第10話<探し人>
周りは、椅子と机が点々と置いてある。
ここは、小さな居酒屋である。
俺とハルは、椅子に座り、机の上に並べられている、ハルの金で注文した【ファンゴの軟骨唐揚げ。モリモリサラダ】を食べている。
ファンゴの軟骨唐揚げは外見が悪いが、とても美味である。モリモリサラダは、ワッショーイって感じで野菜が盛られている。
「ほれ、兄ちゃんら【コーラドライ】二つだぜ」
コーラドライは、コーラが酒になった飲み物であるらしい。
「あんがと、ゲンさん」
俺は、この店の大将であるゲンさんから、コーラドライを受け取る。
ゲンさんは、この居酒屋の大将であり、一人で経営している。
ハルがゲンさんと知り合いなので、この店で食事をとることにして、さっき初めて会ったばっかりだが、俺とゲンさんは意気投合して今では仲が良い。
「たーんと食えよ」
ゲンさんは、カウンターに戻って椅子に座り、本を読み始めた。
「いやー、シンジとゲンさんがこんなにすぐ、意気投合するとはおもってなかったよ〜」
ハルは、頬杖をつきながら、コーラドライを、飲んでいる。
「まぁ、話ていて面白いからな」
俺は、コーラドライを飲む。
すげぇ、コーラが酒になったら、こんなに美味いのか。食が進むぜ。
俺は、料理を口に運んでいく。
「いい、食べっぷりね〜」
「明日のためにちからをつけないとな」
そう、プニリンを討伐するクエストを今日は中断して、明日にまわすことにした。ちなみに、プニリンはまだ一体も討伐出来ておりません。
「早く、こいつの力も見たいな」
俺は、腰につけている刀を触る。
「私もその変な刀?で戦うシーンを早く見たいな〜」
「おい、変なは余計だろ。これは刀だ。そう、ジャパニーズソウルだな!」
「ときどき、シンジって何言ってるのか分からないよね〜」
そうですか、はい、そうですか。僕は、変な子ですよ。
すると突然、勢いよく店の扉が開かれる音がした。
俺とハルは、音のした方に目を向ける。
そこには、息を荒くし、立っている女の子がいた。
茶髪のロングヘアで、顔が小さく男子達を虜にするような顔つきをしている。瞳は綺麗な茶色。
服装はフリフリだ。
胸は、大きいなー。まぁ、ハルには少し負けるかな。いい体つきだ。絶対年下だ。
俺は、視線を下に落とす。生身の足が大胆に露出されていた。
スカート短!短過ぎだろ。足見せすぎ。あかんやつや。絶対こいつと関わらない方がいいやつや。ビッチなやつや。ビッチパターンや。ビチ子だ。
ビチ子は、辺りを見回す。誰かを探しているのであろう。
俺は不思議に思い、ビチ子を見ていたら、目が会った。いや、会ってしまった。
ビチ子は、顔をニヤニヤさせながら、歩き始めた。
急にどうしたんだよ。なんでニヤニヤしてるんだ。怖!ビチ子、怖い!
あれ、なぜだろう。さっきからビチ子と目が会ったままなのだが。
気づけば、ビチ子はもう目の前にいた。
どうしよう、俺にはビッチ耐性が備わってないんだが。
俺がビクビクしていたら、ビチ子が不適な笑い声をあげながら、俺の肩に手を置いてきた。
「へ?」
拍子抜けた声が、出てしまった。
どうしよう。何も出来ない。あーあー。もっと、日本でビッチ耐性を付けとくべきだった。
しだいに、ビチ子が俺の顔に顔を近づけてくる。
これはあれかな、目を閉じた方が良いやつかな。うん、ビッチに遊ばれる人生も悪くなさそうな気がしてきたぞ。
俺が目を閉じようとしたとき。
「やっと、見つけた」
ビチ子は、顔を微笑ませながら、呟いた。
「え、はい?」
俺は、拍子抜けた返事を返す。
「これから、よろしくお願いします」
そう言ってビチ子いや、少女は体の力が抜け、俺の膝の上で眠りについた。
どうしよう。異常事態だろ、これ。
俺は、ゲンさんの方を見る。
「そのまま、寝かしてやれ。店のことは気にするな」
ゲンさんは、そう言って微笑み、また読書に戻った。
俺はため息をつき、膝の上で眠っている少女頭を撫でていると、横からハルがむすっとした顔で俺を見ていたので、俺は撫でるのをやめて、天井を見上げることにした。
明日から忙しくなりそうだ。




