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第2話:思ってたのと違う…



落下し始めてから2分位たっただろうか…。この真っ黒な縦穴のゴールが遂に見えてきた。下の方にうっすらと光が見えてきたのだ。



(やっと終わるのか…。長すぎて気持ち悪くなっちまった…。)



そんな感じで落下しながら自分が行く世界について考える。

神様?にはなにも聞いていないから気になって仕方なかった。



(良く見るファンタジー的な場所だといいが…、流石にホラーとかはやめて欲しいなぁ。)



そして下の方にあった光は遂に自分の目の前まで迫っていた。そして光に体が包まれる。瞬間、目の前には…、



清々しいほどの青空…ではなく、まるで世界の終わりが近づいているかのように一面真っ黒な空。雷鳴が止めどなく鳴り響いていた。地上を見ると切り取られたかのように浮いている浮島があった。それ以外の場所は全て海…ではなく、先程自身が居たようなどす黒い空間が広がっていた。




(え?なにこれ…。世紀末?というか、どうやって着地するんだよぉぉ!?)




その後、俺は見事に地面に突き刺さることとなった。

え?なんで生きてるのかって?多分神様がなんとかしてくれたんでしょ。そうとしか言えない。俺にはわからん。




「…それで…、ここは何処なんだ。異世界ってことは嫌ってほどわかってるんだが。」



人なんて住んでそうにない感じがするし、何より魔物なんて出たら…、特典はあるけど正直勝てる気がしない。前世で戦闘なんてしたことないからな!スライムにすら負けそうだ。



【あー、テステス。聞こえるかナー?幸夫君!】



頭の中にあの神様の声が響く。テレパシーってヤツだろうか。



【聞こえてる前提で話すけど、これはこっちからの一方通行の通信なンだ。1回しか送らないから注意するンだね!】



今はとりあえず何か情報が欲しい。聞き漏らさないようにしねぇとな。



【異世界に無事に到着おめでとう。第一号君!そこはキミの予想通り"一応"ファンタジー溢れる世界サ!キミ達人間のことだ。下手をすれば直ぐにおっ死んじゃうから、この先どうすればいいかを少しだけ教えてあげようじゃないか!キミだって直ぐに死にたくはないだろう?】



それは当然だ。前世で神に殺されたんだ。今回こそは寿命まで生きたい。しっかし、見るからにヤバそうな世界だしなぁ。不安になってきた。そ、そうだ。特典については真剣に聞いておかなきゃな。



【その前に!キミが気になっているであろう…、2つの特典の使い方を少しだけレクチャーしてあげよう!あ、3つ目はまた今度ネ!】



…来た。



【まずは魔法についてだネ!これについては…】



要約すると、

.魔法には属性があり、火、水、風、土、闇、光、そして秩序と混沌に分かれている。

.互いに苦手、得意な属性があるが秩序と混沌は特殊。

.俺は全属性(秩序、混沌は無し)をそこそこ使える器用貧乏であること。

.詠唱は魔法の名前を言えば良いとのこと。


という感じだった。

神様曰く、



【え?器用貧乏にした理由?その方が面白そうだったから。】


と言うことらしい。聞いたときはイラッとしましたね。相手が神様だから何も言えませんが。



【それで達人レベル云々の方は枝でも何でも握ってみれば分かるよ。】



おい、なんだその適当な説明は!?もう少し詳しくだな!




【で、最後になるけど人間の村はここから南だよ。…あれはもう村とは言えないかもしんないけどネ!キャハハハハ!それじゃ!通信終わり!】



おい!おい!?…そういえば一方通行だった。



「クッソぉ…、なんだってんだ。…まぁ、考えても仕方ねぇ。村に向かうとするか…。」




そういって南を向いたとき…南に見えたのは穴ぼこだらけの荒野だった。所々に何かしら爆発したようなクレーターや、抉れた地面、大型の車両が通ったような跡が残っている。



(…ホントに大丈夫かよ。一体何があったってんだ。)









荒野はつい先ほどまで戦場であったかのように荒れ果てていた。

その中で俺は見つけてしまった。ファンタジーに出てくる、そう、魔物だ。死体だけどな。


その死体は人型ではあったが人間には程遠い見た目をしていた。

顔は胸の位置に大きな頭蓋骨のようなものと上にもうひとつ。

肩はせりあがっており、全身が鎧のような奴だった。上半身が力なく地面に転がっているところから、両断されたのだろうか。

回りをみるとこれに似たような魔物の死体が多数あることに気づいた。



「おいおい、こんな見るからにヤバそうなのが序盤から居て良いのかよ…。これを倒したヤツが近くに居るかも知れねぇ。…もし魔物同士でやりあったってなら、居ないことを願いたいぜ。」



魔物から漂う死臭に吐き気を催しながら、先に進んでいく。

先に進めば進むほど、魔物の死体の他に人が作ったのであろうバリケードらしきものや、建物の残骸、そして…人の骨が増えていった。



(人は居そうだけどよ…、これは本格的にヤバくなってきたぜ。)



物語の主人公達に純粋に尊敬の念を抱いた。あの人達はこういった所を何度も潜り抜けて来てるんだなっと。



(それにしても…やはり何故か死体を見てもそれほど狼狽えなかったな…。神様が何かしてくれたのか?)



