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3n  作者: ベンリィ
3/3

明かりが照らされた中にクワガタがいる。


クワガタ「キューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」


モモは「さぁ、行くよ!クワガタ君!!」


 モモはハンドガンを撃ちながら、クワガタに突撃する。


クワガタ「キューーーーーーーーー!!!」


 クワガタがモモを挟もうとするがモモは躱す。


モモ「はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


 モモはハンドガンをしまい、刀でクワガタの足を切る。


モモ「よし!!!」


 モモは一旦、クワガタから離れる。イブキから連絡が入る。


イブキ「その調子でクワガタの足を斬り落としていくんだ。足は全部で6本。切ってもダメージはないが、

バランスを保てなくなるはずだ!」


モモ「了解!って、私けっこうえげつない事してるよね。」


イブキ「勝つためだ!来るぞ!!」


 クワガタはモモの足を挟む。


モモ「あ、ヤバい。」


クワガタ「キィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


モモ「うぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


 モモは苦しむ。


イブキ「モモ!!!」


 モモは刀で自分の足を斬り落とす。


モモ「痛い!!!!!」


 クワガタのハサミから脱出する。モモの足が再生する。


モモ「はぁーーーーーーーーーーーーー!!!」


 モモは二本目のクワガタの足を切る。


イブキ「凄いぞ!」


モモ「へへ、やった!」


 クワガタはモモの下半身をハサミで挟む。


モモ「あ、これはもっとヤバい。」


クワガタ「キィーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 クワガタはモモの上半身と下半身を引きちぎる。


モモ「うぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」




 イブキはモモが見ている光景と同じものをパソコンの画面から見ている。


イブキ「壮絶だな・・・・・・・。クワガタの装甲は硬い。倒すためには足を斬り落として、チャンスを待つしかない。しかし、モモは不死身とはいえ、スタミナは消耗する。いけるか、モモ!?」


