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3n  作者: ベンリィ
2/3

 モモは一面、白い壁に覆われた部屋にいる。どこともなく声が聞こえる。


???「科学はここまで進んだ。」


???「まさに人類の進歩だ。」


???「新たな生命の誕生だ。」


 モモはその場に座り込み、目を閉じ、耳を塞ぐ。


モモ「なんで、私なの!!なんで、なんで、なんで!!!」


 モモは恐る恐る、目を開ける。目の目には誰もいなく、モモはホットするが、後ろから耳元で囁かれる。


モモ「君は人間でない。」



 モモは跳ね起きる。


モモ「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


 モモは体中に汗をかいている。


モモ「嫌な夢だな、もー。」


 モモは時計を見る。時刻は8時を回っている。


モモ「!!!」


 執事は居間で掃除機をかけている。制服姿のモモは急いで二階から駆け下りてくる。


モモ「執事さん!どうして起こしてくれなかったの!?」


執事「起こしましたよ。何回も。しかし、モモは後5分と。」


 モモは鏡の前で寝癖を直している。


モモ「ホント!?無意識に後5分って言うのか、私は!!」


 モモは寝癖を直すのを諦める。


モモ「直らん!もういかないと遅刻!!!」


 モモはパンをくわえて、靴をはく。


モモ「そうだ、執事さん。イブキは?」


執事「イブキ様なら、先に行きましたよ。」


モモ「同じところにいくなら、起こしてくれてもいいじゃん!!もー。」


 モモは玄関を開けるが、立ち止まる。


モモ「執事さん、私の机の上にあるゴーグル、持ってきて!」


執事「分かりました。」


 執事は二階に上がっていく。モモは空を見上げる。青空に少し雲がかかり始めている。


モモ「雨でも降るのかな?」


執事「モモ様、ゴーグルです。」


 執事はモモにゴーグルを渡す。モモはゴーグルを首にかける。


執事「お似合いですよ。」


モモ「へへ、ありがとう。」


 モモは嬉しそうに走りだす。




 モモは5分遅刻して、授業中の教室に入る。


モモ「すいません、遅れました!!」


 先生は黒板に書く手を止める。


先生「どうした、流川?」


モモ「寝坊しました!」


 モモは顔を真っ赤にして答える。


先生「次から気をつけるように。」


モモ「はい、すいません。」


 モモは自分の席につき、イブキをにらみつける。


イブキ「寝癖、ひどいね。」


モモ「うるさい!一緒のところに行くんだから、起こしてくれてもいいじゃん!!!もー。」


 イブキは笑顔で答える。


イブキ「高校生なんだから、自分で起きないと。」


モモ「ムカつくな。もー。」


 イブキはゴーグルに気づく。


イブキ「ゴーグル、持ってきたんだ。」


モモ「当たり前じゃん。これがあれば、痛い思いしなくて済むんでしょ?」


 先生は黒板に文字を書くのを止める。


先生「二人とも静かに。」


モモ・イブキ「は、はい。」


 二人は恥ずかしそうな顔をする。




授業が終わり、次の授業のために移動する。皆が廊下を歩く中、モモは張り紙を見て立ち止まる。


イブキ「どうした?」


 モモが見ている張り紙には海外インターン募集について書かれていた。


モモ「行ってみたいな。自分が知らない所。」


イブキ「応募してみればいいだろう?」


モモ「そうだけどさ、私には絶対に無理だから。」


 モモはイブキに背を向けて歩きだす。


イブキ「?」



 次の授業が始まる。黒板には染色体の図が書かれている。


生物の先生「今日は有性生殖についてのです。人の形成は精子と卵が合体した受精卵が育つことでなります。皆さんの細胞一つ一つには染色体が二種類ずつ入っています。親から染色体を一つずつ受け継ぐといいうこと。一般的に2nで表すことができます、nは染色体の数。」


