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俺は異世界に召喚された  作者: 達海らおと
第1章〜出来過ぎた一週間〜
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第20話<闘いの後>

目を開けると、そこは見覚えある天井だった。


「ハルの家だな」


俺は上体を起こし、自分の状態を確認する。

服装は、いつもの服ではなく柔らかいローブのような物を着ている。

体を動かすと痛みが走る。多分筋肉痛であろう。そして、俺が腹部を剣で突き抜かれたことを思い出す。


背筋に冷汗が流れる。


俺はローブを腹部が見えるように、緩めて自分の腹部を見る。


「・・・・よかった」


突き抜かれた部分だけ穴が開いているとうような、状態ではなく目立った傷跡さへなかった。


俺の体を治療してくれた人は誰なんだろう。

感謝しなければ!


俺は痛む体に気を遣いながら、ゆっくりと起き上がり、ドアを開けて居間へと向かった。




居間へと行くと、いい焼き音と香ばしい匂いが俺の聴覚と嗅覚を刺激する。


「いい匂いだな〜」


俺が独り言を呟くと。


「あ、起きましたか。おはようさまさまで〜す♪」


何その新しいモーニングコールは、なかなか可愛いじゃねーか。


声のする方を見ると、イノリが寝転びながら新聞を読んでいた。


新聞って、異世界にもあるもんなんだなー。感心感心。


すると、キッチンからハルが顔を覗かせて。


「おっはよー、シンジ!適当に座っといてー。もう直ぐ朝ご飯出来るから。

あと、シンジの服は修復しといたから。ついでに生地は違うけど、全く同じのを新しく作っといてあげたから」


裁縫できて、料理できてあれだな。主婦力高っ!外見と性格から想像出来ない。

いい嫁になるんだろな。

そういえば、ハルママ&パパがいないな。仕事だろうか。


俺は、適当に机の前にあぐらをかきながら座ると、横で寝転んでいたイノリが。


「ありました、ありました、ありましたよ!」


「ん、何があったんだ?」


イノリは勢いよく起き上がり、新聞を机の上に置く。


俺は、新聞の方に目を向けると。


「ここですよ〜」


イノリが大きく何かが一面に書かれている、ところを指さす。


「どれどれ。・・・・・・マジでか‼︎」


俺は、そこを見ると驚きのあまり、体が、固まった。


「人類の希望か⁉︎魔王軍幹部・フェザーを最弱の町で討伐する者が現る‼︎」


太文字でそう書かれており、その横には白黒写真だが、俺がフェザーに右アッパーを顎に決めた写真が掲載されている。


「すげえー。俺、有名人になるんじゃないの⁉︎」


するとイノリが、腕を組んで頷きながら。


「もうすでに有名人だと思いますよ〜。なんてったって、シンジが初めて魔王軍の幹部の一人を倒した人なんですから〜」


「え、俺が初めて魔王軍の幹部を倒したのか!すげぇーー!いや、そうなると、まだ魔王軍の幹部は六人いるってことだよな?」


「そうですね♪」


イノリは、目を輝かせながら俺を見てくる。


いやー、面倒くさい。もうあまり闘いたくないでーす。怖いから仕方ないだろ!


すると、ハルが料理が盛られた皿を運んできて。


「はーい、とりあえずそのことは後でね。朝ご飯にしよう」


わー、家庭的ですごい和むー。

いい嫁になるんだろな。



************



現在ギルドは、とてつもない熱気に包まれ、飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎ。

理由は、魔王軍幹部を倒したからという理由で、この町に王都から莫大な報酬金が支払われたかららしい。


「おらー、シンジ!ありがとよ‼︎」

「シンジさーん。私を嫁として貰ってー!」

「シンジー!感謝してるぜー」


ギルドのそこら中から、シンジコールがわき起こる。


めっちゃ感動するじゃねーか!九割以上、知らない人達なんだけどね。


すると、ギルドの奥で受付のお姉さんと話していた眼鏡をかけた黒髪美人の女の人が、鎧を身にまとった騎士達を連れて、俺の前に立った。


「噂通りの変わった服を身にまとっているな。あなたは、シンジ殿でよろしいかな?」


女の人が俺に尋ねてくる。


「そうですよ。あなたは?」


「申し遅れたな。私は、王都で王の秘書として働かせてもらっている。名はルーシーと言う」


え、王の秘書が俺の目の前に立ってるってことなのか⁉︎なんかあるフラグじゃないのか!


「シンジ殿。そして、ハル殿、イノリ殿。あなた方のお陰で、ようやく幹部を一人倒すことが出来た。その礼として、あなた方のパーティーに、一億ルビーを与える」


「「「「「「「一億⁉︎」」」」」」」


その場にいた、冒険者やギルド関係者は全員を声を揃えて叫んでいた。


「当然のことだ。いや、一億ルビーでは少ないくらいであろう。そして、あなた方には一億ルビーと、これを与える」


俺は一億の入った袋と、丈夫そうな紙を渡された。


「その紙は、王都の中心にある我らの王が住んでいる城に入るための言わば、通行手形と言ったところだ。王や王妃やその娘がお前達に会いたがっていた。来られる時でいいから、来たまえ」


俺は、再び受け取った紙を眺める。

確かにそのようなことが書かれており、何やら紋章のようなハンコが押してある。


「了解しました」


すると、王の秘書ことルーシーが頷き。


「うむ。それでは頼むぞ」


そう言って、騎士達を連れてギルドを出て行った。



************



俺達は今、今日とった宿屋で談笑していた。


「・・・そうしたらですね、ユミが私には明日があるのよーー!って叫んだんですよ〜」


イノリが笑いながら話し、俺とハルは笑いながらその話を、聞いていた。


そして、話が、ひと段落したところで。


「あ、あのさー。今更なんだけど、俺の傷を治してくれたのってお前らか?」


「ん、そうですよ〜。私が助手で、ハルが主に治療をしてましたけど」


「そうだけど。全然気にしなくていいからね」


俺は、二人に向かってお辞儀をして。


「本当にありがとう。お前らが俺の命の恩人だよ」


「気にしないでっていったよねー」


ハルが顔を綻ばせながら言ってくる。


「そうですよ〜。気にすることはありませんよ。そ・れ・よ・り、明日から何しますか〜。お金があるので、無理にクエストに行く必要もありませんしね〜」


ハルが人差し指を口元に当てながら考える。


「そのことならね。前にシンジが行こうって言ってたところに明日から行こうよ」


ハルが笑顔を見せてくる。


俺とハルが初めて会ってから、なんだかんだ言って今日で一週間か。色んなことがあったな〜。


「明日から村に行くので、皆寝るように。」


イノリは、片目を瞑っ敬礼ポーズを取って。


「了解です♪」


それから直ぐに寝ることなく談笑が再び始まり、幸せな時間が流れていった。





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