 モモから連絡が入る。


モモ「多分、大丈夫!ってか、クワガタ君、強いんですけど。」


イブキ「クワガタは交尾の相手のメスさえも殺してしまうぐらい凶暴なんだ。」


モモ「なるほどって、関心している場合ではないな。もー。」


イブキ「どんな勝負にも勝つチャンスがあるはずだ。根気よく耐えるんだ。」


モモ「はーい。そうだ。執事さんにお別れ言いそびれたから、私の代わりに言っておいてね。かなりお世話になったから。」


イブキ「分かった。」


 イブキはパソコンの画面を切り、ノートパソコンを一つカバンに入れて部屋を出て、居間に行く。


イブキ「執事さん、今までありがとございます。モモがよろしく伝えてくれと言っていました。」


執事さん「大丈夫ですよ。それが私の務めですから。」


 イブキは申し訳なさそうな顔をしている。


イブキ「最後に汚れ役を押し付けてしまい、申し訳ありません。」


執事「いいんですよ。それよりイブキ様がどうしてモモ様のサポート役になったか、知っていますか?」


イブキ「俺が一応、優秀だからじゃないですか?」


 執事は笑う。


執事「正解です。しかし、実はもう一つ理由があります。それはモモ様が同年代の方と交流して欲しいとおう、私の要望でした。」


 イブキは驚いた顔を隠せない。


執事「モモ様と最後まで一緒にいてあげて下さい。」


 執事は泣きながら、頭を下げる。


イブキ「分かりました。」


 イブキは執事の肩を触る。



 モモは息が上がった状態でクワガタと対峙する。


モモ「はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」


 モモはクワガタに接近する。クワガタはハサミで挟もうとする。


モモ「フェイント!!」


 モモは間合いを取り、ハンドガンを出して足を撃つ。足が取れる。


クワガタ「キューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


 クワガタは苦しむ素振りがなく、モモを薙ぎ払う。


モモ「うぁ!!!」


 モモは壁に叩き付けられる。


モモ「もー・・・・・・・・・・・・・・。」


 モモはフラフラと立ち上がる。連絡が入る。


イブキ「3本目!もう少しだ!!」


モモ「へへ、頑張る。」


 モモはクワガタに向かっていく。


モモ「バッタ君、カマキリ君、クワガタ君、私が倒してきたインセクトたち。皆、人の手で生まれてきたんだよね。」


 モモはクワガタのハサミ攻撃を刀でガードする。


モモ「私も一緒。人はもう生命の誕生さえも自分の好きにできるようになったんだよね。」


 モモはクワガタの攻撃を躱す。


モモ「人間は神様の領域さえも超えていると私は思う。でもね、私たちは自分たちの運命さえも変えられない、ちっぽけな存在なんだよ。」


 モモは刀で足を切る。


モモ「4本目!!!」


クワガタ「キューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


 クワガタは羽を広げて、飛び立とうする。イブキから連絡が入る。


イブキ「モモ、チャンスだ!!!!」


 モモはクワガタに飛び乗る。


イブキ「クワガタの装甲は硬い。だが、羽を開いた所を狙えば、勝てる!!」


 モモは刀を捨てて、マグナムを構える。


モモ「マグナムは強力。人の頭を粉々に吹き飛ばせるんだよ。」


 モモはマグナムを撃つ。


クワガタ「キュ!!!!!!!」


 クワガタは地面にのたまう。連絡が入る。


イブキ「どうだ!?」


 のたまうクワガタを見ながら、モモはハイライトメンソールを出して、ジッポーライターで火を付けて、吸う。


モモ「まさに虫の息。」

 

 モモはマグナムの撃鉄を起こす。




 競技場の外では銃を持った警官たちがいる。一人が誰かと連絡を取っている。


警官A「了解です。」


 警官が連絡を終える。


警官A「ターゲットが出てきしだい、確保。抵抗する場合は撃っても構わない。」


警官B「撃ってもいいんですか!?相手は女の子らしいじゃないですか!?」


警官A「上からの命令だ。出来れば、抵抗してもらいたくないが・・・・・・・。」


 警官たちは競技場の中を見つめる。突然、競技場の中の明かりが消える。


警官A「明かりが消えたぞ!?」


 競技場の中からクワガタが飛び出していく。


モモ「ご苦労様!!」


 モモはクワガタの背に掴まり、警官たちに手を振る。



 モモはクワガタの上に乗り、空を飛んでいる。イブキと連絡する。


イブキ「イブキ、嘘みたい!!!今、空を飛んでいるよ。すっごく気持ちいい!!!」


イブキ「うまくいったみたいだな。競技場の明かりを消して、街の明かりをいくつか点けさせてもらった。

街に近づいたら、クワガタを殺して、合流しよう。」


モモ「はい・・・・・・・・・・・・・。」


 モモはクワガタの背中をさする。


モモ「クワガタ君、君の命を奪うよ。どうして、お互いに生き物は命を奪い合うのかな。」


 モモはクワガタをマグナムで撃つ。




 政府の男は電話で話している


警官A「クワガタの死体を発見しました。また周辺の監視カメラを調べた結果、怪しい車を発見。今、捜索中です。」


政府の男「分かった。引き続き捜索してくれ。」

 

 政府の男は電話を切る。


政府の男「さて、どこまで逃げ切れるかな?」



 