 モモは怯えた顔で話を聞いている。


イブキ「モモ、どうかしたか?」


モモ「べ、別に・・・・・・・・・。」


生物の先生「精子と卵は減数分裂により、nになる。これらが受精したときにnとnが合体して2nになる。そして・・・・・・・・・。」


 生物の先生が言いかけた時にモモのスマホからアラームが鳴る。


生物の先生「誰だ!!!!授業中に!!!!」


モモ「すいませんって、これヤバい!!!!!!!」


 叫び声が聞こえる。


生徒「うぁ!!!!校庭にでかいカマキリがいるぞ!!!!!」


 クラスの皆が窓際に集まる。


イブキ「まずい!!!」


 モモはゴーグルをかける。


モモ「イブキ、皆の避難をお願い!」


 モモは教室を出ようとする。


イブキ「待て、武器はもっているのか?」


モモ「あ、忘れた!!!」


 イブキはナイフを一本、モモに渡す。


イブキ「これしかないぞ、大丈夫か!?」


 モモは笑顔を見せる。


モモ「やるしかないでしょ!!」


 モモは教室を飛び出して、校庭に行く。




校庭では体育の授業をしている生徒たちがいる。


生徒「デカいカマキリがいる!!」


 カマキリは鎌を振り上げる。


カマキリ「キィー!!!」


 皆は逃げるがミソラは腰を抜かして動けない。


ミソラ「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


 モモはカマキリの顔にドロップキックをする。カマキリは倒れる。


モモ「あ、パンツ見てた!!もー。」


 モモはミソラに近寄る。


モモ「ミソラ、大丈夫!?」


 モモはミソラを立ち上がらせる。


ミソラ「ありがとう、モモ。ってか、そのゴーグルダサくない!?」


モモ「気に入っているの!!!そんな事より早く逃げて!!!」


 ミソラはモモの手を掴む。


ミソラ「モモも一緒に逃げようよ!!」


モモ「私はカマキリを足止めする!!だから早く!!」


ミソラ「モモ!?」


 モモはナイフでカマキリに斬りかかる。カマキリは鎌で受ける。激しい斬り合いになるが、徐々にモモは押し返される。


モモ「装甲は硬くないかな。だけど、接近戦は物凄く強い。銃系の武器があれば楽に倒せたのに。もー。」


 モモはイブキと連絡を取る。


モモ「避難の状況は?」


イブキ「まだかかるぞ。そっちは大丈夫か?」


モモ「まかせなさい!」


 近くで生徒がカマキリの近くでスマホで撮影している。


生徒「この動画を上げれば、有名になれるぞ!」


 カマキリは生徒を発見して襲い掛かる。


カマキリ「キィーーーーーー!!」


 生徒はスマホを落として、うずくまる。


生徒「ひぃ!!!」


モモ「スマホ何かいじっていて!!もー!!!」


 モモは生徒の代わりに攻撃を受けて、顔が切り落とされる。血が勢いよく生徒に飛び散る。


生徒「うぁ!!!!!!!」


 数秒すると頭が再生する。モモは生徒に詰め寄る。


モモ「何やってるんだ!!ささっと逃げろ!!」


 生徒は恐怖で顔を歪める。


生徒「化け物だ!!!!」


 生徒は一目散に逃げる。


モモ「・・・・・・・・・・・・・。」


 モモは悲しそうな顔をする。


モモ「ははは、化け物か。」


 モモは落ちているゴーグルを取り、かけ直す。雨が降り始める。


モモ「私は確かに化け物だ。」


 カマキリがモモに斬りかかる。モモも応戦するが、徐々に押され始める。


モモ「私はやっぱり認められないんだろうな。」


 モモは校舎の壁に追い詰められ、逃げ場を失う。


