第1話<出会い、動きだす>
「あぁ、眩しい」
天を見上げて、目を少し開けた状態で呟いた。青空がボヤけて見えている。
さらには体が光に当たりポカポカしていたので、生きているこを感じることが出来た。
「フッ、フハハハハハハハハハハ」
もう笑いを抑え込むことが出来ない。生きていることへの喜びと、とてつもない解放感のせいで、気分は最高潮に達している。
「俺って生きてるーー。マジでさいこーーーう」
さて、謎解きをしないとな。なんで、気がついたら、青空の下にいるんだ。
おかしい。おかし過ぎるぞ。確か俺は、学校から帰って来て、家で・・・
俺が頭を整理するために、自分の記憶を振り返っていたら、ズボンが誰かに引っ張られていることに気がつく。
「ねえ、ねえってば。聞こえてる?」
俺を心配するかのような口調で少女の声が聞こえる。俺が下を見ると、少女がこちらを見上げていた。
「聞こえてる?」
「あ、ああ。聞こえてる、聞こえてる」
「ハァー、良かったー。ま、とりあえず起き上がってここ座って」
俺は指示された通りの場所に座った。
「はあ、何がなんやら、どうなってんのか」
俺の頭の中は、只今元気に混乱中だ。
少女が俺の顔を覗き込むようにして見てきた。
え、変なもんでもついてんのかな。
焦り、顔のあちこちを手で触りこんでいく、俺を見て少女は覗き込むを止めた。
そして、少女は顔を手で隠しながら肩を震わせている。
あ、あれ。俺の顔ってそんなに怖かったのかな?取り敢えず謝っとくのが良いか。
「あ、あのー。その、ご、ごめんな」
少女はキョトンとした顔でこちらを見てきて、すると突然吹き出した。
「プー、ハッハッハッハッハーー。あー面白い。ヒック」
俺の心が抉られていく。こいつは、やり手のメンタルブレイカーだ。
「あ、あのなー、なんで笑ってんだよ」
少女はまだ笑っている。笑い過ぎて目から涙をこぼしている。
「な、なんでって。あんたが意識を取り戻して、こっちが安心してたら急に叫び出すんだもん。もうこっちは、かなり焦ったんだよー」
焦った様に全く見えなかったのは、俺が悪いのからな。なんだろう、なぜだか少し腹立たしい。
「焦ってる様に見えずに、ただバカにされていたように感じたのは、俺のきのせいか?」
「うん、気のせい、気のせい」
俺は、ため息を吐き少女の方を見る。
うーむ、顔は小さくてパーツが整っていて、童顔。髪の毛は薄い桜色で、ショートヘア。前髪は、銀色の髪留めで分けられている。まあ、顔だけで言ったら学年で一番モテるんだろうな。俺の予想じゃ中坊かな。
そして、俺のは視線を落とす。そこには目を引きつけられるものがあった。
うぉー、なんとこいつは良いもん持ってるなー。DかなDは絶対あるだろ、この胸は。
が、その胸は彼女の手によって、覆い隠されてしまった。
「ちょ、どこみてるんだし」
「いーや、どこもみてませんよー」
「う、嘘つけー。絶対、私のむ、むむ、胸みてたでしょ?」
うぉー、なんだその技は。自然な感じで上目遣いで聞いてくるとか、大抵の男子は瞬殺だぞ。俺はならんけど。
「み、見てない見てないってば。そ、それより、お互いまだ名前とか知らねーから自己紹介しようぜ」
すると、彼女はキラキラと、目を輝かせながら、こちらを見てきていた。
「う、うん!そうしよう」
「よし、合意をもらったので」
俺は、改めて彼女と向き合う。
「俺の名前は、えーと、シンジだ。年齢は十八歳だ」
彼女は、ずっと目をキラキラさせながら頷いていた。
「うっし、次はそっちの番だぜ」
「うん!私の名前は、ハルです。自己紹介とかそういうのに、憧れてました。年齢は十七歳です」
へー、ハルって言うのか。まぁ、結構似合ってるよな。あと、俺と歳の差一歳。中坊じゃないの⁉︎
「オーケー、ちなみになんて呼べばいいんだ?俺は、シンジって呼んでくれて全然、大丈夫」
「そうだね。それじゃあさ、ハルって呼んでよ。後さ、気づいていないと思うけどさ、私ってシンジの命の恩人だから」
「へー、そうなんだ。ハルは、俺の命の恩人かー。は?今なんて」
彼女から、思いがけない言葉が飛び出した。俺は、キョトンとしている。
「ん、だから私はシンジの命の恩人ってことだよー。それよりさ、今日の出会いは運命ってことでさ、ちょっとだけ手伝ってくれない?ね、お願いします」
俺は、彼女が後半何を言っているのか聞いていなかった。
ハルが俺の命の恩人?どういう意味なんだ。




