表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/64

第二章:第一話

 翌朝。


 日が出てこようとする中、ディレットは目を覚ます。

 寝覚めからの行動は早く、もろもろの準備を整え終えると、防具を装備していく。


 今日の予定は、討伐者の村へ移動するだけで一日は過ぎてしまう。

 ので、依頼をこなすためにモンスターと戦うつもりはない。

 しかし、街、キーテムピラーの結界から外へと出るので、これは当たり前の準備である。


 武器をフル装備する場合。

 手には槍を持ち、右の背には短めの剣、腰にナイフを装備する。

 今は、腰にナイフを装備するのみで、主武器は敵が現れた時に収納空間の『ロッカー』から取り出す。

 薬、ポーション類は主に『ケース』に閉まっている。


 ――準備が終わったので、まずはアマラ館受付ロビーへと移動する。

 部屋や倉庫などに置いておくものは今のところないので、部屋は綺麗なものである。


 フロントに着くと、依頼で一ヶ月程留守にすることを伝え、掃除などは勝手にしておいてくれと頼んでおく。


 話を終えると、討伐者組合館へと移動を始めた。



 ◇



 討伐者組合館前に到着すると、意外にもアディルト、ビスク、ヨーンズの三人は時間前にもかかわらず集まっていた。


 三人とも防具と武器を装備しており、背には大きなリュックを担いでいる状態で、それぞれの横には携帯食が積んでいるだろう荷物も置かれていた。

 

 三人は、手ぶらのディレットに一瞬驚いたようだったが収納空間の事を思い出したのか羨ましげな視線をディレットに送る。


「――待たせたようで悪かったな。さっそく建物に入って依頼を受けようか」

 ディレットは、皆に軽く挨拶をした後、受付に行こうとすると――


「依頼を受ける前にパーティ登録を先にしたほうがいいですね」

 と、アディルトが気を利かせていってくれる。


 討伐者組合館内に入るとディレットが前回、来た時よりも多くの人がいた。

 カウンターの行列に十分程並んで、自分たちの番となる。

 まずは、パーティ登録の事を女性の職員に伝えると――


「タグの確認をしますので、一時にタグをお預け下さい。それと、こちらに各自サインをお願いします。字がかけない場合は、血判でもかまいません。

 パーティ名を決めたい場合は、おっしゃって下さい。

 無い場合は、こちらで規定の名称を付けることになります」

 と、職員にいわれた。


「別に名前とかは、いいかな。仮の段階でもあるし」


「えっ!? 名前付け無いのかよ。なんなら俺が考えてやろうか?」


「――それは今度として、とりあえず規定の名前でいいだろ」


「後日、名称の変更は可能ですから、お決まりになりましたら、おっしゃって下さい。

 それと、一人の者がモンスターを倒した時に、同じパーティ内の者に同等のLP(ラステムポイント)供給を受けられる能力をもつアイテム『(ともがら)の牙』は必要としますか?

 パーティメンバー証にもなりますよ。

 これは、分割で売ることが出来ませんので、一セットを二十五個として販売していて、価格は銀判貨五枚となっています」


「――痛い出費だが必要なものだな。

 一つ銀貨二枚換算か。

 これは、一度使ってそれを別の人が使っても大丈夫なのかな?」


「はい、問題なく使えますよ。

 ご存じないようなので、ご説明をさせて頂きますと、

 こちらは、アイテムといっても『カ宝』といって『カの領域』に収納して使うものです。

 『カ宝』は通常では、二つしか扱うことができませんので、ご留意下さい。

 それと独自のデザインが欲しい場合も、気兼ねなくご相談下さい。特別料金でお作りしますので!」

 最後にニコっと笑顔で話を終える職員。


「……通常の物を頼む」

 なにげに付加価値で価格を上げようとする商魂たくましい職員に押されながらも答えるディレットであった。


「はい。では、ご用意致しますので暫くお待ち下さい。

 その他に、御用はありますか?」


「ああ、下位討伐[小]の依頼を頼みたい」


「はい。今、パーティ登録した名で引き受けることで、よろしいでしょうか?