モモ「私はこれから先、誰にも理解されないの?」


 モモは両手を降ろして、壁にもたれかかる。カマキリは鎌を振り落とす。


カマキリ「キィーーーーー!!!」


ミソラ「モモ!!!!」


 ミソラは消火器を発動させ、泡をカマキリにかける。


ミソラ「早く、今の内に!!」


 ミソラはモモの手を取り、校舎の中に入る。




ミソラはモモを連れて教室に入り、身を縮めて隠れる。カマキリはモモたちを探している。


モモ「ありがとう・・・・・・・・。」


ミソラ「いいの。モモは私の事を助けてくれたから、私もモモを助ける。友達は持ちず持たれずの関係だから!」


 ミソラは血が付いたモモの制服をまじまじと見る。


ミソラ「大丈夫なの?怪我は無い?」


モモ「ミソラ・・・・・・・・、いつか言ったよね?素の自分を出せば皆、気にいってくれるって。」


ミソラ「急にどうしたの?」


 モモはポケットからハイライトメンソールをだして、ジッポーライターで火をつける。


ミソラ「タバコ吸うの!?」


モモ「勘違いしないでね。こう見えても私は二十五歳だから。」


 モモはタバコを咥えながらナイフで自分の体を切り傷を付ける。


ミソラ「モモ!?」


 傷口から血が流れるが、数秒すると傷が塞がり、元通りになる。


ミソラ「ど、どういう事!?」


 モモはタバコを吸う。


モモ「ある事情で超再生能力が備わっているの。頭が吹き飛んでも平気。しかもその再生能力のおかげで、歳も取らなくなちゃった。二十五歳だけど、身体年齢は十七歳ぐらいでストップ。永遠の十七差ってやつかな。」


 モモは笑う。


モモ「さっきの再生能力を見た男子に化け物って言われちゃった。はは、これが素の私。」


 ミソラはモモの手を握る。


ミソラ「確かに素のモモのこと、毛嫌いする人もいると思うよ。でも嫌わない人もいると思う。あたしはモモの事好きだよ。モモは自分が好きになってもらえないと思って、人とコミュニケーション取らないけど、そんなこと考えなくてもいい。何も考えず、話したい事を話して、聞きたい事を聞けばいい。」


 モモはミソラを見つめる。


モモ「ありがとう。いい事言うね、ミソラ。ああ、もっといろんな人と話しておけば良かったな。」


ミソラ「これからでも遅くないぞ!」


モモ「ダメなんだ。こんなに大きな騒ぎになったら、もう学校にいられない。」


ミソラ「どういうこと!?」


 モモはハイライトメンソールを吸う。


モモ「そんなことより、ミソラが一番最初に私に勧めてくれた映画、覚えてる?」


ミソラ「うん、『スタンド・バイ・ミー』だよ。」


モモ「私、その映画が好きなんだ。ねぇ、歌って。」


 ミソラは息を吸い、歌いだす。


ミソラ「When the night has come (夜が来て)」


 モモも歌いだす。


モモ「And the land is dark (周りが暗く)」


ミソラ「And tke moon is the only light we see (月の光しか見えなくなっても)」


モモ「No,I won`t be afraid. Oh,I won`t be afraid (いいや、怖くない。そう怖くない。)」


ミソラ「Just as long as you stand, Stand by me (ただ君が、そばにいてくれれば)」


モモ「So,darling darling, Stand by me.Oh stand by me,Oh stand ,Stand by me,Stand by me. (いとしい君よ、そばにいて、そばにいて、そばにいて・・・・・・・・・。)」


