最初で最後の地球観賞会!?
須藤さんの育った海は夕焼けの時間が綺麗だということで、一番最後に見ることになった。地平線が見渡せるので、地球の見納めには丁度良いだろう、と。
「オレはショップかなぁ。ファッションに興味が出てきた頃に、世話になった店長がいるんだ」
なんと、間宮さんの見ためヤンキーな服装はその店長直伝だった。性格とどこか違和感があると思っていたが、そういうことだったのか。
「私はエジプトの朝日かな? ピラミッドが光の反射で虹色になるって聞いたことがあるの。あ、でもオーロラも捨てがたいな。この大きな画面で見たら、本物に近い迫力で見られそうだもの!」
出会った頃の険のある印象が無くなった上原さんが言った。こうしていると普通の女性で、とても辛い事があった様には見えない。
「俺は、……ちょっと恥ずかしいんだが、子供の頃に見たアニメだな。昔は子供向けのテレビ番組が少なかったが、それでも流行りはある。当時の子供は、そのアニメを皆見てたもんだ。……格闘物のアニメなんだが、主人公とライバルの試合の回があったんだ。それが見たいな。いや、そんな物でも見せて貰えるなら」
須藤さんは少し恥ずかしそうに頭を掻いた。昔は格闘物やスポーツ物のアニメが多かったと語る。「再放送で見た事がある!」と騒いだ間宮さんと、「懐かしいですな。私も見たい」と嬉しそうな城田さんの三人でアニメ談義を始めた。
誠也くんは1人で「ゲーム機工場」とか、「お菓子工場」とか、「海底火山」とか、「地底湖」等とブツブツ言っていて、つられた上原さんも「やっぱ、ブランドショップ」、「でも香水を作る工程を……」と呟き出した。
前回の『心の悔いを無くす旅』と違って、時間の許す限りは映像を見ていられるので、それぞれの見たい物を皆でゆったりと鑑賞する事になった。