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1話:転生させられてしまいました。



真っ白な空間。



そう、そうとしか表現できない場所に俺は居た。

四方八方ただただ真っ白、床?はあるようだが正直今にでも落ちそうでいい気分ではない。上を見ても光源らしきものはない、それなのにこの空間は昼間のような明るさだ。



考えれば考えるほど不気味に思えてくるこの空間に、何故俺は居るのだろう…。そう思い、自身のこうなる前について考えようとした…。しかし何も思い出せない。まるでそこだけ抜け落ちたかのように。それどころか自分の名前、年齢、趣味等は思い出せるのに自分がここに来る前までの記憶全てが思い出せなかった。親、友人の顔すら思い出せなかった。




「…気分はどんな感じかな?澤崎 幸夫君?」



突然後ろから、子供や老人、男性、女性の声を混ぜ混んだようなおぞましい声が聞こえた。



「やぁやぁ!幸夫君!気分は…どうやら最悪みたいだネッ!スッゴく青い顔してるもンね!キャハハハハッ!」



振り返るとソイツは居た。



先程と同じ声でそれよりも更におぞましく笑っていた。

いや、嗤っていた。ソイツには"顔が無かった。"

大きさは人をゆうに越え、触手のような腕、鉤爪を持っていた。その腕は時々伸び縮みしながら脈動している。頭部は円錐形で3本の足の様なもので自分の後ろ数メートル先に立っていたのだ。



(…な、なんだコイツは…こんな化け物見たことねぇ!…いやこんな化け物が居るんだ。…これは夢…「残念ながら夢じゃないンだよねぇ!現実逃避したいのはわかったけどさぁ。」…心を読まれた!?どうなってやがる…。)



「さてさて!それじゃ本題に入ろうか!君もなんで此処に居るのか知りたいみたいだし!今日はすこぶる機嫌が良いからネ!」



そういうとその化け物は足元に座布団?を何もない空間から取り出した。



(…本当になんなんだコイツ…。それよりも俺だ。こんな化け物を見たら普通こんなに冷静で居られるもんなのか…?)



こんな状況なのに俺は嫌というほど落ち着いていた。こんな化け物が目の前に居るのに…。あの不気味な声を聞いても、何もないところからものを出したところを見ても。ちょっと驚いた程度だった。



「じゃ、まずは自己紹介かナ?ぼくのことは…まぁ、神様だとでも思えば良いよ。ほら、キミ達人間の間で流行ってるでしょ?異世界転生…?だっけ?それに出てくる神様!」



「…は?」



「いやー、1回やってみたかったんだよねぇ!面白そうだったし!」



あー、あれか。死んじゃったから転生させてあげるーってやつ。

…こういったことは覚えてんだなぁ。…ん?やりたかった…?

てことは…。



「そうとも!キミは死んでしまったってわけだよ!あ、事故死ではないヨ!あと気になってたみたいだから言うけど、嫌に落ち着いてるのはぼくがキミに"少し細工をしたからサ!"発狂されても困るからネ!キャハハハハ!」



「マジかよ…。因みになんで死んだんだ?」



これは純粋に気になった。自分の死因位は聞いておきたかった。

…が、聞かなければよかった、と直ぐに思うことになった。



「あー、それはねぇ、キミは選ばれました!」



「選ばれた?」



「そう!キミはくじ引きによって邪神式転生システムの実験…ゴホン。記念すべき転生者第一号になったんだ!」



「お、おう。」




「それで選ばれたけどキミ、生きてたよね?だからさぁ、色々とめんどくさいしぃ。選び直すのもなーってことで、それならやっちゃえばいいじゃん!って感じで!」



「…は?つまり俺が死んだのって…。」




「うん。ぼくがやりました。許してネ!」





…これはキレても良いよな?例え相手が神でも許されるよな?

というか、キレなきゃ俺の気がすまん!



「き、きっさまぁぁぁぁぁぁ!!」




「…ほっと、まぁだからお詫びに転生特典を付けてあげよう!」



そう言って奴は俺の渾身の拳を軽々と受け止めながら一枚の紙を取り出した。…転生マニュアルって書いてあるのは気のせいだろう。




「あー、転生特典は3つ!規制はあるけどまぁ、大体のことはOKみたいだネ!じっくりと考えるといい…」



転生特典…ねぇ。じっくり考えさせてくれるって言ってるし、そうだなぁ。



「と、言うとでも思った?思った?あと30秒で決めなきゃこっちで決めるヨ!ほーらあと29秒!」



「はぁ!?短すぎんだろ!ちょっと待っ…「ほーら!あと23秒!」…くっ!じゃあまず魔法を使えるようにしてくれ!」



転生って言ったらまずは魔法って感じがするしな!あ、あとは…



「ふーん。魔法ねぇ。ありきたりだけどまぁいいや。あと19秒だよぉ。キャハハハハ!」



「え、えーとあー、そう!武器を達人レベルで扱えるようにしてくれ!どんな武器でも!」



「うーんありきたりだなぁ。…そうだ!最後の一個はぼくが決めてあげよう!…ククク。」



「え"!?」



神様が決める!?なんかろくなことになりそうにない!

最後の特典を早く言わないと!



「はーい!時間切れでーす!それではぁ!邪神式転生システム起動!」



「ちょ!待って!待ってくれ!」




「それではぁ!良い転生ライフを過ごしてみなよ!キャハハハハ!」



そういって神様?は謎の装置のスイッチを入れる。すると真っ白な空間の足場が消えた。そう、消えたのだ。

転生方法はスカイダイビングらしい。ふざけんな。



「くそったれがぁぁぁぁぁ!」



そうして俺は真っ白な空間から落ちて、真っ黒な縦穴に落ちていった。

落ちる瞬間、神様が




「彼はどれくらい楽しませてくれるかな?」




と言っていたのは聞こえなかった。











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