表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は異世界に召喚された  作者: 達海らおと
第1章〜出来過ぎた一週間〜
6/68

第5話<不思議な夫妻>

俺は一人で今、ある家の前に立っている。


「遅いな。どうしたんだろう。まさか、このまま俺を放置プレイして、野宿させる気じゃないよな」


不安にあおられて、家のドアが再び開くことを願っている。


俺は今、ハルの家の前に立っている。パーティーを結成したあと、俺が別のところからこの世界に来たということと、ゆえに一文無しということをハルに伝えた。ハルは、それを笑いながら聞いていた。


絶対に俺が言ったこと信じてないよな。ま、普通はそうか。こんな中二病みたいなことを信じるやつは、いないよな。


しかし、一文無しというのは信じて貰えたので、ハルが家に泊まれるように、説得してくれるとのことだ。


もし、泊められないって言われたらどうしようかな。考えろ、考えるんだ、俺。クッソ、何にも思い浮かばねーじゃねーか。


俺が一人で腕を組んでいると、ドアが開かれた。


「お待たせー。入って、入ってー」


中から、ハルが少し顔を出しながら言ってきた。


「話はついたのか?」


「うん!もう完璧だね。お父さんも約束だからって、私が冒険者になることを許してくれたし」


あら、何を言ってるのかしら。俺が聞いたのは、泊まれるように話をつけてきたのか、なのだけれども。


「分かったから。で、俺泊まっていいの」


「うん、オッケーだってさ」


あー、良かった。異世界に召喚された初日から野宿とかマジで嫌だったし。


「ありがと。それでは、お邪魔しまーす」


俺は、ハルの家の中に入った。


目の前にには、スリッパが置いてある。ハルは、既にスリッパに履き替えており、俺を待っているという状況である。


へー、玄関があるってことか。ここは、異世界でも日本と似てるなー。


俺は靴を脱ぎ、スリッパを履き終えたところで、目の前の部屋のドアが開いた。


中から出て来たのは、若くて、将来の、ハルって感じがする人だった。その人が、こちらに来て笑顔を見せながら、こちらを見てきた。


「あ、お母さん」


ハルの発言に俺は驚く。


え、この人あなたのお母さんなの。凄く若く見えるんだけど、目の錯覚なのかな。


「紹介するね、こちらはシンジ君です」


ハルによっていきなり、紹介された俺はとりあえずお辞儀をする。


「どうも。シンジです。よろしくお願いします」


言い終えた俺は、体を戻した。


俺の紹介を聞き終えた、ハルママは俺を見ながら、「へぇー、そう。いい感じ」

と小さく呟いて、くるりと後ろを向いた。


「あなたー。ハルがなかなかいい男を連れて来ましたよー。彼、シンジ君って言うらしいの。これは、パーティーメンバーとしての挨拶ではなくて、娘さんを下さいみたいな挨拶だと思うから、早くきてー」


俺は、口を開けたまめ固まった。


なんてことを言い出すのであろうか。ハルママ恐るべし。


「べ、べ、べ、べつにそういうのじゃないからー」


ハルが、顔を赤くしながら必死に否定している。


りんご病なのかな?いや、この世界にそもそもりんご病は存在するのかな?


ハルママは、再びこちらを見て小悪魔めいた顔しながら、微笑んだ。


「だって、いい男だと思ったからよ」


あかん。あかんやつや。このままじゃ、いきなり人妻ルートに進んでしまうところだった。やはり、ハルママ恐るべし。






シャワーを終えた俺は、リビングに行った。


「シャワーありがとうございます」


俺がそう言うと、ハルとハルママとハルパパがこちらを見てきた。ちなみに、ハルパパは、とても優しそうな顔付きである。


「ハル、あなたもシャワーに行ってきなさい」


「はーい」


ハルは立ち上がって、リビングを出て行った。


「シンジ君。まあ、そこに座っておくれ」


「は、はい」


俺は、緊張しながら正座をした。すると、ハルパパがこちらに笑顔を見せてきた。


「気楽にしてよ。緊張しなくていいからね」


ハルパパの言葉のおかげで、少し俺の中の緊張感が緩くなった。


「シンジ君、ハルから全て聞いたよ。君のことや、君が別の世界から来たことも」


「そ、そうですか」


別の世界から来たことは、さすがに信じてもらえないだろうな。


すると、ハルママとパパが顔を見合わせて、笑った。


「いやー、久しぶりよね、別の世界から人が来るなんて」


「そうだよなー。何年振りなんだろうな」


おかしい。その言い方だと、過去に誰かが俺と同じ目にあったような言い方じゃないか。


「あ、あのー。俺が別の世界から来たというのは信じてもらえるのでしょうか?」


「「もちろん」」


二人の声がハモる。


何で、信じてもらえたんだろう。不思議だ。


「シンジ君に、取って置きのことを教えてあげるよ」


ハルママが俺に突然言ってきた。


取って置きのことって何だろ。すげえ気になる。


「シンジ君が元の世界に戻るためにはね、求められていることをしなければ、いけないんだよ」


「え、それってどういう」


求められていることって何なんだ。


「例えばだけど、魔王討伐が求められてことかもしれないと言うことだよ、もしくはハルと結婚して、死ぬまでイチャイチャしながら暮らすっていうことかもしれない」


魔王討伐だと。なんて、難易度が高過ぎるんだ。あと、娘を安売りしちゃあいけないと思いますよ。それにしても、何でこんなに詳しいのだろう。


「何で、こんなに詳しいのですか?」


俺は、単純な質問を夫妻にぶつける。


「何でだろうねー」


ハルママにあっさりとかわされた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