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第十三話 軍師の怒り

それは偶然に偶然が重なったために起きた運の出来事であった。

 当初は機械国ジーマンに行き、そこで連絡をする予定であったが真一達のFu2は有効通信距離が16kmしかない。真一達がいる地点からジーマンの首都までは100kmはある。ゆえにとうてい通信ができないため、引き返すことにした。

そのさい偶然何か多くの兵士が移動するのが見え確認すると魔王軍であったということだ。真一達の情報の杜撰さと認識の甘さが生み出した幸運であった。



「で、どうするんだい?」


 司馬懿が真一に声を掛ける。


「敵の兵力やここまでの到達時間など情報が足りない。それを待つべきだ」


「なら、敵の攻撃の仕方などは?」


「そんなの知らん。説明などを受け…」


「そんなの知らんとは何だ、知らんとは!」


 司馬懿が大声をあげた。尋常ではない怒り方をしている。


「真一達、貴様達の肩には1万の兵の命が掛かっているのだぞ!それを知らんとは何だ!知らんで1万の将兵の命を危険にさらす気か?もっと指揮官としての自覚を持たんか、貴様ら!しかも今回の装備品の選び間違いは結果としてよい方向に転んだが、もしかしたら全軍を危機的状態に陥れたことかもしれないことだぞ!」


 それは軍師として祖国の勝利のため、やむを得ず多くの将兵を殺してきた身だからこそ言う言葉であった。

 真一達は改めて自分たちの犯した罪の重さを認識した。

 その時、城内がにわかに騒がしくなった。


「王国側も気づいたらしいな。となるといよいよ出撃かもしれん」


 そう司馬懿がつぶやいた。

 すると突然ドアが開き、兵が転がり込んできた。


「非常呼集、非常呼集!勇者諸君は直ちに王の間に参られたし。勇者諸君は直ちに王の間に参られたし!」


「そうら来なすった。行きますぞ、主達よ」


 司馬懿はそう言い、真一達を見た。

 そこにはいつ着替えたのであろうか、既に某軍師の格好をした真一達が待っていた。


「何だ、その格好は?その服装は私のような知恵があるものにこそふさわしいもの。主達のように情報を粗末にする者の格好ではない。私に渡しなさい」


「ほうつまり俺たちの汗が染みこんだこの服を着たいと。そこまで言うなら仕方ない。この服を渡しましょう。全く、モテる男はつら…」


「その服をもう一着召喚してくださる?」


「良いですよ、お嬢様」


 守がもう一着用意して、司馬懿 守 幸一 譲の四人が部屋は部屋を出た。



(これから始まる戦は今まで以上に大変なものとなる、なんとしても勝たねば)


 司馬懿は改めて決意を固め、恐怖や怒りと言った感情を外へ追いやった、












「みんな、俺を忘れるなんてひどい」

 呟く真一の存在と共に。


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