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若奥様は本業中

アルス、一緒に絶対帰ろうね。

美味しいキノコ料理作るからね。


「ついに本体が出現ってわけね。」

私は竹箒を構えた。


黒猫とアルスはなんとかすぐはらったからなんとかなったけど幼女とリスさんがすばやくてはらえないんだよね。


あの美女は……ガッツリ専門家に見せないとやばいレベルなんだよね……


「来ます! 」

アルスが叫んだ。


青白い瘴気の塊がうねりながら襲いかかってきた。

先がイソギンチャクのように割れて捕食されそうだ。


「管理長のアホー」

私は竹箒でおそいくる本体を殴りつけた。

専門家を入れ過ぎると本体にバレてヘタすると次元の狭間に弾かれるから私なんだろうけど……


それでも弾かれたしね。


美女が歓喜の顔で食べられようとして猫に引き倒された。


「みんな一緒になるのです。」

リスさんが神々しく……でも不気味に手のひらを上にかかげた。


「なるの〜」

幼女がきのほうから飛んできた。

猫が勢い良くバシッと落とした。


容赦ない……痛いの〜と騒ぐ幼女に浄化の力を向ける猫。


途端幼女はもとのムササビに戻ってきょとんとした……ああ、デア共々こねくり回したい。


「大いなる力よ……」

まるで儀式の様に腕をかかげてまさにとりこまれそうなリスさんはつぶやいた。


青白い物体がリスさんの上に落ちていく……

このまま取り込まれると出すのが面倒だよ。


「アルス!! あれ攻撃して!! 」

私はかけながら叫んだ。


条件反射なのかアルスが素早くうごいて剣で物体に斬りつけた。


「管理長、絶対にあとでしめる!! 」

その思いを武器に躊躇なくリスさんを竹箒で殴って浄化した。


やり過ぎだ! 猫が怒鳴ったけど無視だよ。


「あ……あれ? 」

リスさんが戸惑いながら頭を撫でた。



じゃまするな〜じゃまするな〜

小賢しい管理人の一族〜


青白い瘴気の塊がイライラとみをよじった。


「邪魔するというか掃除するんが私の役目なんだよね。」

私は竹箒を振るった。

浄化の術を込める。


我は喰らいたりない……

世界を……


「許しませんわ!!」

美女が転がったまま腕を上げた。

青白い力がはなって私に直撃した。


思わずよろめいた私に瘴気の塊が口を開けて滝のように落ちてくる。


「リサ!!」「クソ女!!」

アルスとクソ猫が叫んだ。


避けられない。

まずった……まあ、最悪クソ猫がいれば何とかなるかな……アルスは無事だし……




喰いたい、喰いたい、喰いたい……

我が世界は滅びたのに……許せない……


青白い光にたゆといながら聞こえる瘴気の意識……


我がカラダは滅びた……なれば新たなカラダを求めるのみ……………でよいと………………が言った。


瘴気はかつてどこかの世界樹の意識……

誰がそそのかした……


きっといい世界だったんだろうな……

瘴気の中なのにあたたかい……



『ラタ様……ラタ様……お慕いしているのに……私ではとどきませんわ。』

美女……紫黒の聖女アーティンシアが青白い光の中で顔を覆う……

『レーファル大神官……獣化できぬ半端ものはふさわしくないと……くちおしい……』

美女がうらみごとをつぶやく……


なるほど……共感するところがあったから取り込まれたのか……


我が物に……

『私のものに……』

ならぬのであれば……

『ならないのなら……』


滅んでしまえば良い。

『消えてしまえばいい。』


青白い光が満たされた……


それが共通点……想い……ね。


でも……私は……滅びたくない。

アルスとラブラブ新婚生活送りたいんだよね。

ここで消えなければだけど……


だから、浄化させてもらう!


思考の中で竹箒を具現化させて思いっきり振るった。


青白い光が明るい何かに押されて浄化されていく……


ああ、アルスに消える前に会いたいな……

そうおもいながら意識を失った。




「…………リサ、リサ、リサ〜」

なんか固いもんを枕に目を覚ました。

灰色の目の綺麗な男性の顔が見える……

えーと……誰だっけ……

「あの……どなた……」

男性がこの世の終わりのような顔をした。


プラチナブロンドの美丈夫の膝枕……あれ……えーと……


「私の事を忘れるなんて……すぐに帰りましょう。」

男性が私を抱き上げた。


あれ……おかしい前もされたことが……

大きな樹の下だ……神樹みたいだけど違う……

向こうで座ったリス獣人が黒髪の女性を抱きしめてるのが見えた。


「デア。」

男性の呼びかけに白銀の大きな狼が走ってきた。

あ……デア……デアだよ、なんか茶色のちっちゃい生き物くわえてる。

「モモンはおいていけよ。」

戦士の格好をした黒猫獣人が樹のほうからやってきて笑ってデアを撫でた。

「デアお姉様、モモンまたあそびに行くの〜」

茶色の生き物、モモンちゃんがちっちゃい手をフリフリした。

デアが名残惜しそうにモモンちゃんを黒猫の肩に下ろした。


……あ……そうだ……思い出した……


「リサが忘れても私は……」

うちのワンコがなきそうだ。

「全く……アリスは甘えん坊さんだね。」

私は笑ってアルスにしがみついた。

「リサ〜」

アルスが涙ぐんだ。


そうだよ、私の愛しいワンコ……夫のアルスだよ。


「さあ、家に帰ろう? 」

私はアルスの背中をポンポン叩いた。

アルスは嬉しそうに笑ってデアに私ごと飛び乗った。



泉の向こうでウサギと犬の獣人が騒いでる。

その泉がボコボコと湧き上がった。


ま、まさかまた!


