表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/18

千堂里佳といいます

本当はリメイク作品にするつもりだったのに、中盤あたりからストーリーが変わってしまったので、もうこの際アナザーストーリーにしちゃえと(笑

まあ、そんなノリで執筆。

あ、でも後の辻褄合わせのために序盤もちょこちょこ変えているので。

ジリリリリリリリリリリリリリッ!!



まどろみの中で酷く不快な音が部屋に鳴り響く。


眠い目をこすり、脇にある目覚まし時計に手を伸ばす。


ガチャッと鈍い金属音が妙に頭に残るが、目の焦点が定まらない。


瞼がとても重く、また閉じようとする。


だめだ……。また寝てしまいそうだ。


こういうときは、いつも思いっきりほっぺたを叩いて目を覚ますのが効果的だ。


せーの。



バッチーーーン!!!



少々やり過ぎてしまった。


寝起きということもあってか、目から少し涙があふれ出てくる。


この次はもう少し控え目なビンタにしないとな。


まあ、とにかく目は覚めた。


「もう朝か……。今日は何があるんだっけ?」


ひりひりするほっぺをさすった後、机にある手帳を開いた。


今時の学生にしては珍しいが俺、荻野裕樹(おぎのゆうき)は手帳を使っている。


俺の一家は引越しの多い、いわゆる転勤族というやつだった。


そのせいかスケジュールを書くことが癖になっているのだ。


「しかし自分から言い出したことだが、一人暮らしも楽じゃないな……」


今まで母さんがしてたことを全部俺がやらなきゃいけないのはわかっていたが、まさかここまで面倒くさいとは思わなかった。


というのも、俺はこの9月から転校生として高校生活を送るのだ。


そして2度と転校しないように学校近くのマンションの一室に住むこととなった。


両親も転校が多くなってしまったことを前々からすまないと思っていたのか、俺が提案するとあっさり承諾した。


ありがたいことに、経済的な面も全く心配ないらしい。


さて、回想はこのくらいにして朝飯食うか。


モグモグモグ。ゴクゴクゴク。はい、ごちそうさま。


適当に朝飯を食って、学校に行く準備をする。


……ふと時計を見た。


8時10分。うん、そろそろ学校に行ったほうがいいな。











戸締りをした後、学校までの道をのんびり歩く。


いつもは転校初日じゃ緊張しないのに、今日はなんだか胸が高鳴っている。


それほどに今回の転校は俺にとって意味のあるものだった。


「てゆうか、この暑さのせいでもあるのかな。残暑がきびし……ん?」


十字路にさしかかると、ふと横目に落し物を発見。


見たところ生徒手帳っぽい。なんだか俺の生徒手帳にそっくりだ。


「あれ?俺の生徒手帳と一緒じゃん!ってことは同じ学校の……」


生徒手帳を開いてみる。真っ先に目についたのは女の子の写真。


「……か、かわいいな」


転校のプロである俺が思うんだから間違いない。


今まで見てきた中でも指折りのかわいさだ。


穏やかな目にキュっと引き締まった唇。髪はサラッとしたセミロング。


名前は『千堂里佳(せんどうりか)』か……。


学年は2年生なのか。俺と一緒だな。


「まあとにかく届けたほうが良さそうだ」


確かこれは学食のペイカードでもあったはず。


なくしたら昼飯が食えないし、使い込まれるのを心配してるかもしれない。


とりあえずカバンに入れておく。後で職員室の先生に渡しておこう。











「たしか職員室はこっちだったよな」


数日前の入学手続きの記憶を頼りに職員室を探す。


が、果たしてどこだったか。俺はよく道に迷うのだ。


ずばり、俺は方向音痴なのである。


「ホント方向音痴ってこういうときに苦労するんだよな」


自分のステータスを嘆きながら廊下を進む。


そして、つきあたりにあった角で左に曲がった……



ドカッ!!!



「ぐはっ」


「きゃっ!」


少しよろめいてコケそうになったが、なんとか踏みとどまった。


ぶつかったときの衝撃と痛さからして相手は走ってきたようだ。


それと、この声は女性のものだろうか。


「「ごめんなさい!!」」


声がハモッてしまった。ふとぶつかった相手の顔に目を向ける。


やはり女の子だった。それも、とびきりかわいい。


ってあれ?この子どこかで見たような……。はて?


