かいわ〜〜
私の目の前までやって来ると両手を広げてニコりと笑う。
「ほら。」
「《《交代だよ》》」
『交代だよ』って………
軽っ……って思ってしまったけど、その顔は笑ってはいるけど……、
本気にも見えるし…嘲笑ってるようにも見える……
いやぁぁ、でも気持ちは本気なのかな。
きっと。
考えてても仕方ないし、時間が経ちすぎるとすずさんにどんどんと引かれてしまうよね………
「わかったよ。」
交代宣言からだいぶ間が空いてしまいましたけど、もうここまで来たなら、やるしかない。
私は『彼女』に抱き着く訳ではなく、ただただ『私』の胸へ歩いた。
通学路を歩くように、ごく自然体で進んでいった。
身体が『自分』に入っていく時に『私』と目が合ったので、一度足をとめてしまった。
その目は、なんと笑っていたんだ。
それは不安を引き起こすような目ではなく、安心を感じてしまう優しそうな目。
なんで笑ってんだよ……
本当にさ。
『私』に感じる物はあるけれども、それは別に悪い事だけじゃない……
これは事実だ。
私はまた歩き始めてやっと身体が重なり始めた。
なんか…こう、いつも無理矢理交代してるからあれだけど、ちゃんと考えて交代すると少しだけ不安だぁ……
ちょっぴりの不安のせいで完全に代わるまで目を瞑ってしまったけど、これで交代は完了したはず…、
ゆっくりと目を開けてみると、私の視界には誰も居なかった。
まぁ、当たり前だよね。
後ろを振り向いてみた。
「へっ!!」
嫌でも聴いてきた『私』の声だ。
自分と同じ声なんだけど……
後ろには『私』が居た。
ふざけ睨むような目つきで私を見てくる。
そして、後ろに振り返った事ですずさんとも目が合ってしまった……
すずさんもすずさんで不思議そうな顔でこちらを見ている。
さぁ……行くか。
目の前にいる『日陽里』を避けて『私』の通ってきた道を辿る。
右足、左足と、一歩一歩行くたびに不安や緊張、色々な、感情で胸が押し潰れそうだ……
前も向けない。
ずっと、地面を見たまま進んでしまう…
あぁぁあ……
自分の身体の震え始めるのが良くわかる。
私の手、落ち着いてくれ、震えちゃ駄目だ。
震えちゃ……
近付くごとに重くなる足を運び、、、遂にすずさんとちゃんと会話が出来る距離まで近付いた。
ええっと…………
最初に言う事は少し決めてはいた……
「あのっ、」
「あのっ!!!!!!」
私の初動の会話はすずさんの声量をかき消されてしまった。
あぁ……
「はい……」
「あっ…! ごめんなさい…!!!」
無言だった公園がまたも静まり返る……
きっまずぅ………
すずさんも
被るとは、思わないし、被った時の対処法なんて……
あれ、会話が被った時、どうしてたっけ……
あれ…………
いいや、駄目だ。
そんな事考え始めたら切りがない。
どれだけ気まずくなってしまっても私から話さないといけないんだ。
今ここにすずさんが居るのは『日陽里』が呼んだから……
自分であり、『自分』ではない。
『「私」』が。
「あのぉ……」
声を出せたものの凄く薄れた少量の声しか出せなかった……
これじゃあ、聴こえないよな、もう一回…
「はいっ!!」
すずさんから少量の声の返事が大量の声で返事が返ってくる。
凄いな……あれが聴こえたんだ……
あぁ、駄目だ……
伝えたい事を伝えないと…、
ちゃんと話す時は相手の顔を見て、だよね……
地面を見たままだった視界を上へ上へ上げていきすずさんへ目を合わせる。
その時のすずさんの瞳が、顔が引いてる顔ではなく……真剣でありながらも、重くなりすぎない優しく、安心できる顔だった……
私はその光に一歩後退りしてしまいかけてしまった……
駄目だ、、だめ……
今下がったら、もう…きっと戻れない……
下がる脚を堪えろ…、そして、ちゃんと言うんだ……
「すずさん……」
「はい!」
すずさんの一つ一つの返事だけで何故か、視界がボヤけて、瞳が潤ってくる……
「あの、、ごめんなさい………」
ゆっくりと頭を下げながら元々言おうとした事を伝えられた…
めっちゃ声震えてたなぁ…、
これからは、もう私にもわからない。
すずさんの顔すら、見れないよ……
しかし、言葉に出来た事で私にのしかかっていた重りはだいぶ軽くなった気がする。
「もぉ…、なぁに、泣いてるんですか、」
「顔、上げて下さい!」
「ちゃんと上げて、ちゃんと説明して下さいね……!」
本当にごもっともです………
でも、本当に顔を上げても良いのかな。
「もう、ひよちゃんったら…」
足音が聴こえてくる。
その足音は一歩一歩私に近付いてきて、私の前まで来てしまった……
「えいっ!!」
そう元気な声が聞こえると私の両頬がすずさんの手に捕まった。
捕まってからすずさんは私の顔を上へ動かし私とすずさんは視線を交わしていた。
凄く……近いです……
「ちゃんと、説明して下さい!!」
「ね、私はずっとここにいますから!」
すずさんの太陽のような笑顔で私を照らしてくれる。
その言葉は、影に……暗闇に光を照らしたような裏表がないような一本の言葉だった。
――本当にさ、すずちゃんがお前を知って嫌いになると思うのかい??――
――あの裏表がなさそうな人間が??――
あぁ……流石だな、『日陽里』……
その通りだったよ……
「うん……ちゃんと話すよ、」




