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覚悟


「今度の休み!! "デート"行きませんか??!!」


 



 その言葉は嬉しいようで、なにか、複雑な感情だった……


 すずさんと別れ、家に帰ってからの『私』はそれはもうご機嫌だった。


 鼻歌を歌い、歩き方も少しリズムを刻んでいる。


 相当誘われたのが嬉しかったんだな…



 デート………デートねぇ……


 なにをするんだろう。


 まぁ……"私には関係ないか。"


 あくまでこれは『彼女』への誘い。

 「私」でない。



 自分の事なのに他人事みたいに考えた。


 

 今度の休みの日、とは言ってたが、明日なんだよなぁ……

 すずさんは


 「明日は流石に早すぎるので来週の休みで!!」


 と、優しく、言ってくれたのだが、

 

 『あいつ』が一回私の方へわざわざ振り返って、目を合わせてから…。


「ん? 全然明日でも大丈夫だよ〜!」


 とか、言ってたし……


 まぁ、実際私の休みなんて暇の塊だし……


 友達が誘ってくれてるけど、色々と言い訳つけて逃げてきちゃうし。


 怪しまれない為にたまに遊ぶけどね、


 そんな虚無な時間だったら……



 『《《身体を貸しても》》』 ……




 デートの内容も大体は聞いてしまった……


 少し遠くの大きいショッピングモールがあるそうなので、そこに電車で行くとか。


 楽しそうだなぁ……


 「あっ! 交代! しないの?」

 

 ルンルン気分の私が笑顔で聞いてくる。


 「別に……今日は良いかな。明日、デートなんでしょ、?」


 気分が落ちてるので素っ気なくなっているかもしれない…。

 でも、それでもいいか。



 明日はデート…… 明日はデート……


 ――明日は……デート――


 

 自分が行くわけじゃないのに凄く気になってしまう。


 「ねぇ…… 」


 「ん???」


 「デートってさ…。 私も。 行っていいのかな……」


 私は、つい、『私』に聞いてしまった……

 なにを言われるかわからない。


 聞かなければ当たり前のようについて行けたかもしれない……


 なのに、私はわざわざ否定が出来る土台を自分から作ってしまった。


 だって……デートだ。しかも初めてだ。  

 

 だからこそ、勝手について行くのは違うと、感じたのかもしれない。


 後から言葉が出てくるってのはきっと言い訳だ。


 でも、このままついて行ったら、

なにか……良心のような、そんななにかが深い傷を受けてしまいそうだった……




 『私』が少し悩んでいる。


 『私』が閃いた顔で口を開く


 「そうだ! 日陽里も一緒にデート行こう!!」


 ……???? 一体なにを言っているんだこの『女』は。


 頭にはてなマークが出てそうな私に『私』が言う。


 「だから! 交代交代ですずちゃんとデートすんの!!」


 は………???????


 本当に何を言ってるんだ『こいつ』。


 私が…? すずさんと? デート…?


 「は…、? 誘われたのは『そっち』でしょ……? なんで…?」


 「『そっち』とか、どうでも良いんだよ! 『「日陽里」』が誘われたんだ!!!」


 やばい……本当について行けない。

 テンションが上がってるせいなのか頭おかしい事を言いまくってるのか……?


 テンションが上がってる陽キャってのはこれほどめんどくさい存在なのかよ……


 「いや…、普通に『あんた』が行きなよ。

私は後方に居るだけだいいんだ。」


 「え〜〜!! まぁ、いっかぁ〜、」


 私が嫌々言い続けたからか、それとも情緒不安定なのか、どっちでもいいが、少しハイテンション『私』が不機嫌になった……


 これで、通常運行に戻ってくれたかな。


 「じゃあ! "私"が行ってくるね〜!」


 『私』が"私"の部分を強調して言ってくる。


 『私』が笑っている。

 悪い笑みではない。

 本当の女子高生のような綺麗な笑顔だった。 


 このままだと、私は、どうなるんだ……


 家で置いてけぼり……なのか……?


 なぜか…心臓がいつもより速く動く。

 胸が苦しくなる。


 一人は好きだ……けど……なにか……違う……


 「ねぇ、!」

 

 私は苦しながらも『私』を呼ぶ。


 胸に手を当てる……

 少し落ち着いた事を確認する……


 「私も……ついて行っていいかな……」


 言ってしまった……


 私は自分から踏み込んだ。


 『私』の返事はまだない。

 だけど、言いたいことを言葉に出来たからか、胸が若干軽くなった…。


 「も〜、しょ〜がないな〜」


 その言葉を待ってました!!


 みたいな自慢気な表情で『私』が返事をする。


 『しょ〜がないな〜!』


 しょうがないと言われつつも、『いいよ』と言ってくれて、私の心はさっきよりも軽くなって、ほっとしてしまった……。



 そこで…私は気付いた事があった…。


 一人は好きだ。


 だけど……。


 誰かにハブられるのは嫌いだ……。


 なんて都合が良いんだろう………。


 本当に…。


 ――めんどくさいな…、「私」――

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