泉の水が盛り上がる。

私はいつでも竹箒に変えられるように小枝を握る。


ザバーと何かが出てきた。


「やっと道が通った。」

ピョコンとしたリス耳のたおやかな美女がブルブルと頭を振った。

「管理長!? 」

私はびっくりして叫んだ。


私をここに送り込んだ諸悪の根源がいる……


「理沙、理沙かい、よかったよ無事で! いやー通じてないと知った時は慌てた。」

フサフサのリスしっぽをフリフリさせて管理長が私を……いや夫を凝視した。


まったくこの……


「理沙を抱き上げてる美丈夫はだれだい?」

管理長が少し声をふるわせてきいた。

「私の愛しい夫のアルスです。」

私はあえてアルスに擦り寄った。

「いい男だね~私に譲らないかい? 」

筋肉美丈夫大好きな管理長がポッと赤くなった。


途端うちのワンコの抱き込みが激しくなった。


「私はリサのものです。」

アルスは少し泣きそうだ。

ワンコ……嬉しいけどさ、普通逆なんじゃ……

「あ〜わかってるよ、でもいいねぇ。」

デアにまたがってるアルスの太ももをポンポン叩いて堂々とセクハラしやがった。

「管理長……大体なんでここに送り込んだんですか? 」

私は半眼になった。

「まあ、私がこっちに界渡りすると瘴気に感づかれて逃げられるか隠れられる可能性があったんでね……ここの世界樹から浄化できる人材をと頼まれたので目印に2つの黒を持つものを送るといって……おやあれがここの管理人だろう? 」

のほほんと管理長が言った。


あ〜なんか殺意を覚えたよ。

リスさんは相変わらずピクリともしない紫黒のなんたらを抱きしめてる。


そういや……専門家きたよ。


「管理長、あの紫黒の美女を見てやってください。」

私はアルスをニマニマ見てるセクハラ女を追いやることにした。

「理沙、怒ってるのかい? ある程度理沙が弱らせたら私も来る予定だったんだけどね。」

道が塞がれちゃってねと管理長は言いながらアルスを獲物を狙う目でみた。

「雪原に叩き落とされました。」

私はアルスを隠そうとしがみついた。

「そうかい、悪かったね……でもこんだけいい男の元なら……羨ましい。」

人の苦労もかえりみず管理長がリスのくせに肉食獣の眼をした。


「アルスに手を出したら瞬殺するから。」

私はあえて微笑んだ。

「やれるかねぇ。」

管理長が艶っぽく笑った。


無言でにらみあった……負けたら愛しい夫を喰われる……


「おい、お前らいい加減なんとかしろよ。」

黒猫がモモンちゃんを肩に乗せたままこっちに戻ってきた。


見ると犬獣人な神官さんがウサギとハムスターの獣人戦士を連れてこちらにわたってきたらしい。


「面倒なのがきましたね 」

アルスがつぶやいた。

「そうなの〜モモン、ラタしゃまとけっこんしないの〜」

モモンちゃんがうなづいてどういした。


何気に爆弾落としてないか?


「モモンは獣化が基本の力の強い獣人だからな……アーティのやつに連れ回されるまで本当に檻入り娘だったしな……」

「お、檻入り!? 」

私はたじろいだ。

「いまはじゆうなの〜アーティしゃまとラタしゃまがけっこんすればいいの〜」

モモンちゃんは嬉しそうだ。


こんななりでも獣人の名家の子女(もちろんまだ幼女)で逃げられないように部屋の窓が細かい金網で覆われたたそうだ。


「ふーん、あの連中しめてこようか! その代わりに猫ちゃん、その筋肉で払いな!! 」

管理長がすばやく神官たちのほうへ寄って行った。


なんだかんだいって面倒見いいんだよね。

筋肉フェチ対象は猫にいったらしい。


「な、何なんだよ、あの女。」

行き掛けの駄賃とばかりに腹筋を叩かれた猫が目を丸くした。


管理長は役得とばかり筋肉モリモリのウサギとハムスターを攻撃しまくっている。


たおやかな美女に容貌に肉食獣というのが管理長のデフォルトだ。



嬉しそうに戻ってきつつある管理長に引きつりながら猫はリスさんのところに逃げた。


「私の筋肉、お待ち。」

目をハートにさせて管理長がせまる。


全く変わらない。

帰ろうかね。


アルスと一緒に白狼の咆哮のみんなのもとに……


「理沙、帰るのならいつでもここにおいで行き来はこの大樹の化身に交渉おどしておくからね、ぜひアルスさんと里帰り希望。」

管理長がヒラヒラ手を振ってわらった。

「アルスは私の男ですので。」

私は舌を出した。

「リサ〜」

アルスが感極まってキスしてきた。


まったく……


帰ろう、みんなの元へ。

帰ろう……私の居場所はここだから……

うん、アルスの居る所が私の居る所だからね。


帰ってアルスにキノコ料理作ろう。

長生きしてもらいたいからね。

あのキノコ、本当に身体にいいんだよね。


デアに乗って私は幸せを噛みしめる。


だんだん、白くなってくる寒い冬の野原……

雪舞う雪原に帰ってきたんだと安心した。


ここが私のいる場所だからね。

そう……アルスが居る所が私のいる場所……そうに決めたんだ。

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