なかなかつかめない女心
少し更新が遅くなりました。今回は自分なりに少し秀をかっこよくしたつもりです!あ、それでも、歌音もかっこよくしました!読んでくれるとありがたいです!
今日はやたらと詩織に先生が指名をする。その名前を呼ばれる度に歌音と美色がこっちを睨んでくる。
(俺、なんにも悪くないのに…)
と思いながらも2人の視線を無視しつつ、詩織の心配をしていた。
「はい、立川さんここ読んでくれますか?」
「はい。えっと…2人はそのまま噴水広場まで歩いていきました。だんだんと日が暮れてきてあたりが真っ暗になりだしたとき、季節はずれの噴水にイルミネーションがはじまった…?えっ?」
詩織は途中で読むのをやめてしまった。秀はその続きを読んでみると
「そのあと、噴水の前に愛梨が立ち、告白された?だと!?マジかよ!」
これは当然読めないはずだ、なんせ昨日あった出来事を書いてるようなものだから。
詩織の方を見るとパニクって顔が真っ赤な状態だった。
「立川さん?大丈夫ですか?顔赤いですよ。保健室に行きますか?」
「い、いえだいじょう…」
「はい!先生!立川さんは朝から調子が悪いと言ってました。1人で保健室に行かせるのは心配なので、自分が連れていきます!」
クラスみんなの視線を受けながらそういった。
「立川さん、ズルイ!」
「私も保健室行く!」
「私も行く!」
教室のあっちこっちから声が飛び交ったが、無視して詩織の手を引っ張った。
「行こう、詩織…」
「えっ!?う、うん…」
詩織は秀に「詩織」と言われるだけで頭が回って何も考えることが出来なくなっていた。詩織は秀に連れられるままに秀の後ろ姿さえ見ることが出来なかった。
保健室には誰もいなく、専任の先生もいなかった。2人はしばらく黙り込んだまま話すタイミングを失っていたが、詩織と秀が同時に話だそうとする。
「えっと…その…詩織…?」
「えっと…秀君…」
『あっ…』
同じタイミングで話しかけてしまい、また話しかけづらくなってしまったが、勇気を出して秀は1歩踏み出した。
「詩織、大丈夫?でも、教科書のあれじゃあね、無理もあるよ。俺もびっくりした、あはは。」
「ありがとう、あの文読んでたら昨日のことを鮮明に思い出しちゃって…あのとき言った一言一言が恥ずかしくなって…もう目の前が見えなくなってた。でも、ずっと秀君のことが好きで毎日、どこかで会えないかなって思ったりしてる自分がいて、もう秀君のことが頭から離れないんだ。って何言ってるんだろ私…こんなこと聞いても何も面白くないよね…ごめんね、それと今日の朝はあの2人の前で余計なことまで言ってごめんね、でも、本当に秀君のことが大好きなんだよ…」
最後の方はもう詩織は泣きながら言っていた。秀はこんな場面に今までなったことがないのでどうしようか悩んでいた。
「あれ?なんで泣いてるんだろ…涙が止まらないや…なんでだろ?あはは…」
秀はこれは漫画やアニメと同じようなシチュエーションじゃないか?と思いとっさに思いのよらない行動に出た。
「ありがとう…詩織。詩織の気持ちは俺にちゃんと伝わってるから。だからもう泣くな。何かあった時は俺が必ず助けてやる。それと恥ずかしいけどちゃんと詩織って呼ぶから…」
と詩織を抱きしめて言っていた。
(何やってんだ!俺…まぁ、詩織のためだししょうがないか…でも恥ずかしいなぁ…)
抱きしめてからそんな後悔をする秀だったが、もう手遅れだと自分の中で十分感じていた。そんななか詩織は秀の胸の中で泣きながら、秀への思いを爆発させる。
「ありがとう秀君…私秀君を好きになってよかった!だって、今こうやって私を思ってくれてる。誰にでも優しい秀君も好きだけど、こうやって誰か1人だけに優しくしてくれる秀君が大好き!だから、あの2人なんかには負けないんだから!私が秀君の横に立つんだから!だからこれから私頑張るね!秀君の横にふさわしくなるように!」
「う、うん…」
秀は曖昧な返事しかできなかった。もうこんな恋愛絡みなことはできるだけ避けたいと思っていたが、歌音といい、美色といい、そして詩織が、こんなに自分のことを思ってくれているなんて秀自身思ってないので、今更もうそんなことしたくないんだなど言えなかった。ふと近くにある時計を見ると授業終了まであと15分を切っていた。
「もう戻らないとな。詩織は次の時間から教室に戻れよ。今一緒に戻ると大変なことになるから。」
「うん、ありがとね秀君!」
そう言って保健室をあとにして教室に戻っていった。
-教室に戻るとクラスのみんなは秀と詩織のことで騒いでいた。
「先生、戻りました。」
そういった瞬間2人の痛い視線が刺さる。
「立川さん大丈夫でしたか?相当体調悪かったのに無理させちゃったわ。」
