街に到着
男たちを追いかけてしばらくすると、森が途切れてきた。
もうすぐとのことで、リンちゃんとはここでお別れをし、再び後をついていくことにした。
ばれないように、かなーり遠くから彼らの様子を伺いながらひたすら森を歩く。
そういえば、リンちゃんって私の質問にいっぱい答えてくれたけど、私のこと怪しいとか思わなかったのかなぁ。
リンちゃんと歩いた道中のこと、よくよく考えてみれば、この世界の住人が知ってそうなことをポンポン質問してたけど、彼は普通に説明してくれた。
私のことを世間知らずの子と思ったのかもしれない。
あれこれ聞かれるよりは都合が良いけど。
どうせなら、リンちゃんみたいな子を旅のお供にする力を授けてほしかったよ。
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昼過ぎ、前を進んでいた奴隷商人達がようやく足を止めた。
目前には2メートルくらいの石造りの外壁と木で出来た入り口らしき門。
門の前には2人の門番らしき兵隊が立っている。
奴隷商人達は兵隊に近付き何事かを話していた。
街に入るには何か条件がいるのかな。
暫く話をしたかと思えば、奴隷商人達は門を通された。
とにかく行ってみよう、案外簡単に通してくれるも。
奴隷商人達が消えて数分後、あえて堂々と道の真ん中を歩いて門番達に近付いた。
門番達はかんなに気づくと話しかけてきた。
『何の御用ですか?』
「街に入りたいんですが…」
『通行許可証はお持ちでしょうか。』
「持っていません」
『ではギルドカードは。』
「いえ、持ってないです…」
門番達は顔を見合わせると困った顔をしてかんなを見下ろした。
『お嬢ちゃん、すまないが通行許可証か、身分を証明できるものがないと、この先には通せないんだ。』
「(お嬢ちゃん!)あ、そうなんですか…どうしよう」
『もしかして誰かとはぐれたのかい?』
「そ、そうです!えと、知り合いとはぐれちゃいまして、とりあえず街に行けば知り合いと会えるかなって思いまして…」
『もしかして、知り合いっていうのは魔術師ジャンのことかい?』
魔術師ジャン?誰だろ…とりあえず知ったかぶりでここは通ったほうがいいのかな…
「そ、そうです」
『やはりそうか、そのローブといい魔術師らしい格好だったからな。
ついさっきジャンが通って行ったんだ。
君は弟子か何かだろう?』
「はい、そうです!」
『なら、この街に来たのはギルド登録に来たんだな、これで合点がいったよ。
君みたいな小さい子がこんな所に一人で珍しかったんでね。
ジャンならきっとギルド集会所だ、探しておいで。』
「あ、ありがとうございます!!!!」
色々と疑問はあるが、何とか街に入ることが出来た。
ジャンとはもしかして、さっきの奴隷商人達の仲間なんだろうか。
リンちゃんが言っていた森を燃やした魔術師かもしれない。
とりあえず、魔術師ジャンには注意と覚えておこう。
そしてサルちゃんはこの為にローブをくれたんだな、魔術師になることを見越して。
ということはサルちゃんが授けてくれた能力は、精霊を操れる能力ってことで決定だね。
まだ一回した使ったことはないけど、きっと街に入れば色々とわかるはず!
ひとまず魔術師見習いってことにしといて、街の人から情報を聞き出そう!
門を通ると以外や以外、街は活気で溢れていた。
入るまで気づかなかったが、思っていたよりたくさんの人で賑わっている。
野菜やお肉やお洋服まで、多種多様の店が広がっていた。
すぐ近くにあったお肉屋さんのご主人に、話を聞いてみることにした。
「あの、すいません」
『いらっしゃい、お嬢ちゃん!どうしたんだい?』
「道に迷ってしまって、ギルドの集会所まで行きたいんですけど…」
『集会所なら、この先をずっと行ったら大広間があるから、そこまで行ったらすぐ見つかると思うよ!一人は危ないから気をつけなよ』
「ありがとうございます!」
その後も集会所まで、道行く先々で気になったお店を覗いていく。
どこの店主もみんな笑顔でかんなを受け入れてくれた。
怖い印象しかなかったが、同じ人間に対してはそうでもないらしい。
特にかんなが着ているローブを見ると、魔術師なのかと質問してくる。
見習いですと答えると、頑張りなさいと応援してくれたり、商品をタダでくれたりみんな一様に優しくしてくれた。
これが魔術師特権なんだ…
…もしかしたら、謎に子供扱いされているおかげかもしれないが。
お腹が空いていたのでパン屋の女主人から頂いた甘いパンを頬張りながら、かんなは集会所まで歩みを進めた。