 モモは女子トイレから出てくる。


モモ「へへ、おまたせ。」


 モモの服装は可愛いバトルスーツから私服に変わっている。


イブキ「か、可愛いな。」


モモ「お、ありがとう。」


 二人は歩いてホームに移動する。


イブキ「ゴーグル、まだ付けているんだ。」


モモ「まぁね、愛着が湧いちゃった。そんなことより執事さん、大丈夫かな?囮役なんでしょ?」


イブキ「多分な。わざと目に付くように動いてくれたから、皆、釣られたと思うが。」


モモ「私のために・・・・・・・・・。」


イブキ「執事さんが言っていた。モモと一緒にいてやってくれって。」


 二人の前に寝台列車が止まる。


イブキ「行こう!モモが自由になれる遠い遠いどこかに。執事さんもそれを願っている。」


 イブキはモモに手を差し出す。


モモ「なにそのセリフ、キザっぽい!」


 モモは嬉しそうにイブキの手を握る。




モモ「うわー、綺麗!!!」


 モモは二人が止まる客室を見て、驚く。


イブキ「寝台列車トワイライトエクスプレス。日本で最も高級な列車と言われている。」


 モモは勢いよく、椅子に座る。


モモ「で、この列車は北海道に向かっているんだけ?」


イブキ「そうだ。」


モモ「イブキのおばあちゃんがいるんだよね。どんな所。」


イブキ「何もないが、自然がいっぱいあって落ち着く。多分、モモも気に入ると思う。」


モモ「楽しみ!」


 イブキは立ち上がる。


イブキ「レストランカーに行こう!」


モモ「レストランカー!?」




 レストランカーでは食事の支度が整い、二人は席に着く。


モモ「うわー、美味しそう!」


イブキ「一流の料理だからな。食べよう。」


 二人は手を合わせる。


モモ・イブキ「いただきます。」


 モモは料理を食べる。


モモ「美味しい!!」


 イブキはモモを見て、笑う。


モモ「どうしたの?」


イブキ「美味しい料理って凄いよな。人の気持ちを軽くしてれる。そして、会話を弾ませてくれる。」


モモ「ふふっ、なにそれ。」


 イブキは恥ずかしそうを隠すように料理を食べる。


イブキ「何でもない。それより俺の好きなタイプだったよな。」


モモ「そう、そう!どんなタイプが好きなタイプがすきなの?」


イブキ「外見はあんまり気にしないかな。その・・・・・・、何かに頑張っている人がいいなと思う。」


モモ「ふーん。それって、私は当てはまっているの?」


 イブキは恥ずかしそうに飲み物を飲む。


イブキ「さー、と、ところでモモの好きなタイプはどうなんだ。」


 モモは料理を食べる。


モモ「えっ、私・・・・・・・・・・・・・・・・、秘密!」


イブキ「ずるいぞ!私だけさらし損だ!!!」


モモ「秘密っていたら、秘密。」


 二人は楽しそうに食事を続ける。




 モモは客室の窓を開ける。夜風に当たりながら、ハイライトメンソールに火を付ける。


モモ「落ち着く。」


 モモはハイライトメンソールを吸い終える。


モモ「そろそろ、寝る?」


イブキ「ああ、そうだな。」


 イブキは電気を消して、二人はそれぞれのベットに入る。月明かりが部屋を照らす。


イブキ「寝付けないな。」


 イブキはモモの方を見る。モモはイブキを握る。


モモ「イブキ、私ね、今、人生で一番幸せ。」


 イブキはモモの手を握り返す。


モモ「世界って、人生って、こんなに楽しいんだね。」


 二人を静寂が包み込む。




 朝日が昇り、列車は札幌駅に着く。


モモ「寒ーい!」


 二人は電車から降りる。目の前には銃を構えた警官たちがいる。中から政府の男が出てくる。


政府の男「茶番はそろそろ終わりにしようか。」


 イブキはモモを後ろに下がらせる。


イブキ「ばれていたか!」


政府の男「君たちの居場所など、どうとでも突き止められる。」


 モモはイブキを押しのけて、前に出て、政府の男にハンドガンを突きつける。


政府の男「そんなことしても、どうにもならないぞ。」


モモ「何人かは道連れに出来るかもよ?」


 辺りは緊張感が漂う。


モモ「おとなしく捕まるからさ、イブキと執事さんは見逃して、お願い。」


政府の男「いいだろう、約束しよう。二人には手を出さない。」


 モモはハンドガンを置いて、政府の男の方に滑らせる。イブキは泣き崩れる。


イブキ「モモ・・・・・・・・・、ごめん。君を、君を・・・・・・・・・・・、守れなかった。」


モモ「いいよ、イブキ。それより寝台列車に乗れて、一緒に凄く楽しかった。私、一生の思い出にするね。」


 モモは泣きながら、首にかけていたゴーグルをイブキに渡す。


モモ「バイバイ、イブキ。」


 モモは政府の男の方に歩いていく。


イブキ「モモ!!」


 イブキは泣きながら、モモの背中を見つめる。




窓に鉄格子がある白い部屋でモモは映画を見ている。傍らには『タクシードライバー』のDVDがある。


執事「モモ様。」


 執事が入ってくる。


モモ「執事さん、無事だったんだ。」


 モモは執事に近づく。


執事「モモ様、何の映画を見ているんですか?」


モモ「ああ、これね。『タクシードライバー』って映画。私、映画好きなんだ。どうしようもないダメな主人公が頑張って、頑張って、頑張って、少しだけ世の中が変えられるっていう感じがたまらないの。bestな結末でなく、betterな結末ってところもまたいいの。」


 モモはハイライトメンソールを吸う。


モモ「ところで、見ず知らずの私たちの事を助けてくれる、執事さんって何者なの?」


執事「私は・・・・・・・、科学者です。あなたを体外受精したときに責任者でした。」


 モモは驚く。


執事「あなたへの罪滅ぼしのためにこの仕事をやろうと決めました。当然、許されるはずないことですが。」


モモ「結果的にはこうなったけど、執事さんは子供ができないお父さんとお母さんのためにしてくれたんだよね。・・・・・・・・・・・・・・・、ありがとう。」


 執事は泣き崩れる。モモはそっと、執事の肩に手を置く。


執事「モモ様、これを。」


 執事は泣き止み、モモに箱を渡す。


執事「今のモモ様の状況が百だとすれば、この箱を開ける事で九十九になるでしょう。しかしそのたった一の変化が人を救うと、私は思います。」


 モモは箱を開ける。中には手紙とゴーグルが入っている。


イブキ『いつまでも同じ景色を見ていたい。モモ、大好きだ。』


 モモはゴーグルを抱きしめる。


モモ「ありがとう、イブキ・・・・・・・・・・・・、私も大好きだよ。」


 

 終わり






 


  










 




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