「私」の必要性…。
学校の授業中、
私は、『私』の授業を後ろから眺めていた。
『私』との交代が、
『私』が学園生活を謳歌している所が、
いつも通りになってしまっているのが恐ろしかった…。
何度も体験したはずなに、まだ、『私』が友人と愉しげに話してるのを見ると、心が痛んでしまう…。
一体、初めて『私』が出てきてから、何日経ったのだろうか…、
きっと二週間は経ってると思う。
『私』は今日も"普通"に学校に通っている。
学校での私は今みたいに『私』の日常を見ているだけ。
学校が終わるまではほぼ『私』とは会話できない。
いや、学校が終わっても、まだ私とは会話できなかった――
そんな事を考えいたら、
私の学校生活が淡々と過ぎ去った。
学校が終わり、『私』はすぐ教室から出た。
私も『彼女』を追って、教室を出た。
『私』の行く場所は大体想像できていた。
隣の教室のドアの前で『私』が元気良く呼びかける。
「お〜〜い!!すずちゃ〜ん!!!かっえろっぜぇ〜!!!」
やっぱり…目的は日向すずさんだった。
日向すず、私と同学年で、私より、少し背が低くて、いつもの、こなれ感のあるボブお団子ヘアーで、可愛い…。
天真爛漫で探究心も強く、多くの人望を得ている子だ。
そんな、可愛い子は、ここ最近『こいつ』と一緒に帰っている。
今日もそのお誘いなのだろう――
『私』の誘いに応じてくれたすずさんが今日も楽しく下校する…。
私は、悲しく一人で、二人から距離をとった状態で、後ろから彼女達が会話してるのをただ聞くだけだった…。
私もこの日常には慣れてしまっていた…。
幸せそうに二人の会話の途中、『私』が興味深い話題を出す。
「そ〜いえばさぁ〜〜、すずちゃんはどうしてこの学校に入学しようと思ったの??
ほら、この学校中高一貫じゃん??
あんま中高一貫の学校って高校の入学式は人来ないからさぁ〜〜気になっちゃって〜」
それの問いを聞いた私は、『彼女』の疑問に同意していた…。
確かに、中高一貫の高校の入学式は、あんまり人は来ない、多分、理由は簡単だと思う。
中高一貫って事は、中学校からの人達がほとんど高校にくる。
つまり、そこに新しい人が来ても、浮いてしまう…と思う…。
中学校からのグループ的なのが出来て、入れなくて、浮いてしまう…。そんな気がする。
実際のところ、高校の時に入学したのは、すずさんだけ、だった気がした。
『私』の質問にすずさんは、恥ずかしそうな声で言う。
「え、えっとねぇ〜…。 実は、ひよちゃん憧れててぇ〜〜。 それで、入学しようと思ったんだ〜」
『私』はその可愛らしい答えに驚く。
「えぇ!私に憧れてくれてたの〜!ありがとう〜!!」
そこで、私はある疑問も思いついてしまった。
あれ…? "憧れてる"って事は、私、中学校の頃にすずさんと会ってる…?
そんな謎が頭に出た時に、『私』も私と同じ疑問を口をする。
「あれ? そーいや憧れてるって事は、どこかで知りあっ〜〜、!!!!」
『彼女』は何かわかったように顔がすずさんの方へ向いて、不可思議の答えを言う。
「"文化祭"でしょ〜!!!」
「えぇ!?!?」
私は声に出して驚いた。
それ以上に、すずさんも驚いていた。
「えぇ!?なんでわかったの…!!?」
私はすずさんの正しい反応に頷いた。
『私』は自慢気に説明をする。
「確か3年の文化祭の時ね!
クラスで店を出しててー!
私が休憩の時に学校を歩いてたら、すずちゃんが転んで、私が声をかけたんだよね!
確か!!」
私は『私』の説明を聴いて、少しずつ思い出してきた…。
確か……いつ、店を休憩すれば良いかわからず、ずっと働いていたら友達から
「(も〜ひよちゃんいつまで働いてんのさ! そろそろ休憩しなさいな〜!!)」
と言われて、半強制的に休まされたけど、
なにもする事がなかったから、学校をふらふら歩いていたら、前から歩いて来た子が転んで…、声をかけたような…、
確か、そうだった…気がする…。
って…………中学三年の頃なら『お前』じゃなくて「私」の時じゃない…?!
ん…?自分だから、私なのか、?ん…?
自分でもわからなくなった――
それなのに、どうしてこんなにも自慢気に話せてるんだろうな、とも思った…。
『私』の説明を受けてすずさんは、驚きと喜びを合わせた声で答え合わせをする。
「そー、だよ、! 覚えてくれて…たんだね、、、、」
その声は、すご〜く甘い声であった…。
後ろにいる為、後ろ姿しか見えなかったが、前から見たらきっと、
頬は赤くなり、
目は色んな所に行き、
可愛い顔になっているんだろうな…と勝手に想像してしまった…。
そこからの雰囲気は友情ではなく、少し甘い、恋心のような空気感だった。
私はそんな初々しい空気に置いていかれる感じがした…。
あ、いつもか…と自己完結までしてしまった。
その日のすずさんとの下校は終了した――
『私』との二人きりの空間になった時、
やっと、会話が出来る舞台が出来た。
私は『私』の隣へと行ってから、
『私』を褒めるわけではないが、"文化祭"の話を持ちかけた。
「よく、覚えてたね、"文化祭"の事、」
『私』は私の方へ向き、にっこりと笑みを浮かべて、言う
「もっちろ〜ん! 前も言ったでしょ!!ひよちゃんが昔経験した事は大体覚えるって!!」
ひよちゃん言うな、。
と言いたかったが、とりあえずは抑え込んだ。
『私』が言ってから一拍あいてから、恭しい態度へと変わり、私に話す。
「さぁ、どうする? すずちゃんが憧れてた "朝霧日陽里" は『私』ではなく、「ひよちゃん」って訳だ。」
久しぶりの『私』から出た真面目な会話は私の心をぶっ刺した。
『私』は気付いていたんだ…とわかった。
中学三年生の頃の話だから、『自分』の話ではないと…。
どうする…、?と言われても、なにも言えない。
どうも出来ない、学園生活は『あっち』だし、現在すずさんと仲がいいのも『あっち』だ…。
しかし、それは言葉に出来なかった。
この事を言葉にするということは、
『私』に負けを認めるのと同じだと思ったからだ。
私は歩きながら下を向いて、黙った…。
そこに聞いたことがある呆れトーンで『私』
は私へと言う。
「まーた、黙り込むんだ…。」
そこからは、二人は無言のまま、家までへと帰った――




