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知らない感覚

僕が3人と出会ってから色んなことを教えてもらった


この国のこと何故僕が閉じ込められているのか、僕が誰なのか、3人は僕を媒介にして顕現できていること、普段は僕しか見えないけど姿を現そうと思えば出る事も出来るということ


僕が黒狼ということ、そして


僕の能力のこと


教えてもらったのは昨日だ、正直呑み込めてはいない3人は今どこかに行っている、今日はご飯の日でもない、少し寝よう、


と横になる、その時だった


コツン…コツン…とこちらに向かってくる足音がした、僕はサッと立ち上がり廊下を睨みつけた…


いつもと違う…父じゃない…誰だ…


聞いた事のない足音、リズム、匂い、


だけど出てきたのは、男の子?と、女の子?


「お前、弟?」「ほんとにこんな所に来ていいの?お兄ちゃん」


誰…だれだ、父とそっくりな匂いと顔、


この人たちも殴りに来たのか…


そう身構える


ギィッっと鉄が軋む音


牢屋を開けてふたりが入ってきた


男の子が手を伸ばす


くる、


僕は目を閉じ来る衝撃に備える


しかし、また、覚悟していたものとは違う、


ロークと同じように髪をでも優しく撫でられた、ふわっと香る懐かしい匂い、「お前死んだはずの弟だよな?」男の子は綺麗な白髪の隙間から吸い込まれそうな程美しい瞳を覗かせている


「え、セルトとラファ、リン以外に下の子いたの?」


クルクルとした紫の髪丸っこくて大きい瞳を輝かせて女の子はこちらを見る


「お前そういやまだ小さかったしなぁ、ローズ様の事も絵でしか知らねぇもんなァ、優しかったなぁ、」


「ローズ様ってあの大きな絵の人?」


「そう、ローズ様は弟を産んでそのまま亡くなられたから、そこからだよ父上があんな風になったの、昔は優しかったのに、今や国民を苦しめる戦争ばかり…………」


そう悲しそうな目をした


弟、弟かぁ、この人たちもお兄ちゃんなのかな、「お前名前は?」


そう聞いてくる、僕は首を振った


「教えられないの?」


違う、僕には、


「もしかして、」


「名前、無いのか?」


僕は、静かに頷いた


「そん、な、だってあなたいくつよ!」そう女の子は語気を強め問いかける、


そんなの分からない、


「確か、4?50年は経ってるはず、そんな長い間名前を貰えてないとなると、だいぶ体に負荷をかけていることになる…」


「あなた、ずっとここにいるの?」


僕は頷く、


この人達は悪い人では無い…のかな、分からない、もしかしたら父と同じで…


そんな考えが頭を駆け巡る、


僕とは差程背の変わらない女の子と頭1つ分程高い男の子、女の子の方なら、抵抗できるか、男の子の方は分からない、


どうしよう、と考える、しかしその考えとは裏腹に僕の目の前に雫がポタポタと落ちる、はっと顔を上げると、


2人は泣いていた、何故?、そして2人は僕をギュッとした、初めての感覚で何が起こっているのか分からない、首を絞められるのとはわけが違う、体を締められている、動きを封じてるのか?今僕はこの人達に何をされているんだ?


父につけられた痣が抑えられて痛む、でもそれ以上に何故こんなにも胸が痛いのか?何故こんなにも暖かいのか?知らない、知らない、こんなの。


「ごめん、ごめんな、気づかなくて、知らなくて、ごめんな、辛かったな」


知らない、


「ひとりぼっちで、寂しかったね、痛かったね」


知らない、寂しいもひとりぼっちも、


2人は僕の背中を頭を撫で続ける


「なぁ、もしかして話せなかったりする?お前の声聞きたい」


声…


ダメだ、許されない、許されないんだ、


泣くことも話すことも、泣けば殴られたから、


話せば蹴られたから、でもそれを察したのか


「ゆっくりでいい、ゆっくりでいいんだ、今ここにはお前と俺らしかいないから」


「そうだよ、私達は何も酷いことはしないからね」


今日は知らないことばかりだ、この感覚も胸の痛みも優しい声も、ロークたち意外信じる事が出来ない、出来ないはずなのに、


話せない、泣いてはいけない、でも、


手を伸ばす、


「おっ、と…あは、」


そっと頭にもう一度乗る手の感覚


話せない、泣いてはいけない、でも気がつけば僕は2人がしてくれたことを同じようにし返していた、そっと背中を頭の手より小さいでも暖かい手が撫でてくれている、痛くない、全然痛くないんだ、でも、この胸にあるチリチリとした痛みはなん何なのだろう、何故こんなにも眠たくなるのだろう、


そうしてるうちに僕はそっと目を閉じ眠ってしまった、意識を手放すその瞬間そっと


「おやすみ、ルーク」


そう言われた気がした

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