終わりに
最期までお読みいただきありがとうございました。
これにて「魔法の世界で、砲が轟く」は完結いたします。
この作品は私の処女作品ということもあり読みづらい文章であり、かなりつまらない文章であったと思います。そんな作品を最期までお読みくださった皆様に感謝いたします。
おそらくは読者の方の中には終わらせ方に納得のいかない方もいらっしゃるでしょう。そこで簡単に総評も含めてこの作品について書いていきたいと思います。
この作品は当初は半年ほどで終わらせる予定でした。しかし、予想に反し進みづらかったことから半年も期間が延びるという事態になったわけであります。
元々、この作品のモットーは「英雄は悲惨なモノだ」です。
そもそも、英雄が生まれてくるのはどのタイミングでしょうか?
色々な答えがあるかとは思いますが、僕の中での答えは「乱世」だと思います。
かの三国志の大英雄の曹孟徳は「乱世は英雄を産む」と劉備との話し合いで話しています。またイギリスの偉大な劇作家であるシェークスピアは英雄と似た意味の偉人を次のように表現しています。
「偉人には三種類ある。生まれたときから偉大な人、努力して偉人になった人、偉大な人間になる事を強いられた人」
この言葉の中で、今回真一達が入るのは恐らく最期の「偉大な人間になる事を強いられた人」に当たるでしょう。
このように偉人というのは何かしら人々にとっては不幸な出来事が起きているときにきら星のように現れ消えていく。それが英雄というものではないでしょうか。
それ故、時の権力者などからはその民衆への影響力を恐れられ殺されることも決して少なくはありません。
ですから本来、英雄というのは生まれない方が人々にとっても本人にとっても幸せな事なのです。
それ故、私は「英雄とは悲惨なモノ」と思っています。
その悲惨な例として一番読者の方々が想像しやすいのはエルヴィン・ロンメルでしょう。
彼はナチスドイツ軍の軍人ではありましたが、騎士道精神を忘れない高潔な性格であり味方の兵士のみならず敵である英国の兵士達にも評価されています。さらに言えば、劣勢なドイツアフリカ軍団を指揮し、数の多いイギリス軍を散々に打ち破るなどをして英雄と呼ぶにふさわしい人物です。
しかし、彼はその人気の高さやヒトラーからの命令に対して、場合によって(捕虜の抹殺などを命じられたとき)は反発し、無視をするような人物でありました。こうした行為の結果、ヒトラーから自決を命じられます。一説によれば、その人気の高さから脅威と感じるようになったのでは、と言われています。
英雄は素晴らしい人物ではありますが決して幸福ではあるとは限りません。
そういったリアルな英雄を描きたいと思い、この作品ができあがりました。
本作の主人公であった真一達は召喚された当初こそそれほど注目されてされてはいませんでしたが、後のジーマン軍に編入されてからは英雄として国民的な人気を得ます。
しかし、その間にもコットン国王にその力を恐れられ彼によって放たれた刺客によって常に狙われます。また英雄というのが危険な死に方をする可能性があることをよく知る司馬懿は、これを避けようと奮走します。この奮走も徒労に終わり、結局は刺客のハットラー暗殺を言う奇策に全てが覆され真一達は大変なことになるわけです。
終わり方を見るに今回の物語は策士策におぼれるの言葉も当てはまるかもしれません。
そんな色々考えながらどうにか終わらせた作品でしたが、「英雄とは悲惨なモノ」という雰囲気が少しでも伝われば幸いです。
もちろん、これは私の一個人の意見であり、これが答えであるわけではありませんのでご了承ください。
さて、本作を終えてみての自分自身で思ったことは色々詰め込もうとした結果、どっちつかずの内容になってしまったなということでした。
これは様々な点で言えるのですが、面白い文を書こうとして結局、余り笑えない文になってしまったり、主人公を四人にしたのに実質的な主人公は一人だったりと設定としては甘すぎた内容になってしまいました。
その点を皆さんにお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。
これらの反省点を生かし、今後の作品に生かしていきたいと思います。
それではまたの機会にお会いしましょう。