「って、さっきの生徒手帳の!」


拾った生徒手帳の写真に写っている女の子だった。凄い偶然だ。


まるで漫画やアニメのような展開。


もしかしてこれは何かのフラグでも立ったのだろうか?


「私の手帳あなたが持ってるんですか!?」


彼女は凄い勢いで顔を寄せてきた。顔と顔の距離がゼロになりそうだ。


てか、ホントに近すぎるんですけど。


思わず後ずさりをしてしまった。


「あっ!ご、ごめんなさい」


自分のしたことに気づいて彼女は赤くなった。


少し恥じらいを含んだ顔もまたかわいいな。


「それで、あの、私の手帳あなたが……」


彼女の体は細くスラッとしている。


ワインレッドの色をした制服の間から見える彼女の肌は白い。


「えと、あの、手帳……」


そういやぶつかった時も良い匂いがしたな。


うすく香水でもしているのだろうか。


「あのっ!!」


「は、はいっ!!」


いかん。ボーっとしてしまった。


「えと……。私の手帳、あなたが持ってるんですよね?」


「あ、ああ。うん。えっと……、一応確認するけど君の名前は?」


「千堂里佳といいます」


「うん。やっぱり君のだね。どうぞ」


「ありがとうございます。はぁ、良かった〜」


千堂さんの顔に安堵がひろがる。少し上がり気味だった肩もすうっと下がった。


やっぱり手帳をなくして困ってたんだな。


さて、俺も職員室に行かなくちゃ。職員室、職員室……。


「って場所がわかんないんだった!」


「きゃっ!ど、どうしたんですか?」


俺が突然声を上げたので驚かせてしまったようだ。


心の中で謝っておきます。ごめんなさい。


「あ、ごめん。うん、俺、転校生なんだけど職員室はどこかなっと」


心の中だけで謝るつもりだったのにホントに謝ってしまった。


俺って律儀だな。


「転校生?じゃあ、あなたが噂の荻野裕樹さんですか?」


「そうだけど……って、噂!?もう俺のこと広まってんの?」


「はい。なんでも世界史と政経はほぼ満点を取ったって」


「や、あれは運が良かっただけだったから……」


とは言いつつも、実は俺は社会が得意で模試では常に上位5位には入るのだ。


俺は人より記憶力が良いと自負している。


あれは覚える教科だから他と比べて点が取りやすい。


もっともグラフ問題とかの応用問題みたいなのもあるが。


まあ、とにかく人に自慢するのは好きではないので運のおかげにしておく。


「英語も90点くらいだったらしいですよ?」


「た、たまたま取れただけだよ」


「でも、ここの編入試験はとても難しいらしいですよ?」


「た、たまたま……」


「数学は駄目だったみたいですけどね」


「あー。数学は苦手だから。小学校でも算数はできなかったなぁ」


そうなのだ。記憶力が良い反動なのか、計算は人より苦手だ。


特に一年生の途中で習った三角関数というのは、俺史上で最悪極まりない代物だった。


解いているだけで吐き気をもたらすあの記号は二度と見たくない。


ってゆうか、何で俺の点数が漏れてるのだろうか?俺も知らなかったのに。


しかし彼女はよく喋る人なのか、俺が珍しいからなのか質問が多い。


見た感じは物静かな印象なんだがな。


「テストの点もあれですし、やっぱり文系ですか?」


「ああ。数学は死んでるからな。三角関数とか意味不明だ。君も文系か?」


「いえ、私は理系です。英語とかさっぱりで」


これはまた意外だった。見た感じ文系なのだが……。


まあ女子でも理系の子たまにいるよな。


今時、女子=文系という方程式は成り立たない。


まあ、昔はどんなのだったか知らないが。


……。


ん?なんだか話が脱線してないか?


って、そうそう職員室だよ!職員室に行くんだった。


「あの、俺、もう職員室に行くので……」


「あ、すみませんでした。あの、良ければ案内しましょうか?」


「……いいのか?」


「生徒手帳のお礼ということで」


「なるほど。じゃあ頼む」


「はい」


といって彼女はくるっと後ろを向いた。


顔の動きにつられて髪がふわっと回る。


「こっちです。ついてきてください」


「ああ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