 ゴーグルから連絡がはいる。


イブキ「モモ、避難が完了した。それとインセクトを倒す準備が整った。理科室まで来てくれ。」


モモ「分かった。」


 モモはハイライトメンソールを吸い終える。


モモ「ミソラ、ありがとう。大切な事に気づかせてくれて。それと・・・・・・・・、さよなら。」


 モモはミソラの溝にパンチを入れる。


ミソラ「モモ・・・・・・・・・・。」


 ミソラは気絶する。モモは深呼吸をして、カマキリの前にでる。


モモ「カマキリ君、こっち!!!」


 カマキリはモモを追いかける。




 モモとカマキリは一緒に勢いよく理科室に入る。


モモ「ガス臭!」


イブキ「モモ、来たか!」


 カマキリはモモに斬りかかり、モモはナイフで受け止める。


モモ「はは、カマキリに頭を斬り落せちゃったよ。」


イブキ「雌のカマキリは交尾した雄を食い殺すんだ。それより、ジッポーライターを持ってるな?」


モモ「うん。って、何で知ってるの!?」


イブキ「ゴーグルに通信機能が付いてるだろ。聞くつもりはなかったがさっきの話、筒抜けだった。」


モモ「盗み聞きしたのか、もー。」


 モモはイブキにジッポーライターを投げる渡す。


イブキ「よし、行くぞ!!」


 イブキはモモを連れて理科室から出る。


カマキリ「キィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」


 カマキリも後を追う。


イブキ「チェックメイトだ!!!」


 イブキはジッポーライターに火を付けて理科室に投げ入れる。


モモ「ガス臭かったってことは、ヤバいじゃん!!!!」


 モモはその場に伏せる。理科室に充満したガスに引火して、大爆発が起きる。






 モモは自宅のベランダでハイライトメンソールにマッチで火を付ける。


モモ「ふー。」


 ドアを叩く音が聞こえる。


モモ「入るぞ。」


 ドアを開けて、イブキが入ってくる。


モモ「乙女の部屋だぞ。」


イブキ「ちゃんとノックした。」


イブキもベランダに出る。二人はしばらく黙り込み、夜空を見上げる。


イブキ「ああ、夜空が気持ちいいな。それに星空がきれいだ。雨が降っていたのに止んで良かった。」


 モモはハイライトメンソールを吸う。


モモ「ふふっ、それを言いに来たの?」


イブキ「ああ、違う。ジッポーライターを返しに来た。政府が新品を用意してくれたぞ。」


 イブキはジッポーライターを渡す。


モモ「えー、前のが良かったな。」


イブキ「ごめん。」


 モモは笑う。


イブキ「一本、吸っていい?」


モモ「いいよ。吸えるならね。」


 モモはハイライトメンソールを差し出す。イブキは一本取り、咥える。


モモ「火が付いたら、吸い込んで。」


 モモはハイライトメンソールくわえたまま、イブキのくわえたハイライトメンソールに押し付ける。イブキは恥ずかしそうな表情をする。


モモ「んっ、どうした?」


イブキ「な、何でもない。」


 イブキはハイライトメンソールを吸い込む。


イブキ「げほ、げほ、げほ。」


モモ「ははははー。」


 モモは大笑いする。


イブキ「よくこんなの吸えるな。」


モモ「年の功ってやつ。子供にはまだ早いかな。」


 モモはハイライトメンソールを吸い終える。


モモ「カマキリ事件、どうなった。」


イブキ「カマキリは死亡。多少のニュースになるだろうが、政府の報道規制をかけるから問題ない。」


モモ「なるほど。」


 イブキはモモから視線をずらす。


イブキ「すまない。一つだけ問題がある。モモはもう学校に入られない。政府の命令だ。」


モモ「だろうね。でも、ミソラにはちゃんとお別れできたから大丈夫だよ。」


モモ「ミソラに言われたんだ。相手に嫌われるとか考えず、話したい事を話して、聞きたい事を聞けばいいって。」


 モモは二本目のハイライトメンソールを吸い、夜空を見上げる。


モモ「聞いてくれる?私の話したい事。」


イブキ「ああ、俺もぜひ聞きたい。」


モモ「今日の生物の授業で習ったよね、私たちは親から一つずつの染色体を受け継いで細胞は2nで構成させている。」


イブキ「その通りだ。」


モモ「私の細胞は・・・・・・・・・・、3nで構成させている。」


 イブキはうろたえる。


イブキ「バカな、生物上ではそんなことあり得ない!!!!」


モモ「あり得ないんだよね、これが。人口受精なら。」


イブキ「人口受精・・・・・・・・・。」


モモ「私の両親は中々子供が出来ず、人口受精で私を産んだんだ。その時にnの細胞を使うはずだったんだけど偶然、減数分裂されてない2nの細胞が偶然、使われたんだよね。」


