上
京都アニメーションのシナリオ部門に落選した作品を少し直して、投稿してみました。上、中、下に分けて投稿する予定です。暇つぶしに読んでみて下さい。
※運営様へ:主人公がBen E. King のStand By Meの歌詞を口ずさむシーンがあるのですが、これは大丈夫でしょうか?
夜の公園。辺りには人気が無く、公園の時計は午後3時を指す。バトルドレスを着た流川モモはジッポーライターを取りだして、ハイライトメンソールに火を付ける。
モモは煙を吐き、歌を歌う。
モモ「When the night has come And the land is dark・・・・・・。」
モモはポケット灰皿にタバコを入れて、歩き出す。公園の開けた場所にでて、足を止める。
モモ「今日はこいつか!」
モモの目の前には巨大なバッタがいる。
バッタ「ギィー!!」
バッタが突撃してくるが、モモは躱す。
モモ「眠いよ、早く帰りたい。」
モモはハンドガンを二丁出して、バッタに構える。
モモ「行くよ!!」
モモはバッタに弾を何発も打ち込むが、ビクともしない。
バッタ「ギィー!!」
バッタは片方のハンドガンに噛みつき、噛み砕く。
モモ「まじですか!?」
モモは一旦下がり、スマホを取りだす。
モモ「ちょっと待って、バッタでググります・・・・・・・・・・・。」
モモはバッタの攻撃を避けながら、スマホをいじる。
モモ「なるほど、バッタは顎が強いんだ。バッタの仲間のイナゴが穀物を食い荒らすなんて、被害もあるよね。」
モモは逃げるのを止めて、その場に立ち尽くす。バッタは大きな口を開き、モモを噛み砕こうとする。
モモ「これだけ近距離なら、流石に死ぬよね。」
モモはハンドガンを地面に捨て、上着を一枚脱ぐ。モモの体にはいつくものダイナマイトが巻かれている。
モモ「バイバイ、バッタ君。」
モモとバッタを巻き込んで大爆発が起こる。
制服姿のモモはあくびをしながら、教室に入る。
生徒A「知ってる?昨日、近くの公園で大きな爆発があったんだってよ。」
生徒B「らしいよね。ニュースではガス爆発が何とか言ってたけど。」
モモは席について、窓から外の風景を眺める。外は快晴で鳥が飛んでいる。
モモ「今日も平和だな。」
先生「皆さん、おはようございます。」
先生が一人の青年と一緒に入ってくる。
先生「今日からこのクラスの一員になる、津田イブキ君です。皆、仲良くするように。」
イブキ「転校生の津田イブキです。よろしくお願いします。」
イブキはニコッと笑顔を作り一礼する。クラス内は拍手が起きる。
生徒C「え、結構かっこよくない。」
生徒D「だよねー、イケメン。」
モモはイブキをじっと見つめる。
モモ「イケメン野郎って感じがする。自分がカッコイイのを自覚していて、それを意識的に使って生きているような、嫌な奴だな。」
先生「じゃあ、席は流川の隣で。」
モモはビックリして立ち上がる。
モモ「わ、私の隣ですか!?」
先生「流川の隣が空いているんだから、当然だろう。」
モモ「は、はい。確かに」
イブキはモモの隣に座り、笑顔を見せる。
イブキ「流川さん、よろしく。」
モモは恥ずかしそうな顔をする。
モモ「よ、よろしくお願いします。」
教室では授業が始まり、皆が黒板に注目する。モモはイブキの横顔を見ている。
モモ「何でよりによって私の隣の席なの。もー。」
突然、イブキがモモの顔を見つめる。
イブキ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
モモ「な、何ですか?」
イブキ「流川さんって・・・・・・・・・・・・・、字、汚いね!」
イブキは笑顔を見せる。
モモ「え!?」
イブキ「それに、ペンの持ち方も変。」
イブキは黒板の方を向き直す。モモはキョトンとした顔をする。
放課後、多くの生徒が校門をくぐり下校していく。モモも下校していると女子生徒に囲まれている、イブキを見つめる。
女子生徒A「イブキ君、一緒に帰ろう。」
女子生徒B「ここら辺、案内してあげる!」
イブキ「ありがとう、お言葉に甘えて、お願いしようかな。」
イブキは満面の笑みを振りまいて、女子生徒二人と一緒に歩いていく。
モモ「何よ、あいつ!私にはあんな失礼なことを言って、他の子とはイチャイチャしてさ。もー!!」
モモは後ろから赤石ミソラに肩を叩かれる。
ミソラ「モモ、一緒に帰ろう!」
モモ「ミソラ!」
二人は夕暮れの河原を歩く。
ミソラ「どうよ、イケメンのお隣さんは?」
モモ「性格悪い!それに女好き!!最低野郎!!!!もー。」
ミソラは大笑いする。
ミソラ「ははは。モモは、面白い。皆の前でも素の毒舌モモをだしなよ。皆も気に入るよ。」
モモ「いやー、素の私を出したら、絶対に嫌われるよ。」
ミソラ「そんなことないよ。案外、上手くいくかも。モモの毒舌。」
