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終焉

 「ごめーーん!!!」

 

 すずさんが、クッキー店の紙袋を持ってこちらへ走ってきた。



 「ぜーんぜん待ってないよぉ!」


 さっきから元気を取り戻したようで、良かった……


 すずさんは急いだのか息切れを起こしていた。

 けど、なぜだろうか。

 その息切れが少し嘘くさく見えてしまった。

 

 良くない……な。

 思い込みは駄目だ。

 さっきの件で少しおかしくなってるはずだろう。



 「じゃあ続き!!」

 「どこ行こうか〜!」


 ―――


 そこからの『私』はどんどんと元に戻り、デートが終わるまでボロは一つも見せなかった。



 まぁ、あのシーンをボロと言ってもいいのかわからないが。


 すずさんから見たら『あいつ』の作り笑顔はわからないと思うから、大丈夫だとは思うが……


 大丈夫だよな……???



 ――――

 

 

 デートは難なく進んでいった。


 本当に何事もなく進んでいて、私も驚きはしたけれど、きっとデートってのは難なく進んだ方がいいのだろうか。



 と、自己完結をする事にした。


 「今日は、、、ありがとう!!!」


 「こちらこそだよぉ〜!」


 平和になったデートはすずさんの言葉に返す『こいつ』の返礼で事なく終了し、『私』は幸せそうに帰る。


 辺りは少し暗くなり始めてるけど、、ゆーてまだ明るいから心配ないはず。


 「ねぇ。」


 私の家まで帰っている際に『私』から話しかけてきた。

 『こいつ』から話しかけられるのはなんか、レアだなぁ。


 「なに?」

 

 「普通に疑問なんだけど。」

 「楽しかった?? 今日。」


 『楽しかった?』と聞かれましても、私はデートに着いていかせてもらっている立場なのでねぇ……


 楽しかったか、楽しくなかったかと、どちらかと聞かれましても、正直あまり良く分からない。


 でも、絶対に"楽しくなかった" という感情はない。


 だからと言っても"楽しかった!" という感じでもないんだよな……


 なんて言うものか。

 『普通』なんて言ったら、行かせてもらって失礼だし。


 うーーーーーーん。 



 「安心……したかな。」

 

 「なぁにそれ〜〜!!」

  

 この言葉しか出なかった……

 でも、一番事実に近い感想だからなぁ。


 私はいつもの『こいつ』で安心できたし。

 通常通りのすずさんにも安心できた。

 

 少しヒヤッとする場面もあったけれど、それらを乗り切れて安心した。


 だから、一番私に近い感情が "安心"《これ》だ。

 

 「『そっち』は?」

 「楽しかった?」


 そう聞いた瞬間隣に居た『私』の顔が一気に笑顔に進化した。


 「そりゃねぇ????」

 「楽しかったよぉ〜!!!!!!!」


 

 うるさっ!!!


 いちいち止まってから、大声で言わんでええねん。


 本当に……

 まぁ、幸せだったのなら良かったよ。


 「良かったよ。」


 

 あ、そういえば……

 ちゃんと、改めて"電車の事" を謝らないといけないよな。


 今、『私』も止まってるし。


 私が悪いのだし。


 「そういえばさ。」


 「ん??」

 

 

 「電車での事…、ごめんね。」


 

 よし……謝った。


 「これからはこんな事ないように.......」

 「なぁに言ってるの〜〜???」



 私の大反省タイムに『私』が食い気味乱入してきた。


 『私』の表情が天使の笑顔から真逆。

 小悪魔の笑顔になりやがった。


 「私が電車で聞いた言葉とは違うにぁ?」


 こいつっ…!!!!



――――あの………あり、がとね。――――



 あれちゃんと聴こえてたんかい……!

 

 「あの言葉が聞きたいなぁ〜〜」


 あれはさぁ……

 ほら、『こいつ』に聴こえてても聴こえてなくても『こいつ』はすずさんがいるからなにも言えない状況だったから…!!



 あー、だめだ。

 私が変に言い訳して、恥ずかしがってても『こいつ』に煽られるだけか……


 だったらもう覚悟を決めて "謝罪" ではなく、"感謝" を伝えよう。



 いや? 覚悟を決めるってなんだ、?


 元々『私』に話す前提で私が始めた会話だろ!?!?


 じゃあ自分でケリをつけなきゃだよ。


 「あ……ありがと…ね。」


 よし。

 小声だったけど言えたぞ。

 

 「んー?????」

 「良く聴こえないなぁ〜」


 『こいつ』……

 私と『私』との距離もそんなにないし、周りには誰もいないから静かだから聴こえてるはずなのに………


 もう吹っ切れてやる。


 「ありがとうございます!!!」

 


 私は、頑張って『私』に感謝を伝える事に成功した。


 『私』は凄ぉく満足そうな顔をしている…

 うぜぇ……


 「ほらっ。暗いから帰るよ!」


 「あーーい」



 私は暗くなってから、心が軽くなる事なんてなかった。


 なかったはずなのに……

 なんだろう。


 今、凄く幸せなんだ……



――――――



 私達はそのまま良い雰囲気のまま無言で家のすぐ近くまで帰ってきた。


 後は家の扉を開けたら玄関なのだが、何故か、『私』が突然止まり、扉の前で私の正面に歩いてきた。



 「どうしたの??」


 『私』は、少し暗い笑顔で私と向き合って、真面目な声色で言う。


 「私も、さっきのひよちゃん見て覚悟決まったよ。」

  

 なんだろう。

 『主導権よこせ!』

 とかだったらどうしよう。


 「なに……??」


 「やっぱりさ、すずちゃんに……」


 『私』がこれでもかと間を空けている。

 即決人間がこんなにも間が空くこともあるんだな。




 「本当の日陽里を話そうよ。」

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