる。


 この『キーテムピラー』を製作するにあたって主となる材料が、

 モンスターから得られる『スカーレットハート』と呼ばれるものだ。


 これは動物、生物とモンスターかを判別するものでもある。

 幾ら凶悪な顔つきや戦闘力を誇っていても体内に『スカーレットハート』がない場合、モンスターとは分類されない。


 『スカーレットハート』を持つものは、『シューレムア』界の知性体を敵として認識していて激しい怒りを宿して攻撃を仕掛けてくる。


 大方のモンスターは、心臓の役割をこなす臓器は『スカーレットハート』が役割をこなしているため、心臓と呼べる臓器は別には無い。

 『スカーレットハート』の形は、(ハート)型で見た目は、ゴムのような柔らかみを感じるが触ると硬く、周りに金具を感じさせるようなものが巻かれている。

 その金具なようなものにモンスター毎に種別を確認できる固有の図柄がある。


 討伐数の確認は、この『スカーレットハート』を依頼で受けた討伐数分を討伐者組合に納めることで完了とされる。



 ◇



 ディレット達は、旅車で村内まで入ると旅車の業者に軽く別れの挨拶を言ってから門近くにある建物へと向かった。

 日が落ちて暗くなっているが周りは魔法、焚き木などの光が所々にあって視界に困ることはなかった。


 向かった建物は、村の管理などを行う所で、テントの設置場所を借りるために寄る。

 ここでは村内といえど金のない討伐者達は、平地にテントを張って野営をしながら過ごすのである。


 大体一人用テントを張る場所を借りるのに一日、銅判貨一枚。

 バケツ一杯分の飲料水が銅貨一枚。

 バケツ六杯分の生活水が銅貨一枚。

 の料金がかかる。


 ディレットは、『モンスター多発転送地帯』の中心部に近い東北門辺りの場所を担当した職員に要求して、その近くを借りることが出来た。

 入ってきた門は、西南門なので正反対の場所となる。


 とりあえず十日間の場所料金を各々が払い、証明としての木札を受け取り指定された場所へと向かう。

 

 その場所へ向かう途中で村の中心部を通ると、そこは街のように建物が建ち並ぶ造りとなっていた。

 主に飲食店が多かったが、他にも武器、防具、道具屋、娼館、宿屋などが在り、アマラ館で過ごした夜より明るく、騒がしく、人が活気だっていた。


 ディレット、ヨーンズ、ビスクは、そんな様子をキョロキョロと眺めながら通り抜けていった。



 ◇



 数十分程して、目的の場所へと着いた。


 先程の中央の様な騒ぎは聞こえず静かな場所で割と近くには他の討伐者達がテントを張っている。

 踏み固められたような地面。所々に雑草が生えていて、木もポツンポツンとした感じで生えている。

 そんな、特になにもない場所。


 荷物を下ろして、すぐさまテントの準備を各々始める。

 ディレット、アディルトは、手慣れたもので自分のテントをすばやく張り終えて、手間取っていたヨーンズ、ビスクの手伝いをする。

 あまり時間も掛からず四人のテントは張り終えた。

 


「……はぁー、終わった。やっと一息つける。

 ディレットありがとうな。手伝ってくれて」


「一息つくにはまだ早い、晩飯の準備をしないと。

 それとも今日は、スティックレーションで済ますか?」


「いやいや、これから嫌と言うほど食べるんだから、食べれる時はちゃんと食べようよ。

 それに肉体的疲れじゃなく気疲れみたいなもんだし。

 ……それで、何を作るの?」


「レパートリーなんて期待するなよ、数種類ぐらいしかないからな。

 ……そうだな、米じゃなくてパンにしようか。

 まずは、火を確保しないとな。

 ……アディルト、もしかして焚き木は、ここでは買うことになるのか?」


「――村の外に出ない場合は、そうなりますね。

 薪を買う場合、価格は一束銅貨五枚です。

 もう夜ですから外で作業するのは、おすすめしませんよ」


「じゃあ、アディルトに案内をしてもらってビスクとヨーンズで三束、薪を買ってきてもらっていいか?

 その間に料理が出来るように準備をしておくから」


 と、ディレットはそういって、晩飯の準備が始まった。


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