モモ「人を毒舌キャラにするな。それより、いつものやろうよ。」
モモとミソラはカバンの中から、DVDを取りだす。
モモ、ミソラ「映画の感想を言い合うコーナー!!」
ミソラ「どうだった、オススメの『君に読む物語』?」
モモ「うーん、5点満点中、4点!面白かったけど、全体的に綺麗すぎるかな。」
ミソラ「さすが、毒舌モモ。手厳しいね。」
モモ「私の好きな映画は『タクシードライバー』はどう!」
ミソラ「1点!!意味分からない!!!ロバート・デ・ニーロが暴れただけって感じ。」
モモ「なにその感想、もー!!」
ミソラ「もーって、牛か!!」
二人は大笑いする。
モモ「じゃあね、ミソラ。」
ミソラ「バイバイ、ミソラ。」
モモは自宅に着いて、チャイムを鳴らす。執事はドアを開ける。
執事「お帰りなさいませ、モモ様」
執事「モモ様、学校はどうでしたか?」
モモ「・・・・・・・、イヤな事といいことが一つずつ。」
モモは自分の部屋に真っ先に向かう。
モモ「夕飯になったら、呼んで。」
モモはバタンと部屋のドアを閉める。
モモはスマホにイヤホンを刺して、音楽を聞きながらベランダにでる。
イブキの事を思い出しながら、ハイライトメンソールに火を付ける。
モモ「私はあんな風に笑顔を振りまくのが苦手だな。」
煙を口からはく。
モモ「私は仲良くなれるはずがないと思っているんだろうな。だって、私は・・・・・・。」
モモは歌を口ずさむ。
モモ「And the moon is the only light we see・・・・・・」
モモのスマホがバイブする。
モモ「夕飯の時間か。」
モモは自分の部屋をでて、居間に行く。
モモ「執事さん、今日の夕飯は?」
イブキ「から揚げ。」
モモ「ふーん。・・・・・・・・・・・・・・、って何でアンタがここにいるの!!!!!!」
モモはイブキに指を指す。イブキは食器を並べている。
イブキ「何でって、今日からここが俺の住まいだからだよ。」
モモ「全然、理由になってないんですげど!!!!」
執事が唐揚げを持ってくる。
執事「イブキ様は政府から派遣された方です。詳しくは食事をしながら説明します。」
三人は食卓につく。
モモ「で、執事さん、ちゃんと説明してよ!!」
執事「イブキ様はモモ様をサポートするために来てもらいました。」
モモ「サポート!?」
イブキはお味噌汁をすする。
イブキ「そう、モモのインセクト討伐のサポートをする。モモはおつむが弱いから俺がモモの頭脳になる。後、字汚い。」
モモは席を立ち声をあらげる。
モモ「た、確かに私はバカかもしれないけど、ちゃんとインセクト倒してきたよ。それにどうしてアンタなの?もっといい奴いなかったわけ?後、字汚いの関係ない!!!」
執事がなだめる。
執事「落ち着いて下さい、モモ様。これから強力なインセクトが現れたときにモモ様だけの力では苦戦するという政府の考えです。そして、イブキ様はこの年でハーバード大学を卒業した優秀な方です。」
モモは席に着き、唐揚げを食べる。
モモ「こいつは頭がいいのは分かったけど、何で一緒に住まないといけないの?」
イブキもから揚げを食べる。
イブキ「チームワークを向上させるためだ。これからの戦いはより意志疎通が大切からだ。」
執事は少し笑みを浮かべる。
執事「それだけではないかもしれませんよ。」
モモ・イブキ「?」
突然、モモのスマホからアラームが鳴る。
モモ「インセクトだ!!!」
モモは食卓から離れる。イブキもモモの後を追う。
執事「イブキ様!」
イブキは振り返る。
執事「モモ様をよろしくお願いします。」
イブキは親指を立てる。
イブキ「任せて下さい。」
モモは可愛いバトルドレスに着替えて、自宅をでる。首にかけているゴーグルから連絡が入る。
イブキ「聞こえるか?」
モモ「聞こえる。」
モモは不機嫌そうに首にかけたゴーグルをいじる。
モモ「このダサいゴーグルをかけないといけないの?」
イブキ「そうだ。そのゴーグルをかけることでモモが見ているものがモニターに映り、俺も同じものを見ることができる。」
モモ「ふーん。」
モモはゴーグルをかける。イブキのモニターにモモが見ている景色が映る。
イブキは目の前のキーボードをいじっている。連絡が入る。
モモ「アンタ、どれぐいらい知っているの?」
イブキは画面に虫の画像を出す。
イブキ「こいつらは通称『インセクト』施設から逃げ出した、遺伝子実験で巨大化した昆虫たち。今だ多数がこの周辺に生息していて、性格は凶暴。君はそのインセクトを討伐している。」
モモ「私の事は?」
イブキは虫の画像を消す。
イブキ「インセクトを討伐している少女としか知らない。君の情報はトップシークレットでほとんど見ることは出来なかった。。」
モモ「そっか・・・・・・・・・・・・・・・、着いたよ。」
