第032話 孤独 * エーベルハルト〈ケイ〉
ケイからギュスターブへ。
私が来たからといって、目を開けることはないのだろう。
あの日みたいに、外は眩いほどに晴れているぞ。
こんな枯れ木みたいに細くなってしまって。
そんなお前を見たくはなかったが、恐らく会えるのは最期だろうと思ってきたのだ。
お前は、多分憤慨するだろうな。
馬鹿にしに来たのか、と。
違うのだ。
私は、お前に報告せねばならない。
火が、消えたのだ。
お前はあの時言ったな。
馬鹿馬鹿しい因習を嫌い、お前にくれてやるのだと。
大切にしろと。
私は、お前に、何て言ったらいいんだ。
あれから、会うこともなかった。
私はずっと待っていたのに。
死に際のお前にしか聞いてもらうことが出来んなど、私も情けないとは思っている。
だが、このつらさは、お前にしかわからんと思ってな。
私を叱ってくれ。
やっぱりお前は駄目だったと、叱ってくれ。
こんなになっても、私とお前は親友だ。
お前にしか言えないこともたくさんあるのに、
何故、お前たちはいってしまうのか。
ギュスターブよ。
目を開けてくれないか。
私の話を訊いてくれないか。
私を、一人にしないでくれ。
次回のお話は、『第033話 少年の軌跡』。
『第028話 オジサンの旅』の続きにあたります。
レヴィストロースとリーたちがレイモンド村に向かうが…という話です。
ちなみに次回で『第04章 変革の足音編』は終了となります。




