『「自分」』への責任。 ②
ここ最近、すずさんの入学理由がわかってから、
『私』がすずさんと一緒に帰る時間の雰囲気が、友人ではなく、甘酸っぱい恋愛のような空気だった…。
すずさんが『私』と話す時、両手を背中に回して、ずっと手遊びをしていたり、
たまに、『私』の方を見ている気もするし、
なにより、声が少し変わった気がする。
甘い、乙女のような声になった気がした。
『私』にも、少し話してみたりした。
「なんか最近すずさんと、雰囲気よくない?」
『私』が、カッコつけて返してくる。
「え〜〜? そお〜〜? すずちゃんとはずっと雰囲気最高だよ♡」
とりあえずは、『私』もあんまり、下校中の空気が変わった事に気付いていない様子だった。
そして、今日…。
何事もなく…『私』が、学校生活を謳歌していた…。
今日も今日とで、後方で見ているだけ…。
そうして時間が過ぎ去っていって、放課後。
『私』がすずさんの所へと行き、下校の誘いで会話をして、一緒に帰る。
それがいつもの二人の行動パターンだった。
しかし、今回は少し違った。
『私』がすずさんの所へと行って、下校の誘いで会話をしてから、一緒に帰らず、
『私』がすずさんについて行っていた。
下校…?なのかはわからないが…、
不思議な光景だった。
先頭にすずさん。
それについて行く『私』。
『私』について行く「影」。
『私』がどこに行くのか聞いても返事は無かった。
初めての体験だったので、焦ったのか、
『私』がすずさんが居るのに私の方へ顔を向けて、小声で話してくる。
「ねぇ…私さぁ…なにか……変な事、
した…?」
私も身に覚えがないので、とりあえず首を右に傾けた。
『私』は諦めて、前を向いた――
そうして、無言の時間が進む状態で、ずっと行き先がわからないまま歩き続けた――
着いたのは人が全然いない公園だった。
公園に着いてから、スタスタと、公園に入るすずさん。
『私』と私は、ただそれを追うだけ。
公園に入ってからすずさんの足が止まってから、二人の足も止まった。
私は、居場所がわからず、とりあえずで、『私』の隣に居ることにした。
無音の空間で最初に話し出したのは『私』だった。
「あの〜、すずちゃん…? なんで公園?」
すずさんは突然の言葉にビクッ!と可愛い反応を見せ、『私』と向き合うように身体を回す。
すずさんは、めっちゃ目が泳いでいた。
両手を後ろに置いて、
左足のつま先を地面へとトントンと、突付いている。
少しだが、顔が赤くなっている気がした。
すずさんが震えた声で頑張って発音する。
「あ......のぉ.....そのぉ.....」
その姿は初めて出会った時のすずさんを見ているようだった…
すずさんは、深呼吸をして、少し落ち着いてから、
後ろにあった両手をゆっくりと動かし、今度は胸に当てた。
「あよっ…、あの!!!」
顔が確実に赤くなる。
弱々しい声から強い、心の籠った言葉へと変わる。
すずさんはもう一度深呼吸をして、
「ひよちゃん!!!」
『私』が名指しされ、、、
すずさんの顔がどんどんと赤くなっていく
―――「好きです!!!!」―――
え、?
それは…、本当に
裏表のなさそうな素直でまっすぐな言葉だった。
まっすぐな言葉にすずさんの言葉がどんどんと繋がっていく。
「あの、! 付き合って下さい!!」
そう言ってから、すずさんは勢い良く頭を下げる。
嘘なんて感じさせない、真の言葉……。
私は驚きはあったが…。
これまでの雰囲気で、告白はいつか来るだろうなぁ…。
とは思っていた…。
一体、この告白は誰への向けての告白なのだろうか…
現在すずさんの目の前に立っている『私』なのか、
現在影としてここに、居させてもらっている「私」なのか…。
それよりも…、それよりも…だ…。
――問題なのは――
「はい。 よろしくお願いします。」
そう、『こいつ』だ。
って、え………?
今なんて言った…?
私の耳には
『はい。よろしくお願いします。』
と、聞こえたのだが…。
え、?
『こいつ』は凄くあっさりと……
返事を言った…。
あっさりではあったが、軽さは感じなかった。
ちゃんと重みのある言葉のように感じた―
一回ぐらい、私と話してもよかったんじゃ…
すずさんが顔を上げた。
「えっ!!?あっ!!えっ!!」
その顔には嬉しさと、驚きがあるような気がした……。
私も驚いてますよ…、
「あの!! よろしくお願いします!!」
まるで、すずさんが告白されたかのような反応をしている――
そうして、一週間後…。
事件は起きた…。
――好きです!!!!――
それは…、裏表のなさそうな素直でまっすぐな言葉だった――