モモは道路にでる。人気は一切ない。
モモ「これが今日のインセクトか。」
目の前には大きなクワガタがいる。
イブキ「クワガタか!」
クワガタはハサミを動かす。
クワガタ「キュ―!!」
モモは構える。
イブキ「よし、作戦だが・・・・・・・・・・・、」
イブキが連絡を入れた瞬間、モモは腕をクワガタに挟まれる。
イブキ「早い!!」
モモはイブキに連絡を入れる。
モモ「ゆっくりでいいから指示だして、私なら心配ないから。」
モモは痛みで顔を歪めながら、空いている片方の手でハンドガンを構える。
モモ「これからの戦い、けっこうグロイけど覚悟して。」
モモはクワガタに弾を撃つ。クワガタはビクともせず、モモの腕をさらに挟む。
モモ「うぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
モモは痛みを堪えながら、弾を撃つ。
クワガタ「キュ―!!!!」
クワガタはモモの腕を挟み、腕を引きちぎる。
モモ「うぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
血が周りに飛び散り、モモは地面に転がりもだえる。イブキは壮絶な光景に口に手をあてながら見ている。
モモ「痛いよ、バカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
モモはハンドガンを捨てて、ナイフをだして、クワガタの目を刺す。
クワガタ「キューーーーーーーーーーーーーーー!!」
クワガタは後退する。
モモの切れたところから細胞分裂が始まり、腕が生える。モモは痛みを堪えながら笑う。
モモ「得意の捨て身技、成功。」
ゴーグルからイブキが吐いている音が聞こえる。
モモ「はは、そりゃ気持ち悪いよね。嫌ならこの戦いから降りなよ。」
イブキ「俺はモモのサポートに来たんだ!!!逃げる訳ないだろ!!!」
モモは笑いながら、クワガタに突っ込んでいく。
モモ「ふふっ、頼もしいじゃん。じゃあ、お願い。」
背中に背負っていた刀を抜き、クワガタに斬りかかる。
モモ「はぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
クワガタはビクともしない。
モモ「硬いな~」
クワガタがハサミでモモの腰を挟む。
モモ「!!これはヤバい!!!!」
クワガタはハサミで強く挟む。モモは悶え苦しむ。
モモ「うぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
突然、近くにあった競技場の明かりがつく。
クワガタ「キュ!!!!」
クワガタはモモを離して、競技場の明かり目掛けて飛んでいく。
モモ「助かった!?」
ゴーグルから連絡が入る。
イブキ「大丈夫か?近くにあった競技場の明かりを点けた。クワガタは光に集まる性質があるんだ。」
モモはその場に倒れこむ。
モモ「ごめん、追うのはちょっと無理。」
イブキ「ああ、分かった。」
モモはパジャマ姿でタオルで頭を拭きながら、自分の部屋に入っていこうとするが、イブキがパソコンをいじっているのを見て、立ち止まる。
イブキ「どうした?」
モモ「夜這いするなよ。」
イブキ「するか!!!!」
モモはイブキの部屋に入り、壁に寄りかかる。
モモ「ねぇ、私の事・・・・・・・・・・、どうも思わないの?」
イブキはパソコンを黙々といじっている。
イブキ「正直、驚いた。あの再生能力、まさに超人だ。・・・・・・・・・・、でもモモはモモに変わりない。皆の平和を守っているモモだ。」
モモは驚いた表情をしている。
モモ「そ、そう?」
イブキはパソコンをいじるのを止めて、モモの方を振り返る。
イブキ「物事には本質があるんだ。姿、形は関係ない。そのやっていることが正しいかだ。モモは確実に正しい事をしているよ。」
イブキの目に力が入る。
イブキ「後、次から俺がしっかりサポートする。だから、捨て身の戦術はやめろ。痛いんだろ?」
モモ「うん、あれ慣れちゃったけど、痛いんだよね。物凄く。・・・・・、分かった。」
しばらく、沈黙が二人を包む。
モモ「ありがとう。・・・・・・・、お休み、イブキ。」
モモはイブキの部屋から出ていく。
イブキはパソコンをいじり、スカイプで男と話し出す。
イブキ「今日の報告です。クワガタのインセクトが出現しましたが討伐出来ず、逃げられてしまいました。」
男「そうか、逃げられたのは仕方ない。今後もモモと協力して任務にあたってくれ。」
イブキ「一つ質問があります。モモは・・・・・・・・・、一体何者なんですか?」
男「インセクト討伐にモモの素性は関係ないだろう。君の知的好奇心を持ち込むのはよしてくれ。」
イブキ「は、はい。」
男「では、引き続き頼む。」
スカイプの画面が消える。
中に続く