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俺は異世界に召喚された  作者: 達海らおと
第1章〜出来過ぎた一週間〜
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第2話<しょうもない>

「私さ、パーティーメンバー募集してるわけ。でも、人がちっとも集まらないからさ、手伝って欲しいんだけど。ん、聞いてる?おーい、おーい」


ハルが俺の肩をもち、左右に振り始めた。俺は、ふと我に帰る。


「ん、なんだ?」


「なんにも聞いてなかったんだね。だからさ、私が・・」


ハルが途中まで、何かを言い始めた。が、俺はそんなの構わずに自分が知りたいこと聞くことにした。


「なあ、いつ俺がハルに助けられたんだ?」


「途中で遮らないでよー」


ハルは、自分の話を俺によって途中で遮られたので、頬を膨らませながら、こっちを見てきた。


「はいはい。で、何でなんだ?」


「ムゥ〜。分かったよ。教えてあげるから。始めに言っておくけど、しょうもないからね」


「人助けに、しょうもないは無いだろ。ま、話してくれ」


すると、ハルは俺達が座っている後ろを指差した。俺がそちらを向くと、それはそれは豪華な噴水があった。


「この噴水の前でね、私がパーティーメンバーを募集していたら、急に後ろの噴水から何かが落ちてきたような、音がしたの。それと同時に、大量の水しぶきが私を襲ったの。それで、噴水の中を覗いてみたら、シンジが水中で倒れていて、私が引き上げてあげたってわけだよ」


謎だ。しかし、これで納得出来ることもある。

俺の体や服がビチャビチャに湿っていること。あとは、無いか。うん無いな。


噴水の方に向いていた首を戻し、俺は前を向く。するとそこには、中世のヨーロッパか、なんかそこらへんのを見ているかのような景色が、目の前に広がっていた。


何で、今まで気づかなかったんだろう。

あぁ、そういえば俺は、意識が戻ってから、空とハルと噴水しか見てないからな。正面見てたときは、顔伏せてたし。

すげえ。この一言につきるな。やばい、感動で体の震えが止まらねえ。


俺は、自分の頬をつねりながら立ち上がる。


「痛いってことは、すげえ。すげえよ俺。どこかわけの分からねーとこに飛ばされたってことか。いや、異世界に召喚されたってことなのか」


感動している俺を周りの人達が、冷たい目で見てきているけど、そんなのかんけない。


「ねぇ。ねぇってば!」


下を見たら、ハルがむすっとした顔していた。


「なんだよ。俺は、今とてつもなく感動の余韻に浸ってるとこなんだよ」


「何わけの分からないこと言ってんの。ていうか、私がシンジを助けた話聞いてたの」


「そんなしょうもないことは、どうでもいいって」


ハルは、更にむすっとした顔を強めてきた。そして指で座れという合図をしてくる。


いや、合図というより、命令だよな。俺は、いつからお前の下になったんだろう。


「よいしょと。あー、お前は俺の命の恩人だ、ありがとう。後、命の恩人が話す、しょうもない話に、しょうもないって言って悪かったな」


「私の話は、しょうもないですよーだ」


ハルは、俺から目を離し、正面に体を向き直して、体育座りをしている。


「悪かった。うん、俺が悪かったから。機嫌直してよ」


すると、ハルはすんなりとこちらを向き直して、笑顔を見せてきた。


「うん!分かった。許してあげる」


眩しい。君の瞳と笑顔を眩しいよー。


「それじゃあ、目立たないって約束して」


「俺ってそんなに、目立ってるのか?」


俺の質問にキョトンとした顔を浮かべたハルがこっちに耳を近づけけるように、手招きしてきた。俺が近づけると。耳元で囁いてきた。


「周りの人達を見てみて。ずっとシンジのことを見てるよ」


俺は、その言葉を受けて周りを見てみる。するとそこには、俺を冷たい目で見る人や、哀れみの目で見てきている人達がいた。


はっ、人気者はつらいね。とうとう、俺の時代がやって来たってことなのかな。いや、時代が俺に追いついたのかな。


俺が不適な笑みを浮かべると、若干引いているハルが見えた。


「なぁ、なんでこんなに俺は見られているわけ?」


「それは簡単よ。一つ目に、噴水から引き上げられた。二つ目に、急に立ち上がって何か叫んだ。三つ目に、見慣れない服装をしてるからだよ」


なるほど、一つ目と二つ目は、聞いていなかったことにしよう。


「俺の服装ってそんなに変か?」


俺は、グニャッとなっていた、緩めたまんまのネクタイを真っ直ぐにのばす。


「うん、変だよ。いや、変って言うよりは、見たことない服装だからね」


へぇ〜こっちでは、俺の服装はただただ、変人扱いされるわけか。勉強になります。


「仕方ねーだろ、これが俺の初期装備なんだから」


「何が仕方の無いのか分からないけど、そろそろ私の言いたいこと言っていい?」


ハルは、俺にを見ながら首を横にひねって聴いてきた。


「おう、ドーンと来い」


もう何を言われても平気だ。さぁ、俺に構うな。何でも言うがいいさ。


ハルは、俺の目の前に人差し指を立ててきた。


「ズバリ、今日だけでいいから、私を手伝って」







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