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第五十五話 作戦始動

投稿が大分遅くなり、申し訳ありません!

 司馬懿は魔国との全面戦争が控えるこの忙しい時期に新庄と面会を行っていた。


 それは長い間、コットン国で潜入を行い、李典隊全滅の理由を捜査し続けた新庄の報告を聞くためだった。

 今までは二人の予定がなかなか合わず、面会できなかったのだが、ついにこの日予定が合い面会が出来たのであった。





「……以上が捜査報告になります」


 新庄が全てのことを報告し終えると司馬懿は一つ小さなため息をついた。


「やはりこの部隊が関与していましたか……」


 それは現場付近で見つかった耳飾りであった。


 剣に絡みつく蛇が施された豪華なイヤリングだ。


「やはりとは、思い当たる節があるのですか?」


「ええ。元々、注視していた者の物なのですが……」


 そう言って机の鍵の着いた引き出しの中からある書類を取り出し、新庄に見せた。


「これは……」


「ジーマン軍による交戦記録です。前回の戦闘の戦闘記録をまとめ、詳細に示した物で一枚目のページにそれぞれの指揮官の名が書かれています。その中の一番上を見てください」


 新庄がそこに目を移すとそこには指揮官の名がニックともう一人書かれていた。


「フィーリアですか……」


「ええ。元々はコットン軍の最強部隊の指揮官で、任意の場所へ瞬間移動できる能力を持つ人物です。コットン国と魔国との戦争時に魔王軍に敗北し、行方不明になっていたようですが、魔王軍に取り込まれたようですね。ちなみに彼女はコットン王家の長女です」


「ほう。かなりの能力を持っているようですね。注視していたとはまた何故ですか?死んだと判断するのが一般的ですが……」


「元々、魔王軍に下ったという噂自体はありましたし、その能力の高さから噂が本当だとすると厄介な敵になると注目はしていました。星の動きも彼女は生きていると指しておりましたし。しかし、本当にいるのが確認されたのは前回の戦闘です。なお、その確認したのは譲殿ですよ。彼が死の直前に彼女の部隊を確認したのを彼が乗車していた戦車の運転手が証言しておりました」


「まさか、奴が……」


「おそらくは、あの部隊が関与していることは間違いないでしょう。そこで、今後の任務を与えます」


「はっ! 何なりと」


「このフィーリア隊に関する情報に関しては何でも構いません。どんな些細な情報でも収集して報告しなさい」


「はっ!」


 この指示は今後のバルバロッサ作戦を完遂する上での絶対必須な情報であった。

 何せ突然後方に現れて致命的な攻撃を与える可能性のある部隊だ。情報を集める必要があるのは必須事項であった。






 ベラリンの一角にある家屋で二人の男が会って話をしていた。


「なあ、これをやれば、本当に娘を解放してくれるんだろうな?」


「ああ。約束を守れば、お前の娘を解放してやる。ただ、もしバラしたり、失敗したりしたら……」


「分かった、だから頼む! 娘だけは!」


「だから、しっかりやるんだな」


 そう言って暗闇に男が消えた。


「申し訳ありません。総統閣下」


 男の悲痛な叫びが虚空に響いた。





 それから一週間後。

 ついにジーマン軍は魔国に対しての攻勢準備を整え、進撃を開始した。


 ジーマン軍は第四、五師団に国境付近の森を突破させ、まず、その近くにあった砦を落とすべく攻勢を開始。そこに救援に行こうとした魔王軍を別働隊として動いていた第一独立師団が奇襲を行い撃破し、砦と救援に来ていた兵士を合わせて数万の捕虜の獲得に成功し、初戦に大勝利を誇った。





 司馬懿の部屋にはジーマン軍士官が戦況報告に来ていた。


「司馬懿殿、大勝利おめでとうございます!」


 ジーマン軍士官が司馬懿に最後にそう述べて部屋から出て行く。


「心配だ。今の戦況は有利に進んでいる。しかし、これからの戦闘は間違いなく厳しい物になる。魔王軍は数は多く、優秀な人間も多い。しかし、今の段階ではそうした人物達を倒したという情報は届いていない。これを主達は認識しておられると良いのだが……」


 前線で指揮を執っているであろう真一達の姿を思い浮かべながら、司馬懿は独り言を呟き、空を見上げた。


 今は夜できれいな星空が広がっている。


「最近、凶星の輝きが増している。何も無ければ良いが、念のため主たちには警告電を送っておこう」


 司馬懿は無電を送るべく、陸軍省の地下にある電信室に向かった。

戦闘に関しては次回以降で詳しく描きます。

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