イブキ「3nの生物。人間と定義してもいいかも分からない。この世の中に3nの生物はいないのだから。」


 モモは笑う。


モモ「そう、そう。政府の人にも言われた!3nの人間なんていないから、人間の倍生きても、超能力が使えても、何が起きても不思議じゃないって。」


 イブキはモモを見つめる。


モモ「中学生のことから再生能力がでてきて、後は両親とも引き離されて、今まで施設暮らし。人類のためとか言っていろいろ調べられたんだよね。」


 イブキ「・・・・・・・・・・・・。」


モモ「でね、政府からインセクト討伐の命令を受けたの。良くない実験だったから、秘密に片付けたかったみたい。それに私の再生能力がピッタリ。」


イブキ「た、確かにな。」


モモ「インセクト討伐の代わりにある条件を呑んでもらったの。」


イブキ「条件?」


モモ「うん、高校に通う。高校生活を送ってみたかったの。制服を着た女の子と同じように。」


イブキ「高校か・・・・・・・・・・。」


モモ「政府から派遣された、執事さんに面倒を見てもらいながら、高校に通った。友達はあんまり出来なかったけど、ミソラに会えて楽しかったな。それとイブキにもね。」


 モモはハイライトメンソールを吸い終える。


モモ「ねぇ、何で私なのかな?・・・・・・・・・・なんてね。私の話したい事は終わり!ここからは聞きたい事きいちゃおうかな。」


 モモはイブキを見る。


モモ「イブキってどんなタイプが好きなの?」


 イブキの顔が真っ赤になる。


イブキ「な、何だよ、急に!」


モモ「いやー、気になったから。」


 スマホからアラームがなる。


イブキ「インセクト!!!」


 モモは笑う。


モモ「最高のタイミングだね、イブキ。」


 イブキは自分の部屋に行こうとするが、振り返る。


イブキ「モモ。」


モモ「何?」


イブキ「俺は人は生まれや容姿で決まるものだと思っていない。大切なのはどう生きるかだと思う。」


モモ「ありがと。映画の『ギルバート・グレイプ』にでてくる、セリフみたい。」


イブキ「そうなのか?それと・・・・・・・、俺の好きなタイプはインセクトを倒した後だ。」


モモ「へへっ、了解!」


 モモは首にかけていたゴーグルを付ける。





イブキは自分の部屋に戻り、パソコンをいじっていると連絡が入る。


政府の男「インセクト出現の連絡が入ったか?」


イブキ「はい。」


政府の男「それが最後のインセクトだ。ご苦労だった、もう一人踏ん張りだ。」


 イブキは黙り込み、心配した目でパソコンを見つめる。


イブキ「このインセクトを倒し終えたら、モモは・・・・・・、どうなるんですか?」


 政府の男は淡々と話す。


政府の男「ビジネスパートナーに情が湧いたか?モモの事など、どうでもいいだろう。インセクトがいなくなり、平和になる。それで終わりだ。」


 イブキは大声を荒げる。


イブキ「皆を守ったモモの末路が施設送りじゃ、あんまりだろ!!!!」


 政府の男が笑う。


政府の男「イブキ君、青いな。人類の進歩には犠牲が付きものだ。モモを調べることで医療面でとてつもない技術が得られるはずだ。」


 イブキ「俺はそんなの嫌だ!人類の進歩のためにモモを犠牲にするなんて絶対に、絶対に嫌だ!」


 政府の男は呆れる。


政府の男「それが真実だ。そしてリアルだ。現実を見ろ。」


 連絡が途絶える。イブキは決意のこもった目でパソコンを見つめる。


イブキ「間違ったことをしょうがないで片付けたくない。それが現実だとしたら俺が変えてみせる!!!」



 

 可愛いバトルスーツを着たモモは競技場の近くを走っている。


モモ「競技場ってことは、まさか・・・・・・・。」


 イブキから連絡が入る。


イブキ「これが最後のインセクトになる。」


モモ「そうなんだ、ということは!?」


イブキ「そうだ。あの時逃げられたクワガタだ。」


モモ「ふふっ、最後の敵としては最高じゃん。」


 イブキは真剣な声で話しかける。


イブキ「よく聞いてくれ。この戦いは終わったら、モモは・・・・・・。」


 モモは笑う。


モモ「施設おくりでしょ?」


イブキ「ああ、そうだ。」


 モモは競技場に付き、喫煙所でハイライトメンソールを吸い始める。


モモ「まぁ、しょうがないよ。」


イブキ「しょうがなくない。モモ、やってみたいことはないのか?」


モモ「ある・・・・・・・・・・、旅行に行きたい。ヨーロッパとか。」


イブキ「じゃあ、その・・・・・・・・、一緒に行かないか?ヨーロッパじゃないけど、北海道。」


モモ「ホント?」


 イブキが咳払いする。


イブキ「戦いが終わったら、俺の祖母の家に行く。北海道の田舎にあるんだ。そこでほとぼりが冷めるまで隠れる。」


 モモはハイライトメンソールを吸い終える。


モモ「いいよ。でも、一つだけ条件。」


イブキ「な、なんだ?」


モモ「タバコ、吸わせて!」


 イブキは笑う。


イブキ「ああ、分かった。」


 モモは競技場の中に歩いていく。スタンドが照らす中には片目が潰れたクワガタはいる。


モモ「さぁ、クワガタ君、決着を付けよう!!!」


 モモはハンドガンを抜く。



 下に続く












 




 







 




 



      







 


 









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