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十人十色の語り唄  作者: 彩葉
1、ほのぼの枠
9/41

ある岩の一生


 岩も生きている


ただそこに在り、ただじっと


 岩は生きている


動かなくとも、ただずっと


何をするでもなく在る岩は、何を話すでもなくそこに在る。


特に役立つ訳でもない岩は、特に役立とうとするでもなくそこに在る。


 岩は生きている


岩に意味を、意義を、価値を見出だすのは人である。


 岩も生きている


ある岩は目印に、ある岩は庭石に


ある岩は洗濯場所に、ある岩は椅子代わりに


ある岩は削られ塀になり、ある岩は打ち捨てられ


ある岩は人々の愚痴聞く相手になり──


 岩も生きている


悪口(あっこう)を浴び続けたその岩は、ただじっと


割られ、祀られた後もただじっと


無くなるまで在り続けるのだ




イメージ作品:短編『悪口の岩』より。

岩。(直球)


https://ncode.syosetu.com/n3382fd/



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