魔物の死体もだが人間の死体なんか見たら腰を抜かす自信があったのに。神様が何か言ってた気がする。これが神様のお陰なら有難い。絶対これからもこういうの続きそうだもの。



…ゴシャッと音がした。それも結構近くから。



「ッ!?」



自身のなかで警戒レベルを最大にする。今の音から恐らく人間ではない。そもそも大きな足音が後ろから近づいているのだ。一歩一歩…ゆっくりと。



躊躇いがちに振り向くと…奴はいた。

あの死体の奴だ。しかもほぼ無傷。おまけに身の丈より大きな大剣。ソイツの目がこちらを静かに見つめていた。4つとも。

さっきまで死体を見ても平気…とはいかないが気分が悪くなる程度だったのに、こいつには恐怖以外の感情が沸き上がってこない。

足が震える。喉が一気に乾く感じがした。



(生きてた個体がいたのか…それとも実はコイツの生息地が近くなのか?そんなことより…武器もねぇんだ。今は逃げねぇと…。)



そう思い、少しだけ余所見をした瞬間だった。




既に目の前にヤツが迫っていた。



(ば、はやッ…)



横に飛び出して離れようとしたと同時に元居た場所に大剣が振り下ろされていた。ヤツは巨体だが身は軽いようだった。



「冗談じゃねぇぞ!なんであんなに速いんだよ!?…せ、せめて何か武器があれば…!」



その時に思い出すのはあの神様の言葉。




【枝でも握ってみれば分かるよ。】




(賭けるしかねぇ!)



ヤツは此方に向き直り、再び斬りかかってくる。

相変わらず速いが、なんとか回避。武器になりそうなものを探すと、あったのは何かの部品なのだろう。鉄の棒であった。


俺が握ったとき、その鉄の棒は不思議と手に馴染んだ。まるで使い込んだ武器のように、手足のように扱えるような気までしてくるほどに。



(心もとないが…これで怯ませるくらいは!)



ヤツはまだ振り向いてはいない。チャンスだとおもった。

そして振り向く前に右足に叩き込む!



ガキィッ!と金属を叩いたような音とともに自身の腕に衝撃が伝わった。


(痛ってぇ!?なんつー堅さだ!…あれ?折れてねぇ。)



鉄の棒は折れていなかった。それどころか逆に相手の足に大きなダメージを与えたようだった。



(…よし、なんか納得いかんが今のうちだ!)



そうやって離れようとしたとき…



「貴様!こんな所で何をしている!?早くこっちに来い!」



という声が響いた。

その声の方を向くと、先ほど進んでいた方に二人?の人が戦闘態勢を取っていた。



「…え?人か?」



「早くしろ!ベレトが動き出すぞ!」



「…へ、へい!」



俺は全速力でその人の方に向かう。

あの魔物はベレト…と言うみたいだ。…だが大丈夫だろうか、俺がそっちに行くと追いかけてきそうだが…。



「ファエヤル!援護は任せろ!奴を此処で仕留める!」



「…認識した。目標、ベレト一体。撃滅する。」



ファエヤルと呼ばれたヤツが俺の横を通りすぎる。

ソイツは全身を鎧で包み込んだような奴で、顔は鉄仮面のようなもので見ることはできない。身長は3m位だろうか。瞬く間にベレトへと接近し攻撃を試みている。


挿絵(By みてみん)

 


俺が辿り着くとそこには髪の毛をサイドテールでまとめ、左目が包帯で覆われた160cm位の女性が居た。


挿絵(By みてみん)


彼女は俺が辿り着くのを確認すると、肩からベルトで掛けていた銃?の様なものを構える。

引き金を引くと大きな音と共に赤黒いビームが発射される。


「え?は?ビーム!?ま、魔法か!?」



そうやって言葉を発する間にもビームは発射され続ける。



「魔法だと?…何をいっている。魔法は貴族共や次元漂流者しか扱えんだろう?平民の私に扱えるわけがなかろう。」



「そうなのか!?じゃあその銃はなんなんだよ!」



「なにを言っている。これは平民が戦うための武器ではないか。それを知らんだと?」



そんな事を言っていると、ビームが直撃し怯んだベレトがファエヤルが手から闘気?みたいなので作った剣によって真っ二つにされた。真っ二つになりベレトだったものは地面に倒れ伏す。



「ふん、呆気なかったな。…それでだ。」



ファエヤルが戻ってくるのを横目に彼女が話しかけてくる。



「お前、見ない顔だ。村のものではないようだが、何処から来た?それよりもさっきの質問。"これ"を知らないようだな。」



「あ、あぁ。すまんがそんな未来兵器知らねぇ。何処から来た…か。」



ここで、神様転生しましたー、なんて正直に言うと頭の心配をされそうだ…。どうしたもんか。



「ふむ、これを知らない。そして何処から来たか、についても直ぐには答えられない。そして、貴様、魔法が使えるんだったな。何故さっき使わなかった?魔力が勿体なかったのか?」



少し不機嫌な感じで彼女は聞いてくる。が、



「あぁ!その手があったか!」



正直忘れていた。そんなもんありましたね。

そう答えたとき、彼女は一瞬呆けてから次第に理解したような顔つきになり溜め息を吐いて


「…貴族共ではない、服装が違うしな。しかし魔法が使える。つまり、次元漂流者か…。面倒だな。」



と言った。



「次元漂流者?」



「そうだ。詳しくは村で話してやる。ファエヤル!撤収だ。」



「……」



「ええー、っと…」




「自己紹介がまだだったな。私はマリナ・ジドローだ。そしてようこそ、次元漂流者さん。クソッタレのこの世界へ。」









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