「少し横になったら元気になるって言ってたので大丈夫だと思いますよ。」
「ならよかったわ。ありがとうね、青山君。」
そう言って席に座った途端
「おい、青山、今まで保健室で立川とやらしいことしてたんだろ!白状しろ!青山!何してたんだ!」
「何もしてねぇって!」
「怪しいな、ちゃんと話した方が身のためだぜ?なぁ?モテ男さん?」
「本当に何もしてねぇって!体調悪そうだったから少し看病してだんだよ!」
「まぁ、次の時間立川戻ってくるだろ?本人に聞いた方が早いな。」
「お前いい加減にしろよ!何もしてねぇって言ってるんだから何もしてねぇよ!」
「お、かばったぞ?やっぱり昨日のデートの噂は本当だったのか?まさか、もう付き合ってるとか?」
「なんでこういうガキみてぇな発想しかできないのかね、恋愛に皆無だからって俺をひがむなよ。」
「お前、今の言葉頭にきた。1発殴っていいか?あぁ!?」
「ちょっとやめなさい2人とも!こんなところで問題起こしたら…!」
秀は後ろの席の男子に胸ぐらをつかまれて今にも殴られそうな勢いだった。
「殴れるもんなら殴ってみろよ!」
「おう!手加減せず1発ぶちかましてやるっ!!」
もう殴られる瞬間だった。
「ちょっと待ちなさい。」
と、聞き覚えのある女子生徒の声が聞こえた。
「それ以上やってみなさい。私が返り討ちにしてやるわ。今すぐ青山君を離しなさい。そして、青山君は嘘をつく人じゃないわ、この私が証明するわ!」
「ちくしょうっ!四方八方から女に守られやがって!覚えてろよ!」
と言って秀を投げ飛ばした。なんと、止めてくれた女子生徒は歌音だった。
「ありがとう、櫻木さん。助かったよ。」
「いえいえ、どういたしまして。でも、助けたんだから、1つお願い事してもいいかしら?」
と、ウインクまでしながらこういった。
「私も下の名前で呼んでくださいな。歌音って。どうかしら?」
「ううっ…分かったよ!歌音って呼べはいいんだろ!」
「はい、よろしい。」
満足そうな笑顔を浮かべて秀に微笑んだ。
"キーンコーンカーンコーン"
そんなことしていたら授業が終わっていた。
「はい、授業終わります。このあと青山君と田中くんは職員室に来るように!」
と言って先生が去っていった瞬間だった。
「青山君、大丈夫?」
「どこか怪我してない?」
「マジ最低、田中!」
と、周りの女子にものすごく心配されていた。
「大丈夫だよ!ほら、俺職員室行かないといけないから。後でね!」
そう言って女子達を振り払って職員室に向かった。
職員室に行くと散々先生に怒られた。下手したら退学レベルだったかもしれない。周りの先生が気づかなかったから大きな問題にならなかったので良かったと胸をなでおろす秀だった。
教室に戻ると詩織が涙目で教室にいた。
「秀君、私のために体を張ってくれたんだね…ありがとう!」
と、秀に抱きついて言っていた。
「キャー!」
「早く離れて!立川さん!」
周りの女子は悲鳴を上げている。ふと思ったのが、美色の存在が薄いということだ。どうしたのか美色のいる方へ目を向けると、美色は上の空で目が死んでいた。
「立川さん、お礼はまた後で聞くからちょっと離れて。」
秀は、少し美色に悪いことしたと思い、声をかけに行った。
「おーい、秋川さ〜ん!大丈夫ですか〜?」
「う〜ん、大丈夫じゃないかも…?う、うん?えっ!?あ、青山!?なんでここに?」
「いや、目が死んでたから大丈夫かなって。大丈夫そうならいいけど。」
「うちは大丈夫だから。あの立川さんとかいう人とイチャついてなさい。」
「おいおい、俺まだ詩織と付き合ってないって。誤解だよ誤解。」
「まぁ、うちにこんなことしたんだから、それ相応の報いがあってもいいわよね?」
「何するつもりだよ…」
「うちも下の名前で呼んでくれない?」
「女子は下の名前の方が好きなのか?名字の方が呼びやすいのに。」
「そっちの方がいいの!いい?分かったわね?下の名前で呼ぶのよ?いい?」
「はいはい、了解しましたよ。」
なぜそんなに下の名前で読んで欲しいのか疑問だが、そんなことでいいのなら安いもんだと思った秀だった。そんなどうでもいいことを考えていたら、後ろから鈴也が、
「秀が何しようが一向に構わないが、問題だけは起こすなよ。笑い事じゃなくなるから。後、助っ人頼むぞ。お前がいないと何も出来ないんだから。」
「あぁ、俺もいよいよ本気を出す時が来たな。放課後楽しみにしておいてくれ!」
「おう!」
これから本格的にはじまる練習を楽しみにする一方、何か変な感触がある秀だった。
次はいよいよ、秀が試合に向けてひたすら練習する話になります。秀の言ってる変な感触とは?次もよろしくお願いします!