 ……はい、承りました」

 依頼手続きをしている間に別の職員が着て、持っていた荷物を対応している職員へ渡す。


「こちらが『輩の牙』になります。

 では、パーティ登録料、『輩の牙』の料金を合わせまして銀貨五十一枚、頂戴いたします。

 ……本日はご利用いただき、ありがとうございました」


 館内での用事を終えたので、やっと『下位モンスター多発地帯』の近くにある討伐者の村へと移動することができる。

 移動には定期的に輸送してくれる乗合旅車で移動をする。

 大半の利用者はソロ、駆け出し者や少数パーティーの者達。

 大所帯のところは自前の旅車を所持して移動するのが一般的ではある。


「アディルト。旅車乗り場は、どこにあるのかな?」


「ここから十数分程歩いた、北門近くにありますよ。

 乗るには切符を先に買わなくてはいけません」



 ◇



 アディルトを先頭に移動を開始して、目的地に到着する。


 一人片道、銀貨四枚の切符を買い、乗車する旅車へと向かう。


 旅車の形状は、八人は乗車できそうな広さ、木製の壁と天井がある作りのもので、先頭と後方は布で仕切ってある。

 中央に乗車口があり客はそこから出入りするものであった。


 作りは、上部が木製だが下部の作りは金属製の部分が多く占めていて緩衝緩和のために、サスペンションも取り付けられていた。

 座椅子もショックを緩和するような作りとなっていて、長時間の乗車に耐えるようになっている。


 一つの旅車へは、パーティ単位で調整するようで、四人乗り込むと木の蓋などで壁で仕切られる。空いた場所には討伐者の村への物資を詰め込んで無駄のないように調整する。

 ちなみに、意図的にパーティ単位で分けるのは無用なトラブルを避けるためであるが、一人や二人組というのもいるし物資の量で変わるので、その日の状態によっては二組以上のパーティが乗り合わせることもある。


 旅車を引く動物は、馬ではなく『リモスティ』という四足獣。

 頭には鋭い二本の角、首は馬より少し長く、手足には鋭い爪が生えている。

 険悪な顔つきだがモンスターではない。

 馬並みの速さ、馬よりも高い持久力、中位モンスター低位の戦闘力をもつ。

 忠誠度は犬並みにあり、使役には幼獣から世話をしたり、日々世話をして信頼関係を構築するをするのが一般的である。



 ◇



「グルルルルゥゥ……」


「――お、おっかねぇー。こんなに近くによって大丈夫なのかよ……」


「人に慣れてるから平気だろ。襲ってきたら斬ってやるから、手を出してみたらどうだ?」

 ビスクがおっかなびっくりしながらリモスティに近づき、それに続いてヨーンズも近づいていった。


「おいっ。あんまり近づいて刺激するなよ。怪我とかさせたら賠償とかしないといけなくなるぞ……」

 と、言いながらもディレットも興味ありげに近づいていく。


 リモスティは、大きな木製のバケツに入った水をガブガブと飲みながらも時たま唸り声を上げ、こちらを警戒して見てくる。


「頭の角と前両足の爪での攻撃は、どっちを中心に戦うのかね。

 ……それにしても、今から相手にする下位モンスターのゴブリン、オークよりも強そうだな」


「実際、単体のゴブリン相手なら確実にリモスティの方が強いですけどね」

 ディレットの独り言のようなものにアディルトが答えた。


「はぁ~。自分の力が、まだまだ底辺だとこんなところで気づかされてしまう。強くならないと……」


「――ディレットは何のために強くなりたいのですか?」


「何のため? ……うーん、そうだな。

 最終的には、この大陸の全てを見て回ろうと思ってるからな、それには強さが必要だろ? 

 それに、弱い自分が許せなく感じるからな、自分のためさ……

 アディルトはどうなんだ?」


「――そうですね。

 私も旅のため、もありますが未開地ではなく、人がいる街から街へ旅をするためですから、それほど強さが必要ではないかもしれません。

 ただ、陣魔法の威力を高めるのは、ちょっとしたロマンを感じますからね。

 皆さんは、どうです?」


「俺は、とりあえず強くなって金を稼いだら、大人の店に行ってみたいな――」


「……そうだな。自分の居場所を得るためにかな。

 居場所を強さで優劣するような出来事があった場合、弱かったら勝ち取れないだろ。

 後は、酒代も稼がないとな」

 ビスクが短絡的に答え、ヨーンズは少し思案し答えた。


「――お客さん、そろそろ発車しますんで乗ってお待ちを」

 御者の男から声をかけられて、ディレット達は旅車で待つことにする。


 討伐者の村へは一台で行くのではなく、複数で纏まって行くようで今回は十台以上で移動するようである。


 ……そして、準備ができたようで御者の掛け声と共に車内が揺れ、移動が始まった――――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