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鉄壁令嬢、自由気ままに。  作者: 池中織奈


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60/60

60.『鉄壁令嬢』は、諦めの悪い者達の心を折ることにする ⑤



 ドゥニーは屋敷内を探索し、違和感のある部屋を見つけた。

 真っ白な壁の、誰も居ない部屋である。その部屋になぜだか、違和感を感じてしまった。



(なんだろう、不思議な部屋)


 ドゥニーは基本的に直感がとても強い。動物的というか、野性的というか……そういうものなのである。

 だから、その部屋に感じる違和感を彼女は見逃すことはない。




(少し待つか)


 彼女は判断をする。

 そして気配を殺しつつ、見守る。そうすると、壁の一部が動いた。所謂隠し通路と呼ばれるものらしい。その先は地下室に繋がっている。


 ドゥニーは正直言って地下というものが得意ではない。空というものが好きなので、こういう密室は好んでいきたいとは思わない。





(何か理由があって地下を作っている? それにしてもここまで隠しているということは何かしらの後ろめたいことはありそう。大っぴらにしても問題がないことだったら、こんな風に隠さない。まだちょっとした恥ずかしい趣味とかなら全然いいとは思うけれど……おそらくそういうのではないわよね?)



 ドゥニーは加護もちであるがゆえに、自由気ままに生きている。とはいえ、貴族令嬢としての教育はきちんと受けていた。それに様々な人々のことを見てきた。彼女にとっては理解が出来ないような思考の者も多々いる。

 大抵、こんな風に隠された場所は後ろ暗いことがなされていることが多かった。



 表には出せないようなことを行っているような貴族は、世の中には存在している。ドゥニーにとっては理解が出来ないことだが、権力を追い求めたり、人とは異なる立場になることを求めたり……その結果、非人道的なことを行う者は少なからずいるのである。






(さて、今回の目的はこの貴族のやっていることを暴くことではない。ただ脅しつけるだけで目的を叶えるのならば十分よね。けれど……見ていて気分が悪くなるようなことをやっているのならば止めた方がいいか。いつ処罰を受けるかどうかって話だろうし。王様にとってみても、国に害を成すようなことをやっているのならばすぐに粛清はしたいだろうしね)



 ドゥニーは想定外の出来事に遭遇しても、いつも通り楽しそうである。好奇心旺盛な人間であるドゥニーは、何だかんだ何が待っているのだろうかと地下への興味を抱いていた。

 そういうわけでドゥニーは、結局地下室に侵入することにした。時折バレそうになった際は問答無用で気絶させる。思いっきりのよいドゥニーは、こういう時に全く躊躇することがない。



 ドゥニーはそのまま地下へと侵入すると、あたりをきょろきょろと見渡している。周りに何があるかどうかを確認していると時折うめき声が聞こえてくる。どうやら誰かいるようである。こんな地下で過ごそうとする人を理解は出来ない。ただこんな場所で望んで過ごそうとするものがいるとはドゥニーには思えない。




(何か理由でもあるのかそれとも無理やりこんな場所に居るのか。どちらにしても面白くはないかもしれない。だって私、こういうの好きじゃないもん)



 そう、好きじゃない。

 ドゥニーがこんな地下に居る理由なんてただそれだけである。だからドゥニーはその場を歩き回る。その際は見つからないように気を付けている。

 そうして見つけたのは、まるで牢獄のような場所でとらえられている女性達だった。男性が居ないことを彼女は不思議に思っていた。




(なんだかこういう風に捕らえられている人ってなぜか男性は少ない傾向にあるんだよなぁ。ピレオラ王国に居た頃も気になって侵入した際にこういうの見かけたことあるもの。やっぱりどの国でも、人を捕らえてよく分からないことをしているのってあるんだなぁ。でももしかしたら理由もあるかもしれないし、明らかに違法のように見えるけれどきちんと確認した上でじゃないと解放するのはやめた方がいいわね)



 ドゥニーは基本的に本能に赴くままに、面白いことを求めて行動中である。ただし何も考えずに行動するということはあまりない。

 そう言う部分は、彼女は理性的なのであった。


 また緊急を要しているわけではないというのは、観察していれば分かる。一旦ドゥニーは地下室からまた抜け出すことにした。

 ひとまず先にこの屋敷の主と話をつけてから、問題がありそうならしかるべき手段を取るのがいいだろうと思っているようであった。


(この地下室以外にもこういう場所があったりするのだろうか? もっと強い敵とか、見たことない場所とか広がっているのが一番楽しいけれど……流石にそんなものはなさそうだなぁ。残念)



 侵入している状況だというにも関わらず、ドゥニーはのんびりとしている。地上へと戻った彼女は、屋敷内の探索を続け、最上階に辿り着いた。警備は厚いものの、ひっそりと忍び込んだドゥニーに気づいている者は誰一人いない。





「こんばんは」



 そして部屋主の元へと近づくと、そう言って微笑んだ。



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