㉛ PHASE DIFFERENCE
「君が描く最後のページを教えて。」
「例えば、」
そのフレーズは、最強にして、最弱。
そう、例えば君が、あのときに僕に打ち明けてくれていれば、
少なくとも、僕らにとって、若干はベターな結末を用意できたかも。
なんて。
けれど、君には可能だよね。
君が食卓したい運命の名を並べて、吟味を楽しむ。
いささか自由・勝手で、いくばくか暴力的な、君のロジカル・エクステンション。
いわば、それこそが君が視ている世界の実体で、
君以外、全ての干渉を拒ませるセキュリティの名称。
「あァ、君だったか。」
「ところで、僕の顔は、視認できているかな。」
君が指折り数えて終末を見据える、最初の七十時間は『今』終わらせた。
君が「もし」まだ、
その特注の掛け物で世界を眺めていられるなんて、戯言を、
言えるなら?
それでも君は、その掌を外に向けてサヨウナラのポーズをとるだろうね。
まるで君が誰かに重なるような。
まるで誰かが君に重なるような。
幻影。
もしかしなくとも、気付けないだけで、
もう、入れ替わっているのかもしれないね。
その場合は、『はじめまして』。
そして僕の次の役割はつぎはぎのトリガーだから、
お望みの通り、視界を奪ってあげるよ。
「あァ、君だったか。」
「ところで、僕の顔は、視認できているかな。」
君の選り好みが叶うとき、きっと最高の祝福が訪れる。
つまりは完成。
もしくは完成。
あるいは完成。
―――あれ、
もしかして、僕の役割の配置は、まだ?
希望的に観れば、それは無限の可能性ってことばであらわせるかもね。
それを挿み込む余力が、あるかどうかなんて、是非は問えないけれどね。