付け足し
玲視点 6月5日 午後1時
「ごめんなさいっ!」
「いいよいいよ、気にしていないから」
あの事件の次の日。俺、かほ、三野の三人で、屋上でお弁当を食べていた。
昨日のお詫びがしたいと、かほが俺と三野の分のお弁当を作って来たのだ。
「料理上手いね、平竹さん。今度教えてくれる?」
「うん、わかった!」
かほと三野も仲良くしているようで何よりだ。
それにしても昨日は大変だった。
あの後警察が駆けつけてきて、なんとか言い訳をして逃げて、錯乱状態のかほをつれて怪我している三野を病院に連れて行き、二人を家まで送った。
事情を知っているかほの親は良かったが、三野の親はいきなり怪我をしている娘と、その横で土下座している男子中学生を見てパニックになっていた。
その三野の親もなんとか宥め、やっとのことで家に帰って来たのが11時。今日もまた、寝不足だ。
「あ、そうそう、狩谷君、昨日のアレ、動画撮っておいたから」
いきなり、三野がそう言いだした。
「……は?」
「だから、昨日の狩谷君の告白? 持ってたスマホで撮ったの。かっこよかったなぁ、『束縛するのも、愛だと思うんだ』だったっけ?」
三野が黒色のスマートフォンを持ってそう言った。
頭の中が真っ白になる。
「お前、それ、消せっ!」
「ちょっと、私の玲君をカッコいいって言うなんて、許さないんだから! ……いや、馬鹿にしたら馬鹿にしたで怒るけどさ」
俺は三野のスマートフォンを奪い取ろうとし、かほは理不尽な理由で怒っている。
……今日も、いつも通りだ。