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俺は異世界に召喚された  作者: 達海らおと
第2章〜それぞれの目覚め〜
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第22話<癒された後は>

馬車のない最弱の町を後にした俺達は、只今草原を歩いております。


「暑〜い。あとどれくらいで着くの?」


ハルが胸元をパタパタして風を送っている。


「あのな、出発前にも言ったけど到着は明日の昼過ぎだからな。聞いてた?」


多分聞いてたけど、忘れちゃったー。テヘペローみたいな感じだろうな。


すると、イノリが俺の肩を叩いてきて。


「私も、もうギブです。疲れましたよ〜」


「そうか、でもギブなんかさせないからな」


「え〜。あ、そうだ!ここからプロクリ村まで、ヒョイっと魔法を使ってワープさせて下さいよ〜」


「おい、俺が魔力ゼロなのは知ってるだろ。嫌みか?嫌みだよな」


俺はため息を吐きながら、暑くなってきたので、ネクタイをかなり緩めて第二ボタンまで開ける。


「え、どうしたんですか。まさか、ここで全部脱ぎ捨てて全裸で歩こうって言いたんですか?」


「誰がそんなことするか‼︎」


イノリが若干引き気味で俺を見ている。


俺は、ポケットからハルがギルドから貰ってきた、地図を取り出す。


「うーむ。ここら辺で休憩出来そうなところがないからなー。歩くしかないか」


「歩かなくてもいいじゃん。ここで、休憩しようよー」


ハルがその場に座ろうとするが。


「太陽が出ている間は、何もないところでは休憩しないように、ギルドの人に教えてもらったの君だよね」


ハルは、報告書を出す時に色々とギルドの人からアドバイスをもらってきたのだ。


「えーー、でも周りにモンスターなんていないよ」


確かに周りにはモンスターはおらず、俺達だけだ。


「でも、肉に飢えているモンスター達が、俺達の臭いを嗅いで襲ってくるんだろうが」


捕食されて死ぬなんて嫌だよ。苦しみながら死ぬってわけだからな。


「シンジのケチー」


ハルが、頬を膨らませながらこっちを見てくる。


「はいはい、俺はケチですよー」


すると、イノリが腕を組んで頷きながら。


「確かに、シンジはケチですからね〜。このド・ケ・チ!」


イノリはまだ魔導具店でのことを根に持っているらしい。


俺はイノリに爽やかな顔を向けて。


「ごめんな、イノリ。俺は無駄遣いが許せないんだ。俺に文句があるなら、こんな教育を俺にした、日本にいる俺の親に言ってくれないか?」


「両親が悪いなんて言うなんて。・・最低ですね。あと、日本ってなんですか?」


「さあ、日本ってなんだろな。きっと、平和な国だと思うよ」


あはははははははは、表情を変えるだけで、こんなにも気持ちが爽やかになるだなんて。知らなかったな〜。


「・・・・シンジが、キモい」


ハルがボソッと呟いた。


その瞬間、俺の顔が固まる。


少し、ストレート過ぎませんかねー。グサっと、心に来ましたよ。


「あーもう、歩け歩け!もうすぐ、日が暮れちゃうだろ。歩け!」


俺は、いつも通りのキャラに戻した。



************



空は雲一つ無く、辺りは一面中に星が広がっている。


「きれい・・・・ですね」


イノリが微笑みながら、空を見上げている。


俺達は今、夜になったということもあって、岩にもたれかかっている。


夜なので、モンスター達も眠りにつくらしいので、休憩するなら今しかないということだ。


「べつに二人共、寝てくれてもいいんだぞ」


俺は隣りにいる、ハルとイノリに向かって言う。


「寝込みを襲おうってことですか〜?」


イノリが胸元を手で抑えながら言ってきた。


う〜ん。そう捉えちゃったか〜。


「そんなことしねーから。ほら、女子はよく夜更かしは、美容の敵とか言うだろ」


すると、ハルが首を傾げて。


「そんなこと、初めて聞いたよ」


「へ、へぇー、そうかい。これも異文化ってことなのか」


俺は少しため息を吐く。


こっちに来てから、一週間も経ってるのに、俺はまだこっちの世界に完全に馴染めてないなー。


すると、イノリは俺の顔を覗き込みながら。


「どうしました〜。疲れてるのなら、寝てくれてもいいですよ」


「いや、いいよ。不安だから俺は起きとくよ」


「むぅ〜。少しは頼ってくれていいのに〜」


イノリは頬を膨らませて、上目遣いで見てくる。


久しぶりだな、そのコンボ。


俺は立ち上がり、岩の上に登る。岩と言っても、高さは、一メートルぐらいなので、容易に登れる高さだ。


「ま、お二人さん。星を見ながらでもいいから、ゆっくり休んでくれ」


岩のてっぺんにちょうど一人が座れるぐらいの、平らな部分があったので、俺は、岩のてっぺんに座る。


ここなら周りを見渡せるし、俺が寝てしまっても、岩から落ちればすぐに目が覚めるから、大丈夫だろ。


夜といっても油断大敵で、必ず見張りをつけるものらしい。


ハルとイノリが微笑みながら俺を見上げて。


「「ありがとう」」


そう言って、二人は眠りについた。


夜ということもあってか、二人の微笑みが、ロマンチックで妖精の様に俺の目には写った。


「不意打ちかよ。さ、頑張りますかな〜」


俺は伸びをして、辺りを見渡す。


辺りは静かで、夏の蒸し暑さだけが俺を襲う。


「一応、問題無しか」


俺は空を見上げながら、目を閉じる。



************



「いったー」


俺は気づいたら岩から落ちており、地面に頭をぶつけて、目が覚めた。


やっば、寝ちまってたのか。ま、昨日が魔王軍の幹部と闘ったから仕方ないよな。


俺は欠伸をしながら、あぐらをかいて、ハルとイノリを見る。


「癒されるな〜〜〜」


二人は幸せそうな表情を浮かべており、俺の心が癒されていく。


周りは少し明るくなっていて、もうすぐ夜が明けるといったぐらいだろう。


俺は立ち上がり、再び見張りをしようとしたら。


「「「「「フー、フーー、フー、フーー。フー」」」」」


前方から荒い鼻息みたいなのが、何個が聞こえてくる。


俺は頭を掻きながら、前方をみると。


「あれ、やばい。モンスターが五体。やらかしたやつや」


モンスターが五体、息を荒げながら立っている。

モンスター達は今にも襲いかかりそうで、視線の先はハルとイノリを見据えている。

そしてモンスター達は全員、自分達の下半身にある息子をガッツリとポロリさせながらいじっている。


こいつら、下半身をいじりやがって。もう、ポロリの域を超えてガッツリ出してやがる。


モンスター達は、ハルとイノリに飛び掛ろうとする、態勢を取り始める。


俺は刀を抜き、ハルとイノリの前に立つ。


こいつらが何をしようとしているのかが、俺には分かってしまう。嫌でも、伝わってきちゃった。



こいつらは、ハルとイノリを犯そうとしている。


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